すかいらーくグループ (ガスト、ジョナサン、バーミヤンなど)

すかいらーくグループ 和⽥ 千弘⽒に、KIを導⼊した経緯について詳しく聞きました。

「一日2億レコードのデータを集めています。これを使って1400万人規模のパーソナライゼーションを実現します」

すかいらーくグループについて

すかいらーくグループは、「ガスト」「ジョナサン」「バーミヤン」などで知られる外⾷企業です。和⽥千弘⽒は、現すかいらーく取締役常務執⾏役員CMO兼CTO。1992年第⼀勧業銀⾏(現みずほ銀⾏)に⼊社、その後、⼤蔵省、マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社、インターブランドジャパン代表取締役社⻑CEO、グーグル⽇本法⼈事業戦略部⾨⻑兼分析統括責任者を経て、2016年にすかいらーく社外取締役に就任、現在は取締役常務執⾏役員CMO兼CTOに就いています。

店舗数 3,167店(国内)
3,224店(国内外)
年商 3,664億円
従業員数 6,283名
クルー 104,165名
設⽴ 1962年

※この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数で記述しています。

1⽇2億レコードのデータを収集

すかいらーくグループには専⾨のデータ分析部⾨があると聞きました。

はい。マーケティング部の中に「戦略インサイトチーム」というデータ分析専⾨部⾨を設けています。ただし、データ分析には戦略インサイトチーム11名だけでなく、マーケティング部90⼈が「全員」で取り組んでいます。いま弊社では、ガストやジョナサンをはじめとする33ブランド3,200店と、2,000万ダウンロードを超えるアプリから、あらゆるデータを収集しており、その量は1⽇で2億レコードに及んでいます。このデータを、戦略インサイトチームを中⼼に、マーケティング部全員で分析していくのです。マーケティング部の社員は⼤半がファミレスの現場経験者、つまり「いらっしゃいませ」と接客し、料理を運んで、店を掃除していた店舗出⾝者です。その彼らも、KIをはじめとする各種ツールを使って、データ分析に取り組んでいます。レッドオーシャンと⾔われる飲⾷業界ですが、私は「データ分析についてはブルーオーシャン」だと考えています。

飲⾷業界はブルーオーシャン

「飲⾷業界はデータ分析については、ブルーオーシャン」とは具体的には?

飲⾷業界には⼤⼿から個⼈飲⾷店まで、多くのプレイヤーがひしめいています。特に⽇本は、⼀⼈あたり外⾷店舗数が、実にアメリカの数倍に達しており、市場はすでに飽和状態といえる。たしかに全体としては、競争の激しいレッドオーシャンです。では「データ分析についてはブルーオーシャン」とはどういうことか。それほど競争が激しいなら、精緻なデータマーケティングが発達して良さそうなものですが、私の知るかぎり、飲食業界ではまだできていないのが現状です。もちろん、アプリでクーポンを配ったり、ポイントカードを発⾏したりはしています。しかしそれは「値引き販促」であり、データ分析ではありません。EC業界ではAmazon社をはじめ、顧客のデータ分析は当たり前です。飲食業界の隣接業態である⼩売業界でも、例えば、⽶ウォルマートは圧倒的なテクノロジー投資を進めており、⽇本でもコンビニ業界などがデータを積極活⽤しています。ところが同じ消費者を相⼿にしたビジネスなのに、飲食業界ではデータ分析がほぼ⼿つかずの状態なのです。この状況は、考えようによっては⼤チャンスです。チャレンジすることによって⼤きな成果が得られる。まさにブルーオーシャンです。

誰もやらないからこそ、チャンス

なぜ飲食業界では、データ活⽤が進められないのでしょうか?

理由はおそらく、今までの飲食業界が、標準化された店舗オペレーション、知名度、ブランド、ある程度おいしいメニュー、そして有利な店舗⽴地によってチェーンストアをつくることができれば、ある程度⽣き残っていける、そんな業界だったからだと思います。とはいえ、今後、人口の減少により、チェーンオペレーションが成り⽴たなくなる企業も出てくるでしょう。2025年あたりに飲食業界の転換点が来るような気がします。だから今、変わっていかなければならない。単に美味しいメニューを揃えて、顧客の来店を待っているだけでは不⼗分です。⼀歩踏み出して、データを駆使し、顧客の好みや⾏動パターンを知り、「今⽇はこんなメニューが⾷べたくなるのではないか」とこちらから顧客のニーズの変化を先読みしていく必要がある。データ分析は、それを実現するためのものです。

1,400万⼈規模のパーソナライゼーション

顧客を属性ごとにきめ細かく分析していくわけですね。

いや、それだけではぜんぜん⾜りません。年齢、性別、職種、地域ごと、あるいは季節、天気、温度ごとの分析は当然必要です。でもそれは当たり前の話であって、これからはもっと先を目指します。いまガストやジョナサンなど全国3,200店舗に年間延べ4億⼈が来店しています。そして私たちのアプリをダウンロードした⽅が2,000万⼈。このうち1,400万⼈分のアプリは、今でもスマホから削除されず残っています。この1,400万⼈が、弊社がリーチできる顧客の数といえます。私がやりたいのは、この1,400万⼈に「ワントゥワンで接客・提案」することです。属性別のような⼤ざっぱな話ではなく、1,400万一人一人に対し、1,400万とおりの個客対応をしたいのです。そもそも私は「飲食業界、特にファミリーレストランほどデータマーケティングに向いている業態はない」と思っています。

ファミリーレストラン業態が、データ分析に向いている理由

どんな点でファミリーレストランはデータ分析に向いているのですか?

