株式会社イオンファンタジー

株式会社イオンファンタジー 財経本部 経営管理グループ FP&A マネジャー 魚里 文彦氏に、KIを導入した経緯とその効果について詳しく聞きました。

「ひとりでデータ分析をはじめた立ち上がり時期、データサイエンティストの伴走があることが本当に心強かったですね」

「ひとりでデータ分析をはじめた立ち上がり時期、
データサイエンティストの伴走があることが
本当に心強かったですね」

株式会社イオンファンタジー

株式会社イオンファンタジーは、全国のイオン・イオンモールなど大型ショッピングセンター内で「モーリーファンタジー」「ちきゅうのにわ」などファミリー向け遊戯施設を運営するアミューズメント企業です。

創業 1997年
年商 872億円
従業員数 7,772名

※この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数で記述しています。

活用状況・課題・効果

活用状況と効果

  • ・データ分析を通じ、クレーンゲーム機の最適配置の知見を得る
  • ・ゲーム機を売り上げ以外の軸で評価していく
  • ・時間内定額で遊び放題の「よくばりパス」を最適発行し、機会損失を防ぐ
  • ・週末の集計がKIで自動化され、人気のクレーンゲーム景品が早く確実に発注できるように
  • ・顧客満足度と店長によるスタッフ評価をダッシュボード上で並列表示し、一致度、乖離度を確認
  • ・生産性分析を通じ、店舗の人員配置を最適化

KIへの評価

  • ・データサイエンティストによりデータ分析の考え方、ノウハウを最初の段階で正しく学ぶことができた
  • ・細かい改善の積み重ねにより、1案件で約2,000万の粗利増大効果を見込む

クレーンゲームの「勝ちパターン」を見つける

イオンファンタジーではKIをどう活用していますか?

当社ではKIを使って、全国771店舗でのゲーム機の活用状況など各種データを分析し、顧客満足向上、機会損失の最小化、売り上げ最大化、人員配置の最適化を目指しています。

活用例としては「クレーンゲーム機の最適配置分析」「ゲーム機の新たな評価軸の創出」「機会損失の防止」「週次集計の高速化」「顧客満足のダッシュボード表示」「生産性向上の分析」などがあります。

まず「クレーンゲーム機の最適配置分析」。最近はクレーンゲームを大型店だけでなく、戦略的小型店を含め各店舗に積極展開しています。クレーンゲーム機は、大型のぬいぐるみを取るもの、小さなお菓子や雑貨、キャラクター商品を取るものなど種類が多様ですが、どんな店舗にどの種類のクレーンゲーム機を配置するのが最も効果的か、AFE(機械学習)機能を通じ、ある種の「勝ちパターン」を見出しています。

たとえば当社は同一イオン内に「モーリーファンタジー」と「クレーンゲーム専門の戦略的小型店(無人店舗)」の2店舗を出店している場合があります。このときモーリーファンタジーから戦略的小型店までの距離が、近ければ売り上げが良く、遠いと悪くなること、また戦略的小型店がモーリーファンタジーと同じ階にある方が、違う階にあるより売り上げが良くなることなどが、AFEを使うことで判明しました。

この理由はおそらくモーリーファンタジーから近い方が、スタッフが巡回しやすく、ぬいぐるみなど景品の入れ替えが頻繁に行われるからと推察されます。クレーンゲームの場合、ぬいぐるみが獲得された後に補充されていない場合、スタッフがすみやかに見つけて補充しないと、お客様が「なんだ、ゲームができないじゃないか」と不満を抱きながら帰ってしまわれます。こうした顧客不満足と、それによる機会損失を最小化するよう、ゲーム機は極力、巡回しやすい「近い場所」に設置する、これもひとつの勝ちパターンといえます。

売り上げ以外の軸でゲーム機を評価する

「ゲーム機の新たな評価軸の創出」とは?

モーリーファンタジーでは時間内定額で遊び放題の「よくばりパス」というサービスを展開しています。これは500円でパスを買えば、通常100円1回で遊ぶ乗り物ゲームや音楽ゲームが30分間どれでも遊び放題になるというサービスです。たとえば、最初はレースゲームで遊んだあと、次は太鼓をたたく音楽ゲームというように、ピピっとパスをかざして時間内で遊びまわることが出来ます。1,000円で60分遊べるパスもあります。

この「よくばりパス」の使用状況データ、つまり顧客がどのゲーム機でいつどのぐらい遊んでいるかについては、すでに400店舗分のデータが膨大に蓄積されていましたが、従来はデータが大量すぎて誰も手が付けられませんでした。しかし今はKIを使い短時間で分析することが可能になり、そこからゲーム機を評価する新たな知見、評価軸が獲得できました。

従来はゲーム機の評価は「それがいくら稼いだか」という売り上げ軸だけでした。しかしゲーム機の中には、売り上げはさほどでもないのに「よくばりパス」での利用実績が群を抜いているという機種があります。これは一定数の顧客が、そのゲーム機を目的にパスを利用している可能性を示唆しています。

この評価軸が役立つのはゲーム機を入れ替えるタイミングです。売り上げだけを評価軸にしていると、いくら「よくばりパス」で人気でも売り上げの高くないゲーム機は単に撤去されますが、それでは、そのゲーム機で遊ぶことを楽しみにパスを買っている顧客の不満足に繋がる可能性があります。データ分析が可能になった現在は、「よくばりパス」での実績が高いのなら、ではその台は撤去せず残していこうか、という新たな判断が可能になりました。

ゲーム機の使用状況を把握し機会損失を防止する

「機会損失の防止」とは?

