ダイレクトパーツマーキング
ダイレクトパーツマーキングにおいて、自動認識コードの中でも、限られたスペースへ大量の情報を付加することを目的として、2次元コードを利用されることが主流となっています。
2次元コードを利用することで情報量が多くできるため、製造履歴管理だけでなく、生産管理にも数多く利用されています。
- 医療用具への2次元コード印字

- リードフレームへ1mm以下の2次元コード印字

- PCBへの2次元コード印字

材質によるマーキング方法
ダイレクトパーツマーキングを行う部品の素材により、加工方法が異なります。
レーザーマーカーなどでは、以下のような加工方法でダイレクトパーツマーキングを実現しています。
| 加工内容 | 主な対象物の材質 |
|---|---|
| 表面を溶かす | 樹脂 |
| 焦がす | 紙、樹脂 |
| 表面層をはがす | めっきした金属、印刷した紙 |
| 表面を酸化させる | 金属 |
| 削る、彫る | ガラス、金属 |
| 変色させる | 樹脂 |
- ※樹脂の種類により反応が変わります。
- ※レーザー方式は、CO2、YAG等の限定をせず記載しています。
レーザーマーキングでは、レーザービームを細く絞ることで、微細な電子部品へのダイレクト印字や、極小スペースへの印字が可能となります。また、印字精度も高くなるため、極小スペースや極小部品であっても大容量データの自動認識コードが印字可能となります。
印字用レーザーの種類としては、一般的にYAG/YVO4/ファイバレーザと、CO2レーザに分かれます。
CO2レーザーは、カートン、樹脂、ガラス、木材など、多くの用途に使用されています。YAG/YVO4/ファイバレーザは、金属への印字が可能な上、多くの樹脂を発色させる効果があります。
材質ごとのマーキング機器の選定目安です。
| 材質名 | SHGレーザ | YVO4/YAG/ファイバレーザ | CO2レーザ | インクジェットプリンタ |
|---|---|---|---|---|
PE(ポリエチレン) |
◎ |
○ |
○ |
○ |
PC(ポリカーボネイト) |
◎ |
○ |
○ |
◎ |
PP(ポリプロピレン) |
◎ |
○ |
○ |
○ |
POM(ポリアセタール) |
◎ |
◎ |
○ |
◎ |
PBT(プリブチレン・テレフタレート) |
◎ |
◎ |
○ |
◎ |
PET(ポリエチレン・テレフタレート) |
× |
× |
○ |
◎ |
ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン) |
◎ |
◎ |
○ |
◎ |
EP(エポキシ) |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
PF(フェノール) |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
UF(ユリア) |
◎ |
◎ |
◎ |
△ |
PVC(塩化ビニール) |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
PA(ポリアミド) |
◎ |
◎ |
○ |
◎ |
SI(シリコン) |
◎ |
○ |
× |
○ |
| 材質名 | SHGレーザ | YVO4/YAG/ファイバレーザ | CO2レーザ | インクジェットプリンタ |
|---|---|---|---|---|
鉄 |
◎ |
◎ |
× |
◎ |
アルミ |
◎ |
◎ |
× |
◎ |
ニッケル |
◎ |
◎ |
× |
◎ |
ステンレス |
◎ |
◎ |
× |
◎ |
銅 |
◎ |
○ |
× |
◎ |
金 |
◎ |
○ |
× |
◎ |
| 材質名 | SHGレーザ | YVO4/YAG/ファイバレーザ | CO2レーザ | インクジェットプリンタ |
|---|---|---|---|---|
セラミック |
○ |
○ |
○ |
◎ |
木材 |
△ |
△ |
◎ |
◎ |
紙類 |
△ |
△ |
◎ |
◎ |
ガラス |
△ |
× |
◎ |
○ |
ゴム |
◎ |
◎ |
◎ |
○ |
2次元コード マーキング時の注意
ダイレクトパーツマーキング(DPM)では、印字された2次元コードを、コードリーダを使用して安定した読み取りを実現する必要があります。2次元コード仕様と、コードリーダの読み取り特性を考慮した2次元コードの印字を行いましょう。
2次元シンボルの仕様に注意する① ~ クワイエットゾーン(マージン)~
右の2次元シンボルは、人の目から見れば、非常にきれいな印字状態ですが、2次元シンボルの仕様から逸脱しているため多くのコードリーダでは読み取れないケースが発生します。
どちらのQRコードも、コード自体の印字状態は、非常に印字精度の高いものとなっていますが、QRコードの外側にあるラインや模様の(赤枠)の位置が、QRコードの余白にかかっており、QRコードの仕様を満たさない状態となっています。
この余白をクワイエットゾーン(マージン)といい。2次元シンボルにより、以下のような広さを必要とします。
- QRコード:最小セルサイズの4倍以上
- MicroQRコード : 最小セルサイズの2倍以上
- DataMatrixコード :最小セルサイズの1倍以上
2次元シンボルの印字位置に関しては、上記のようなクワイエットゾーンを十分に確保できるような位置としてください。
2次元シンボルの仕様に注意する② ~ セルとスペースの構成 ~
一般的に2次元シンボルを印字する場合は、ワーク面に対してセルを印字するケースが多くなります。
そのため、以下のような印字状態のセルとなり、2次元シンボルの仕様を逸脱する場合があります。

