株式会社ナック(建築コンサルティングカンパニー)

株式会社ナック 取締役上席執行役員 建築コンサルティングカンパニー代表 大場 直樹氏、事業戦略室 室長 田中 慎吾氏に、KIを導入した経緯と効果について詳しく伺いました。

「データ分析の取り組みを進め、37%の利益増を実現しました」

株式会社ナック

株式会社ナックは「くらし」「すまい」を主な事業分野とする企業です。建築コンサルティングカンパニーの基幹部署である建築コンサルティング事業部では、全国の工務店経営者向けに集客、成約獲得、企画開発など各種経営ノウハウを提供しています。

[ナックグループ]
年商(取扱高) 549億円
従業員数 1633名
創業 1971年

※この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数で記述しています。

建築コンサルティング事業部で営業強化のためにKIを活用

ナックではKIをどのように活用していますか?

建築コンサルティング事業部では、今後、事業部全体をデータ主導の体制に変革します。変革はすでに進行しており、まず2019年以来、データ分析を通じた主力商品の価格の上方改定(値上げ)と、営業体制の強化をおこないました。その結果、2022年には、営業部での年商・利益がそれぞれ従来比136%、137%に向上しました。売上・利益、ともに「3年で4割増し」です。

KIはこの取り組みの中で、データ分析による集客、成約の強化、データ分析の社内浸透の部分で積極活用しています。

価格改定、現場のデータ分析力強化

KIを導入した経緯を教えてください。

(大場氏) 私は2019年にナック建築コンサルティング事業部長に再任しました。まず社内を観察したところ、現状、足りないのはデータ分析であるとすぐわかりました。逆にいうと、データ分析を徹底すれば、まだ成長できる。社内には大いに伸び代があるとも感じました。特に商品価格について、上方改定の余地はまだ十分あると考えました。

その後、前職と大学院を通じ体得した統計知識、そして使い慣れた分析システム(SPSS)を駆使し、各種データを綿密に検討した上、ここまでなら大丈夫という、価格改定幅をデータを元に正当性を客観的に算出し、価格改定の意思決定に至りました。

この価格改定を、売上そして利益の向上に繋げるには、顧客との接触や営業対応など、営業現場にも精緻なデータ分析を持ち込む必要があります。価格を上げて販売量が減ったのでは、年商も利益も結局、成長しないからです。この「現場へのデータ分析の導入」を模索していた時、出会ったのがKIでした。

導入目的が「現場での活用」である以上、そのツールは、現場の誰もが使える、簡単でわかりやすいものである必要があります。KIをはじめて知ったとき、使い勝手は洗練されており、申し分なく使いやすい、これなら現場で使いこなしていけると感じました。

また「キーエンス製のツールであることの説得力」も重要でした。営業担当者は、キーエンスの高い利益率のことを、良く知っています。なぜそこまで成果の出る営業ができるのか、興味・関心を持っている。そしてKIは、そのキーエンスが自社の手法を反映させて作ったデータ分析のツールであるということから、「使ってみたい」と自然に関心を持ってくれます。営業現場で活用するにはKIが最適であると考え、導入を決定しました。

営業現場での活用。重点顧客スコアリング

具体的に営業現場でどう使っていくのでしょうか?

KIは主に、「セミナー参加への促進」、「成約促進」に活用しています。

当社の営業は、まず「セミナーに来ていただくように働きかけること」が基本行動です。集客・成約・商品開発で悩みを持つ、全国の工務店経営者に向け、それを解決するためのノウハウセミナーをご案内します。そしてセミナー後のアンケートで、当社のノウハウをさらに詳しく知りたいお客様を抽出し、個別に面談し、お客様のお悩みをさらによく知り、その上で最適なノウハウ商品を提案していきます。近年は、月々定額制で、さまざまなサービスを制限なく活用いただける、サブスクリプションによるサービス提供にも注力しています。

現在はKIを使って「企業属性情報」「購買・契約情報」「セミナー参加情報」などを統合分析しています。まず「企業属性情報」とは、顧客の業種・業態・年商・営業利益・従業員数・社歴に関する情報です。帝国データバンクなどを通じこれらデータを集めています。データ量は、既存顧客のものが7000社分、未開拓の「新築戸建ての工務店」のものが約70万社分あります。

一方「購買・契約情報」とは、「誰がいつ、どの商品を、いくらで買ったか」の情報です。さらに「セミナー参加情報」、つまり「誰がいつ、何のセミナーに参加したか」の情報もあわせて分析します。

これらデータを分析するときの、論理の道筋ですが、たとえば特定商品Aに着目する場合、まず商品Aを過去に購入した顧客のデータを分析し、共通する傾向・特徴量を導出します。次に、まだ商品Aを購入していない顧客のデータの中から、この傾向・特徴量と合致する顧客を抽出します。これが「商品Aを今後、買う可能性がある顧客」の名簿となります。当社にはノウハウ商品が多数あり、それぞれが「特定の悩みや問題」に対応しています。商品の購買可能性を探れば、それが経営者の「悩みの内容、その深さ」をも指し示すことになります。

これ以外にも、さまざまな角度からデータ分析を重ね、それを統合し、顧客ごとに1点から10点まで、「経営課題の切迫性、悩みの深さ」についてスコアリングします。これにより、全国各支店の営業担当者は商談に行く前に、経営者の悩みの内容と深さについて見通しがつけられます。そして、その見通しに沿って商談を進め、商品を提案すれば「ちょうどそのことで悩んでいたんだ」と反応いただくことが期待できる。お互いにとって良い形になります。

価格上昇というある種の「逆風」にもかかわらず成約率が変わらなかったこと。その結果、年商・利益ともに4割増しを実現できたこと、これはKIの活用による「データに基づいた営業」が成果を収めたことの証といえるでしょう。

今後の展望 「成長継続のためにデータ分析の社内浸透を」

今後の展望、キーエンスへの期待をお聞かせください。

これまでデータ分析の徹底強化を通じ、売上と利益の両方で「数字に残る効果」を達成できました。今後は、この成長を継続するべく、社員ひとりひとりのデータ分析力をさらに強化していきます。

具体的には、今後、建築コンサルティング事業部は、営業部員からサポート部員まですべての社員について、ファイナンシャルプランニング・データ分析(統計学)・マーケティング・簿記に関する資格習得を、「必須義務」とします。建築コンサルティング事業部は「人がすべて」の業態であり、社員にとって事業部にとって、知識は文字どおり力(ちから)だからです。

現在は、事業戦略室でのみKIを活用していますが、なるべく早期に、事業部すべての社員が日常的にKIを触り、自ら課題を見つけ、自ら分析・解決していく。そんなあり方を実現していきたいと考えています。事業部全体のデータ分析力を、人を通じて底上げし、会社を成長させる、そんな未来像を描いています。

ナック建築コンサルティング事業部は引き続き、全国工務店の経営者の悩みを解決するべく良質なノウハウを提供し続けていく所存です。キーエンスにはそうした当社の取り組みを、優れた技術、製品、サポートを通じて支援いただけるよう期待しています。今後ともよろしくお願いします。

株式会社ナック

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