静電容量の求め方

これまで電荷・電界について学んできました。その電荷をどのくらい蓄えられるかを表すのが、静電容量です。ここでは静電容量の基礎知識から求め方まで、詳しく解説します。

静電容量とは

静電容量とは、コンデンサなどにおいて、どのくらい電荷が蓄えられるかを表す量で、電気容量(でんきようりょう)とも呼ばれます。

帯電体の電位と帯電量は、以下の比例関係となります。

Q=CV[C]

この比例定数Cを静電容量と呼び、単位は[F:ファラッド]で表します。
電荷量が1Cで電位差が1Vの場合、1Fとなります。ただし、この単位は大きすぎて実用的な単位としては、1Fの100万分の1(10-6)の単位であるμF(マイクロファラド)や、1Fの1兆分の1(10-12)の単位であるpF(ピコファラド)で表すのが一般的です。

1F=106μF=1012pF

図は、静電容量を容器に入れた水に例えて説明した図です。
容器に入れた水の量が電荷量、水の高さが電位、容器の底の面積が静電容量と考えます。
同じ量の水を底面積の小さな容器に入れると水位はすぐに上昇するが、底面積の大きな容器に入れても水位の上昇は少ないということです。つまり、静電容量は、帯電体を電荷をためる容器と考えたとき、その大きさ(容量)を表すものと考えられます。
この例での水と電子の違いは、水は水位の高い方から低い方へ流れて、結果的に水位は等しくなりますが、電子の場合は、電子を放出した方の電位が上昇し、入ってきた方の電位が下降することです。これは、前者がプラスに、後者がマイナスに帯電することを意味します。

静電容量を容器に入れた水量に例えた場合
水の量:電荷量 水の高さ:電位 底面積:静電容量

静電容量の計算

静電容量の計算をする場合、その帯電体の大きさと形状、周りの状況により、以下の数式により算出できます。

球形導体の場合

球状の導体で半径a[m]の場合に、電荷[Q]を与えたときの表面電位は

V=Q/4πε0a[V]

になり、静電容量は、

C=Q/V=4πε0a[F]

になります。

平行導体板の場合

図のように、2枚の導体板が平行にあり、面積S[m2]、間隔d[m]のとき、それぞれに+Q、-Qの電荷を加えた場合に、その電極間に作用する電界強度は、

数式

(電荷密度σ=Q/S)
となり、電極間の電位差[V]は、

V=Ed=dQ/Sε0

したがって、静電容量は、以下になります。

数式

また、導体板の間に絶縁体がある場合、(絶縁体の比誘電率)静電容量は、以下の数式で示します。

数式
平行導体板の静電容量
面積Sの2枚の導体板が平行にあり間隔dの場合、静電容量Cは、ε0S/d[F]で表すことが出来る。

【例1】帯電体の静電容量

図のように、1つの導体に接近する導体が複数あり接地されている場合は、それらの静電容量の和がその物体への静電容量となります。

帯電体の静電容量

【例2】絶縁体の場合

絶縁体フィルムの裏面に導体板が密着して接地されている場合。
例えば、厚さd[m]の絶縁体フィルム(比誘電率)が接地された導体板に密着していて、フィルムの表面にQ[C/m2]の電荷がある場合。

フィルム裏面は密着する導体板と逆極性で同じ値の電荷が表れます。
このとき電荷の配置は、下図のように、電荷密度σで2枚の平行板が帯電した場合と同じになっています。

絶縁体フィルムの裏面に導体板が密着して接地されている場合
フィルムの表面が帯電している場合、静電誘導により金属面には逆極性の電荷が表れ、電荷は平行板と同じ配置になる。

その状態の絶縁体表面電荷Vsは、以下になります。

数式

【例3】厚さの違う絶縁体フィルムの場合

例えば、ポリイミドフィルム(厚さ100[μm]、比誘電率=3.3)が接地導体板に、下図のように、密着しているとき、表面電荷密度をσ=1×10-5[C/m2]とすると、表面の電位は、

数式

同じ条件で、フィルムの厚さが1[mm]の場合は、

数式

厚さが違うフィルムの場合、比誘電率や電荷密度が同じでも、表面電位に大きな違いがでることになります。

厚さの違う絶縁体フィルムの場合
厚さの違う絶縁体フィルムでは、比誘電率や電荷密度が同じでも、表面電位(単位面積あたり)に大きな違いがでる。

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