⼤きくは次の3点です。

  • POINT1ファミレスは、来店に習慣性がある
  • POINT2⾷は、⼈それぞれの嗜好の違い(好き嫌い)がハッキリしている
  • POINT3データ分析による「のびしろ」が⼤きい

データが蓄積されやすい、試行錯誤の機会が得やすい

POINT 1 「来店に習慣性がある」とは具体的には?

ファミリーレストランは基本的に「地域密着ビジネス」です。顧客の多くは、「近隣住⺠の方」か、あるいは、外出先、出張先で、ガストやジョナサンなど『いつも⼊っているお店』に来店される「リピート顧客」です。このリピート性は、「数年に⼀度しか買わないクルマ」、「⼀⽣に⼀度しか買わない住宅」などと⽐べ、データマーケティングをおこなうとき、きわめて有利です。というのも、まず同じお客様に何度も来店していただくと、それだけデータの蓄積量、ひいては分析の精度が上がります。また分析を通じて得た知⾒を使って、その方が再来店したとき、さまざまな提案をすることができる。試⾏錯誤の機会が多く持てるわけです。データはどんどん蓄積される。提案を繰り返し、より品質の高い商品を開発する。これが飲⾷業界の特徴です。

属性で割り切れない、好き嫌いが⼈それぞれ違う

POINT 2 「⼈それぞれ嗜好の違い(好き嫌い)がハッキリしている」とは?

⾷の分野では、⼈それぞれに、「少し⾟いものが好き」「⾁が好き/⿂が好き」「パリッとしたものが好き/トロッとしたものが好き」「脂っこいものが好き/さっぱりしたものが好き」など嗜好、好き嫌いが明確に存在します。また「健康のため塩分は控えめに」「やせたいのでカロリーに注意」「アレルギー⾷材はNG」など美容、健康上の理由にもとづく条件もあります。これら嗜好や選別条件の組み合わせは、完全に個⼈的なもので、属性、性別、年齢で割りきれません。つまりパーソナライゼーションが必要になります。お客様⼀⼈⼀⼈の嗜好を知り、それに基づき「今⽇はこんなメニューはいかがですか?」とこちらから提案していく。その提案は⼀⼈⼀⼈について、天候、季節、来店頻度に応じて変える必要もあります。⾬の⽇、晴れの⽇、暑い夏、寒い冬で、⾷べたいものは当然、変わるからです。時には変化球の提案も必要でしょう。いくら「⾟いモノが好き」といっても、毎回それでは飽きられてしまいます。こういう顧客対応は、特に⽬新しい話ではありません。⼩料理屋の⼥将さんが常連さん一人一人に対し、「今⽇はあの⼈に、こんなものをおすすめしてみよう」というのと同じです。違いは、それを1,400万⼈規模でやろうとしている、ということです。

のびしろが膨大

POINT 3 「データ分析による『のびしろ』が⼤きい」とは?

私が⼊社する以前から、弊社には「データを集める」という⽂化がありました。しかし、それを精緻に分析していたわけではなかった。販促施策はデータを横⽬で⾒ながら、最後は経験とカンで決めていたわけです。施策の成功率は6割〜7割で、これはこれで悪くないともいえますが、逆にいえば3割〜4割は失敗していました。ここをデータ分析で改善したい。徹底的にデータを取り、成功したときはなぜ上⼿く⾏ったのか、失敗したときは、なぜダメだったのかを明確にし、施策の成功率を⾼めていきたいのです。たとえば店舗の看板。ガストの看板は、街の中でよく⽬⽴っている⽅だと思うのですが、実は各店舗、各看板ごとに徹底的にデータを取り、それに基づいて看板の⼤きさ、位置、⽅向など決めています。決して、⾚だから⽬⽴っているという話じゃないんです。これと同様に、販促に関するあらゆる要素をデータ分析し、ムダを取っていきたい。今まで取り組んでいなかった分、「のびしろ」は膨⼤にあると考えています。

データ分析は「全員」がやる

今回、KIを導⼊した⽬的、経緯を教えてください。

KIを導⼊した⽬的は、「データ分析の⺠主化(全員化)」です。データ分析はマーケティング部の全員がやるべきものです。⼀部の⼈が、「依頼があればデータ分析してあげますよ」というのではなく、全員がやる、誰でもやる。データ分析を特別扱いしない、これが基本です。統計や分析の⾼度知識を持つスタッフはわずかです。このリテラシーのバラつきを考慮し、データ分析ツールは必ず使えるものを導⼊しなければいけません。

ツールは使いやすいだけではダメ

現場系の社員にはどんなツールが最適なのでしょうか?

表計算ソフトでは、⼤量のデータを扱うことはできない。その点、KIは「⼗分なデータ分析の性能」と「使いやすさ、シンプルさ」を兼ね備えています。この2要素のバランスで、KIはダントツでした。今後KIはマーケティング部⾨全員にバシバシ使ってもらいます。クリエイティブをどんなデザインにするべきか、どんな⼈にどんなタイミングでアプローチするべきか。1⽇2億レコード集まるデータを基に、ディープに考え抜いてほしいと思っています。

先⾏ユーザーとしてのアドバイス

現在、データ分析ツールの導⼊を検討している企業に向けて「先⾏ユーザーとしてのアドバイス」などあればお聞かせください。

まず、本当の意味で「使えるツール」を導⼊する必要があります。私は社員に「このツールを使え」と指定したことはありません。そうではなく、使うと本⼈が楽しくなる、仕事が良くなる⼿応えがある、そういうツールを導⼊して、あとは社員が⾃主的に考えながら使う。これが⼀番良いデータ分析の浸透⽅法だと思います。

すかいらーくグループ

「一日2億レコードのデータを集めています。これを使って1400万人規模のパーソナライゼーションを実現します」

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