アースへの接続
静電気を測定し、見つけることができたら次は対策です。発生した静電気をどのようになくすか。対象物が金属などの導体である場合は、アース(接地)が最も一般的な対策です。
アース(接地)による静電気除去の原理
対象物が導体であればアースを接続するだけで静電気をなくすことができます。アースについては前章「静電気とアースの関係」を参照してください。
アースは暮らしの中にも登場する、身近な静電気対策です。例えば、セルフ式ガソリンスタンドの静電気除去パッドです。静電気除去パッドはアースにつながっているので、手を触れると体にたまった静電気がアースを伝って逃げていきます。こうすることで気化したガソリンに放電して引火する事故を防ぐことができます。
生産設備でも同様の原理が活用されています。装置にアースを接続するだけで静電気はなくなります。
- 【特長】
- 接地するだけなので簡単。
金属などの導体には効果が大きい。 - 【注意点】
- 樹脂などの絶縁体には効果が無い。
接地・接続部分の外れ、汚れなどに注意。
事例1 リストストラップ
人体の静電気をなくすために使われるのがリストストラップです。作業台で手を使う工程によく用いられます。
下図のように、手首がアースにつながるような構造になっています。クリップをアースに接続すれば、人体にたまった静電気が地面に放電され、なくなります。
- リストストラップの使用例
- 【効果】
- 体にたまった静電気はすぐにアースへ逃げるので、体は常に静電気がない状態を保つことができる。
- 【注意点】
- クリップをアースにつなぎ忘れると効果が無い。
使用期間が長くなると摩耗や汚れで劣化する。
事例2 静電気防止床材
カーペットやフロアマット、張床材の中には、静電気を防止する素材でできているものがあります。静電気対策を実施したい現場の床に使うことで、作業者や機材の帯電を防ぐことができます。
導電性の素材を使っており、原理はアースと同じです。作業台や保管棚など、床に接する什器の静電気対策に用いられます。
- 静電気防止マットの使用例
- 【効果】
- 机上や床にマットを敷くことで作業者と作業台の静電気がなくなる。
- 【注意点】
- 経時劣化があるので定期的なメンテナンスが必要。