Meiji Seika ファルマでは、中期経営計画に基づき事業のデジタル化を推進しており、KIはその取り組みの中核ツールの一つとして全社的に活用しています。
現在、当社では研究開発、生産、品質管理、物流、マーケティング、経営管理など多岐に渡るバリューチェーンにおいて、デジタルを活用した業務課題の解決を目指す取り組みを進めています。
先般、これら課題を解決するための中核人材を育成する「デジタル・リスキリング・プロジェクト」を実施しました。このプロジェクトでもKIを活用しています。
Meiji Seika ファルマ株式会社 情報システム部 部長 小野田 誠氏、マーケティング・エクセレンス部 デジタルマーケティンググループグループ長 デジタルビジネス・アンバサダー 加賀 慎也氏、同所属 課長代理 デジタルビジネス・アンバサダー 大石 勝也氏に、KIを導入した経緯とその効果について詳しく聞きました。


「Meiji Seika ファルマでは中期経営計画に基づき事業のDX化を推進しています。KIは中核ツールの一つとして全社的に活用しています」
Meiji Seika ファルマ株式会社について
Meiji Seika ファルマ株式会社は、感染症領域のリーディングカンパニーとして、ワクチンによる予防から抗菌薬による治療まで感染制御のプラットフォームを提供している製薬企業です。
| 創業 | 1916年 |
|---|---|
| 年商 | 1兆1054億9400万円(明治グループ連結) |
| 従業員数 | 5575人(連結グループ会社含む) |
※この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数で記述しています。
Meiji Seika ファルマでは、中期経営計画に基づき事業のデジタル化を推進しており、KIはその取り組みの中核ツールの一つとして全社的に活用しています。
現在、当社では研究開発、生産、品質管理、物流、マーケティング、経営管理など多岐に渡るバリューチェーンにおいて、デジタルを活用した業務課題の解決を目指す取り組みを進めています。
先般、これら課題を解決するための中核人材を育成する「デジタル・リスキリング・プロジェクト」を実施しました。このプロジェクトでもKIを活用しています。
「デジタル・リスキリング・プロジェクト」は、全事業本部を対象に公募し、選抜したデジタル人材を育成し、事業のデジタル化を推進するプロジェクトです。半年間の「デジタルビジネス・アカデミー」でデジタルリテラシー、ビジネススキル、データ解析業務効率化手法などを学び、修了者は「デジタルビジネス・アンバサダー」として、中期経営計画で予定するデジタル投資案件の実装、新たなDX案件の企画立案などに取り組んでいます。KIは、同プロジェクトのデータ解析の講座で活用しました。
デジタルビジネス・アンバサダーは、ビジネス課題を抱える現場と、そのソリューションを実装するシステム部門の間に入る「通訳」あるいは「アーキテクト」としての役割を担います。このとき、KIによるデータ分析もアンバサダーの重要な武器となるでしょう。
KIの導入当初は、営業本部の数名で小規模に活用していましたが、その後、新設されたデータマーケティンググループが中心に使うようになり、その翌年には研究開発、生産、人事、くすり相談窓口など各部門に展開したところ、70名を超えるメンバーが活用し始めました。6か月平均の分析数も当初の1,240件から1年後には11,960件とおよそ10倍に増えています。この急速な浸透の背景には、デジタルビジネス・アンバサダーが果たした役割が大きいといえます。
営業部門ではAFE機能を使って、営業活動の分析、マーケティングの分析などを行っています。営業活動と売り上げとの因果関係の分析、つまり、今の施策が本当に最適なのか、別の未着手の施策の方が効果的でないか?あるいは別の薬剤で成功した施策が、この類似薬でも活かせるのではないか?これらのデータ分析を通じて営業方針の策定に役立てています。
また、新たな施策を見出すだけでなく、これまで習慣的に進め成果を上げてきた施策についてもKIを用いて分析することで、改めて正しい取り組みであったということを再確認できるとともに、データドリブンに意思決定された施策として取り組めるようになりました。MRの行動分析にも取り組んでいます。毎年優秀なMRを表彰する制度があるのですが、何度も表彰されるMRがいることに着目しました。この優秀なMRに共通する「特徴量」を特定しようという試みです。実際に、優秀なMRは営業活動の中で、医療関係者に対して共通の行動をとっていました。大量のデータを短時間で正確に分析することができました。
次にくすり相談窓口での活用ですが、受電した内容を分類し、グラフにして可視化することで分析しています。
これまではExcelで集約していた作業を、KIで集約しダッシュボードを作成して部署内で確認できるようになりました。
また、日々蓄積されているデータをまとめ、マトリックスなどを用いて傾向を分析し、社内の関係者にタイムリーに共有しています。情報共有例として、特定の製品に対する改善のご要望があります。製品の改善に対する要望に対して、データドリブンな意思決定に繋がっています。
今後の取り組みとしてはダッシュボードの関連部署への共有、FAQ作成にも活用することを検討しています。
KIの導入以前にすでにあったツールでも、データの集約や簡単な分析は可能でした。しかし昨今は、さらに深い統計分析をおこなう必要性が問われています。ただ、社内に統計学の素養を持った人材は、必ずしも多くはなく、また1から統計を学びなおす時間もおそらくありません。その前提のもと、早期に結果を出そうとするならば、やはりKIを使いこなしていくのが近道だと考えています。
KIなら、データを投入し、連結して可視化、グラフ化して要因解析するまでを、一気通貫で行えます。KIを活用することにより、おのずとデータに対するリテラシーが向上し、データドリブンな意思決定が通常化していくことを期待しています。
キーエンス社のデータサイエンティストの能力は非常に高く、いつも驚かされています。データを少し見ただけで、初見のはずなのに、すぐさま「これはこうですね」と本質を把握し、こちらの課題をすばやく助言してくれます。
製薬業界はデータを大量に保持しています。課題はそれをどう使いこなすかでした。ビジネス課題の特定はできても、データサイエンスをどのように進めればいいか悩んでいる時に、いつも的確なアドバイスをしてくれます。
また、業界の動向を知ることができるのも助かります。「こんな悩みがあるのですが、当社だけですか?」など聞くと、「業界的によくある課題感ですよ」であったり、「KIを用いてこんな風に分析することもできますので、一度ミーティングしましょう」などの回答があり、それらを通じて解決策を見出したり、自分たちの位置を知ったりすることもできます。
社内での議論、提案、検討が、常にデータに裏付けされている状態、そんな文化、データの民主化を実現していきたいですね。それが実現すれば、ひとつひとつの行動が意味のあるものになると共に、データで判断することで意思決定の速度と精度が向上します。そうなれば業務の効率化はおのずと進みます。
今後は社内へのプレゼンもパワーポイントに頼るのでなく、ダッシュボード上で展開する、そんな形にもっていければとも考えています。
また、データ分析をさらに社内に定着させていくにあたり、デジタルビジネス・アンバサダーが、データ民主化のナビゲーターとして活動していく必要があります。そのナビゲーションのための地図、ロードマップづくり、それをキーエンスにご支援いただければと考えています。そうした取り組みを通じて企業価値をさらに高め、世界に向けた医薬品のアクセス向上に貢献する、そんなDXを実現していきたいですね。