静電気の性質・大きさ

静電気にはプラスの静電気とマイナスの静電気があることは先に説明しました。
ここではその2種類の静電気がどのような性質を持っているのかを説明します。また帯電量の目安も紹介します。

クーロン力(静電気にはたらく力)

プラスの静電気とマイナスの静電気の間には、電気的な力がはたらいています。その力は磁石にとてもよく似ているため、磁石を例に説明します。

磁石にはS極とN極があります。S極とN極を近づけると磁石は引き合い、反対にS極同士、N極同士を近づけると、反発し合います。つまり、S極とN極の間には引き合う力が、S極同士やN極同士の間には反発する力がはたらいているといえます。この力のことを「磁力」と呼びます。

クーロン力

静電気にも磁石と同じことが起きています。プラスに帯電したものとマイナスに帯電したものは引き合い、反対にプラスに帯電したもの同士、マイナスに帯電したもの同士は反発し合います。

このことから、帯電したものには力がはたらいており、プラスに帯電したものとマイナスに帯電したものには引き合う力が、プラスに帯電したもの同士、マイナスに帯電したもの同士には反発する力がはたらいていることがわかります。この力のことを「クーロン力」といいます。

クーロン力

帯電列

静電気には、プラスの静電気とマイナスの静電気があることはこれまで説明したとおりですが、どのようなものがプラスに帯電して、どのようなものがマイナスに帯電するのでしょうか。
その性質をわかりやすく表現したものが帯電列です。

帯電列を見ると、どの材質がプラスに帯電しやすく、どの材質がマイナスに帯電しやすいのかを知ることができます。例えば、ナイロンはプラスに帯電しやすく、ポリエステルはマイナスに帯電しやすい材質です。ポリエステルとナイロンがぶつかった場合には、ナイロンはプラスに帯電し、ポリエステルはマイナスに帯電します。

また、帯電列に表示される2つの材質は、離れているほど大きな静電気を発生させます。
帯電列を用いると、その材質がプラスかマイナスのどちらに帯電しやすいか、発生する静電気は大きいか小さいか、この2点を知ることができます。静電気による困りごとが発生した場合は、帯電列を活用することで解決できる可能性があります。

帯電列
帯電列

より詳しい帯電列に関してはこちらを確認ください。

帯電量の目安

人の体も帯電します。車に乗るときにパチッと感じるのは、人体に帯電した静電気が放電するからです。日常生活の中で人が感じるような軽い痛みをともなう静電気の帯電量は、およそ3 kVとされています。1 kV以下の静電気であれば、人はほとんど感じないとされています。
しかし、製造現場など、品質観点や衛生面で厳しく管理されている場所では、人が感じないレベルの微細な静電気でもトラブルの元になりえます。静電気や放電が原因で起きる障害には、ホコリの付着や機器の不良から、発火・爆発までさまざまです。そのため、人が感じないレベルの静電気であっても、計測や管理が必要となる状況が存在するのです。

人体の帯電電位と電撃の強さ
人体の電撃電位[KV] 電撃の強さ
1.0 まったく感じない
2.0 指の外側に感じるが痛まない
3.0 針で刺された感じを受け、チクリと痛む
5.0 手のひらから前腕で痛む
6.0 指が強く痛み、後腕が重く感じる
7.0 指、手のひらに強い痛みとしびれを感じる
8.0 手のひらから前腕まで、しびれた感じを受ける
9.0 手首が強く痛み、手がしびれた感じを受ける
10.0 手全体に痛みと電気が流れた感じを受ける
11.0 指が強くしびれ、手全体に強い電撃を感じる
12.0 手全体に強打された感じを受ける

「静電気安全指針」産業安全研究所編

用語説明
電撃の強さ・・・放電によって電流を受けたときに感じる衝撃
電撃電位・・・人体と帯電物との電位差。人体への帯電量

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