KIは役員からの紹介を通じてはじめて知り、その後、説明を受けた後、社内で検討、協議した結果、いまデータ分析を推進する上で、足りていない部分、開いている穴のような箇所が、KIの導入を通じて埋められるのではという話になり、一度、使ってみようという結論にいたりました。
また、KIを誰が使っていくかについては、最初の段階から「選り好みしすぎない」ことに留意しました。データ分析というと、つい「ITリテラシーの高い社員」に着目しがちです。しかし過去にRPAを導入したときの経験では、フタを開けてみれば、いちばん使いこなしているのは、通常イメージする「ITリテラシーの高い社員」とはまた異なった属性の社員でした。
そのような経験から、まずは営業部門の全員を対象にKIの勉強会を実施しました。勉強会は東京と大阪で開き、地方の社員はリモートで参加しました。このときキーエンスの方にも同席いただきました。
ひとしきり基本的な操作方法を伝えた後は「20分間こういうテーマで自由に触って分析してみてください」と課題を出しました。その課題への取り組みを見ていけば、KIを使いこなしていきそうな人材像がおのずと浮き上がります。
KIは「使わせる」というよりむしろ「たたき台を提示する」という方針で浸透させています。たとえば、新たに可能になった分析手法を告知、提示すると、営業部門から「その分析データに製品ごとのユニーク番号をつけてほしい」など現場ならではの要望が出てくる。そして、できるだけスピード感をもってその要望に対応する。この繰り返しを通じて、現場の需要に沿ったデータ分析のかたちをつくりあげていきます。
製造現場からも、こんな分析がしたい、これを付け加えてくれと要望が大量にでてくる。それをふまえ、おおまかなかたちを提示すれば、あとは現場が自分たちの感覚でどんどん工夫を重ねていく、そんな良い流れができてきました。
また数字を細かく捉えられるようになった。たとえば「得意先別の粗利」という視点。これを把握することができれば、得意先のうちどこが順調で、一方、どこがテコ入れ必要なのかが把握できる。「正しい数字」が部門に流れ込んでくることで、新しい判断基準が確立してきました。
この他、数字がちょっと下がってきているといった感覚があるとき、あらためてデータを確認して、その感覚を検証し、さらに原因を探っていく、そんな分析も可能になりました。
当社はルート営業、リピート注文が中心のBtoB業態ですが、その中で不調の原因を個別案件の失敗でなく、全体的な傾向に基づいて分析するのは、営業現場にとって新鮮な取り組みとなっています。
今まで捉えていた数字は、そのときどきの「点」の情報でした。それがKIの活用を通じ、ひとつながりの「線」として把握できるようになった。これは大きな変化です。