「よくばりパス」の分析は機会損失の防止につながります。時間内定額遊び放題の「よくばりパス」は、店頭で発行し、貸し出します。しかし店内のゲーム機には限りがあり、たとえば5台しかない店舗で、それを超えるパスを貸し出すと、全員が十分に遊び放題を体験できなくなる可能性があります。結果、発行を店舗の判断で制限するといった運用となることも一部ではありました。

このような制限をどの程度、安全をとって実施するかは、店ごとスタッフごとの経験や勘、その場の感覚にゆだねられていました。しかしこうした発行制限は、そのまま機会損失につながるといった側面もあります。逆にいえば、ここの運用を改善することで、全体の売り上げを伸ばすことにも繋がるわけです。

KIを使って各店のゲーム機のプレイ履歴を分析し、この台数があるなら、この枚数まではパスを発行しても大丈夫という基準を確立しました。それにより現場の負担軽減、顧客満足度と売り上げの最大化が実現し、約2,000万円の粗利を増大させることができました。

集計を早めて景品発注を改善する

「週次集計の高速化」とは?

KIの導入により、週次のデータ集計が高速化しました。ファミリー向け遊戯施設では、土日が週内の繁忙期となります。このときクレーンゲームでは、土日の売り上げを月曜日に分析し、月曜日のうちに追加の景品を発注するという業務の流れになります。

従来は各店の売り上げの生データが本部に寄せられるのが、月曜日のお昼ごろでした。それから2~3時間かけてExcelで手集計し、夕方になって発注がかけられるといった状態でした。

しかし現在はKIにより集計がほぼ自動化され、Excel手作業の時間がなくなり、景品を格段に早く、そして確実に発注できるようになりました。クレーンゲームの場合、人気の景品は競合他社も積極的に買おうとするので、発注時間が早くなることはそれだけで有利です。

顧客満足度と店長によるスタッフ評価をダッシュボード上で並列表示

「顧客満足度のダッシュボード表示」とは?

当社では、各店舗で公式LINEなどを使い、毎月お客様満足度アンケートを取っています。アンケートは約20万件が集まるほどの規模で、ある程度の信憑性が確保されているデータといえます。これとは別に、半年に1回、各店の店長による自店スタッフの接客評価もおこなっています。

ダッシュボードではこれらのデータの集計情報を2つ対照表示し、両者の一致度(または乖離度)が見える化されています。店長はダッシュボードを見れば、「自分から見たスタッフの接客レベル」と「顧客から見たレベル」の一致度を自己チェックできます。

ダッシュボードでは自店と他店の比較も可能です。また、ある店舗でよい事例が見つかったとき、ダッシュボードがあれば、他店舗への水平展開が容易になります。

「生産性向上分析」を通じ、店舗の人員配置を最適化

「生産性向上の分析」とは?

当社は、全国規模で店舗展開しているため、働いているスタッフの数、そして人件費が比較的多くなる業態であり、したがって1人当たりの生産性を向上させることは常に重要な課題です。KIの導入により、これまで社内に散在していた勤怠データや契約時間データといった休眠データと売り上げや利益のデータをあわせて分析に利用することが可能になりました。これを分析することで、各店の人員配置、投入労働時間を最適化していきます。

データサイエンティストの伴走力。約2,000万円の利益改善

KIへの評価をお聞かせください。

やはりデータサイエンティストがすばらしい。本当にいつも助けられています。データ分析はどう仮説を立て、どう進めていくべきかというノウハウを初期段階でよく教えてもらいました。たとえば売り上げ分析をする際は、売り上げは客数と客単価で成り立ち、それを細分化するとしたらどのような観点が必要か、どう掘り下げていくべきか、といったことです。

単なるツールの活用支援ではなく、その先にある課題の解決を重視する、そのためのアドバイス、KIの使い方はあくまで手段にすぎない、そんな姿勢を強く感じています。

また社内でデータ分析をどう組織化し、誰をどの順番でどう説得していくかなど、KIの社内浸透の促進に関する支援もありました。

データ分析をはじめるとき、最初はボトムアップで、一人で地道にはじめていくこともあるかもしれません。データ分析の考え方すら分かっていない。社内でどう広めるか、組織化していくかも分からない。このような立ち上がりの時期に伴走者がいると本当に心強く、助かります。これからKIを導入する企業に、KIは単なるツールだけじゃない、必ず伴走支援がついていること、それを強く伝えたいですね。

KI導入後、細かい改善を各店で積み重ねた結果、約2,000万円の粗利増大効果が見込まれる案件も生まれています。キーエンスは当社にとって本当に、課題解決のための最高のパートナーです。今後ともよろしくお願いいたします。

株式会社イオンファンタジー

株式会社イオンファンタジー

「ひとりでデータ分析をはじめた立ち上がり時期、データサイエンティストの伴走があることが本当に心強かったですね」

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