溶接ロボット制御の事例

ここでは、溶接ロボットの開先制御や溶接線の倣い(ならい)制御など、溶接ロボット制御の事例について解説します。

事例1:溶接線の倣い制御(トーチ位置制御)

微細加工が可能なレーザー溶接などでは、溶融する範囲が狭いため高精度な溶接線の検出とリアルタイムなフィードバックによるトーチ位置制御が必要です。

帯状のスリット光を照射する超高精細インラインプロファイル測定器「LJ-X8000シリーズ」なら、母材の位置や距離、開先形状を高速かつ高精度に検出し、リアルタイムなトーチ位置補正を行うことができます。それにより溶接ロボットのトーチ位置調整にかかる時間を大幅に削減し、スピーディかつ正確な自動溶接を実現します。

事例1:溶接線の倣い制御(トーチ位置制御)

事例2:レーザーブレージングにおけるシームトラッキング制御

ワイヤ状のろう材を母材の間に供給しながら、レーザーの光エネルギーによってろう接する「レーザーブレージング」は、母材の美観を維持しながら剛性の向上やタクト短縮を両立できるため、母材の美観に影響する抵抗スポット溶接に代わる次世代の接合技術として自動車業界を中心に採用が増加しています。
自動車のルーフやサイドパネル、トランクリッドなどの接合に「レーザーブレージング」を適用する場合、車体の複雑なアールに沿って幅の狭い溶接線を高精度かつスピーディに検出・倣い制御する「シームトラッキング制御」が欠かせません。

スリット状のレーザー光を用いた超高精細インラインプロファイル測定器「LJ-X8000シリーズ」を導入することで、ろう材ワイヤを挿入しレーザーを照射するシームの形状や位置、距離、高さ、段差などを高速かつ高精度に検出し、リアルタイムなロボット制御が可能となります。これは、「レーザーブレージング」導入における接合精度の向上やタクトタイム短縮の実現において、大きなメリットとなります。

事例2:レーザーブレージングにおけるシームトラッキング制御

事例3:電縫管の溶接位置測定

電縫管は、表面が滑らかで生産性が高いという特性があり、エネルギー分野や機械構造用、一般配管用など、幅広い用途で使用されています。同時に高い品質と安全性が求められており、信頼性の高い継手強度が不可欠です。
電縫管は、帯状の板を円筒状にロール成型し、継ぎ目を高周波誘導圧接で溶接します。このとき、継ぎ目がずれていると、正常に溶接することができません。

超高精細インラインプロファイル測定器「LJ-X8000シリーズ」なら、帯状のレーザーを広範囲に照射することで、材料の段差や隙間を高速かつ高精度に測定することができ、溶接不良の原因となる継ぎ目のずれを事前にチェックすることが可能です。

事例3:電縫管の溶接位置測定

事例4:溶接トーチの高さ制御

溶接時にレーザー変位計を用いてワークの位置や反り、変形、段差などによる高さの変化を素早く検出し、フィードバックすることで、溶接トーチの高さをリアルタイムに制御することができます。レーザー変位計が検出したデータをリアルタイムでロボットへフィードバックすることで、常時トーチが適切な高さになるよう自律制御します。これにより、溶接精度を向上すると同時にタクトタイムの短縮が実現します。

マルチカラーレーザー同軸変位計「CL-3000シリーズ」なら、変動する溶接線の高さの高速検出はもちろん、測定したデータを高速演算しフィードバックすることで、スピーディかつ高精度なトーチの高さ制御と、それによる溶接品質の向上を可能にします。
また、トーチの位置検出に複数の変位計を用いる場合も、「CL-3000 シリーズ」なら、1台のコントローラで制御が可能です。

事例4:溶接トーチの高さ制御

コラム:ティグ溶接ロボットのタングステン電極先端の形状検査

ロボットによるティグ(TIG)溶接では、タングステン電極からアークを発生させ、溶加棒を溶かして接合します。ロボットが連続して溶接を行っていると、電極先端の角度や曲がりといった形状変化が生じることもあり、これらは溶接不良の原因となります。
そこで、ロボットでのティグ溶接工程に2次元測定器による形状検査を取り入れ、電極先端の合理的な確認・保守を行います。

コラム「ティグ溶接ロボットのタングステン電極先端の形状検査」

【導入事例】インライン投影画像測定器によるタングステン電極先端形状の高速検査

ティグ溶接を行うロボットのブースにインライン投影画像測定器「TM-X5000シリーズ」を設置します。工程の中で、電極先端にかかる負担を考慮し、例えば50回の連続溶接ごとに1回など、インライン投影画像測定器による電極先端の形状検査のモーションを導入します。
「TM-X5000シリーズ」は、高速な形状検査が可能です。そのためタクトへの影響を最小限に抑えながら、電極の形状変化に伴う溶接不良の発生を未然に防ぐことができます。

インライン投影画像測定器「TM-X5000シリーズ」を用いた電極先端の高速検出

インライン投影画像測定器「TM-X5000シリーズ」を用いた電極先端形状の高速検査

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