数字が見える化したことで、課題への対策、解決方針の具体化、明確化が可能になりました。従来は、おそらくこうだろうという仮説に頼っている部分がありましたが、今は確かなデータが見えるので、数字をもとに、ここをこうしていこうという方針や意思決定ができます。
一例として、法人向け販売に特有のボリュームライセンス、提案サービスや単価の適正化があります。現在、営業担当者が10数人いますが、人それぞれ同じような場面でも提案するサービスや提示単価がちがう。その違いは何なのか、単価が高い担当者もあれば、そうでない人もいる。その中には新人もいて、その事情、状況も理解できる。また低単価なサービスを提案しているにせよ、契約自体はとれているわけで、一概に低単価であることが悪ともいえない。とにかく分析を通じて状況を知りながら、さまざまな軸で事象を切り分けて正しく捉え、どう全体を最適化していくか、そういう意識に変わってきました。
また提案サービス・単価の分析には俗説の検証という意味もある。関西や名古屋では提示単価やコスト要求が厳しいとか、そういう話が会話の中で出てくる場面があります。しかし、それは本当なのか、データをよく見れば、実はそこまで顕著な差異はなかったりもする。とにかくデータを通じ現実を見ていきたい。それが見える化だと考えています。
今はデータを通じ営業状況がガラス張りになり、各人の意識、行動も変わってきました。それこそ見積もりを出すとき、過去と類似したような場面で提案するケースでも、「今、お客様に最適なサービスや単価はどうか」、単純な過去の踏襲ではなく、データをもとに立ち止まってじっくり考える、という姿勢になった。やはり意識が変われば行動も変わります。
課題解決は、全方位で全部やりましょうといっても、なかなか手がつけられない。3つも4つもと言うと消化不良になる。そうでなく、まずここだけ何とかしよう、この1個だけやってくれればいい、それで今期はOKだ、のように絞った指示が可能になりました。
比較は分析の第一歩です。KIは前期と今期の結果を比較する機能が特によいですね。マトリックス上で、2つの項目を選んで、要因ツリー機能で比較し、深堀りをする。もし数字が下がっていれば、その要因となる最大値の項目が自動的に表示されたりして非常に便利です。ここまで便利だとは導入当初、想定していませんでした。分析の質や、思考のレベルが上がってきている実感があります。
社員がなにかを感じ、自らを変えるための説得材料として、数字には大きな力があります。まず営業部は、KIを活用し自分の、そして自社の売り上げがどう構成されているのか知り、もっと効率的に活動する、あるいはもっと代理店とよく話し合うなどし、自分で戦略を立てて、売り上げや利益を改善する。そして営業部だけでなく全ての部署で、常日頃から数字を意識して仕事をしていく、そんな意識づけ、企業文化を定着させていきたい。そのように構想しています。キーエンスには、私たちのそうした取り組みを、優れた技術、製品、サポートを通じて、支援いただくことを希望します。今後ともよろしくお願いします。