または印字時間が長い状態

レーザーマーカーの印字条件により、ワーク面に印字した2次元シンボルの状態が変化します。
2次元シンボルのセルを印字するため、レーザーパワーの強弱や、印字時間の長さにより、印字が細くなったり、印字されたセルが大きくなることで、2次元シンボルのセル形状が異形化したり、スペース部分を焼きつぶしたりする事象が発生します。
2次元コードは以下の条件で、セル、スペースの大きさを規定しています。
- セルの縦:横比率 = 1:1
- セル:スペース比率 = 1:1
2次元シンボルの印字条件決定時には、上記のようなセル、スペースの比率を満足するような条件を設定してください。
2次元シンボルの仕様に注意する③ ~ セルサイズ ~
ダイレクトパーツマーキングでは、刻印機、およびレーザーマーカーで2次元シンボルのセルをドット印字するケースが多く有ります。ドット印字されるセルは、印圧等によりセル自体が小さくなったり、ワーク条件によっては、位置ずれが発生し、2次元シンボルの仕様から逸脱するケースが発生します。
小ドット
左図の状態では、ドットサイズが小さくなり、DataMatrixコードのアライメントパターンに隙間が発生しています。
ドットずれ
縦方向のセル位置が、1段ごとにずれています。そのため、正しいセルレイアウトとならず、アライメントパターンも直線ではなくなっています。
↓
アライメントパターンが正しく印字されていない場合、コードリーダが正しくDataMatrixコードの位置を認識できず、読み取りできないケースが発生します。
ドット印字のセルについて
正方形で印字した場合
通常2次元シンボルのセルは正方形で印字するため、セルとスペースの比率は1:1となります。
ドット印字した場合
セルをドット印字した場合、セルの形状とスペースの形状が異なってくるため、ドット中心を基準とした場合のセル:スペース比率が1:1となっても、それ以外の部分ではセル<スペースとなります。
- ①のラインの比率 = 1:1:1
- ②のラインの比率 = 1:2:1
印字圧がさらに低くなると…
ドットの印字圧が小さくなると、セル:スペース比率がさらに小さくなるため、注意が必要です。
2次元シンボルとしての正しいセル:スペース比率が、印字圧の変化により、ドットが小さくなり、スペースが広い状態になる傾向があります。コードリーダによっては、比率以上として、読み取りできない事象が発生する可能性があります。
このページのまとめQ&A
Q. DPM(ダイレクトパーツマーキング)が利用される理由は何ですか?
A. 部品へ直接印字でき、狭いスペースでも大きな情報量を保持できるため、確実な履歴管理が可能です。
Q. 材質によってマーキング方法が異なるのはなぜですか?
A. 樹脂・金属・ガラスなどで反応が異なり、溶かす・削る・酸化させるなど適切な加工方法が必要なためです。
Q. レーザーマーカーが多く使われる理由は何ですか?
A. 微細印字が可能で、極小部品にも高精度な2次元コードをマーキングできるためです。
Q. DPMで注意すべき印字仕様は何ですか?
A. クワイエットゾーンの確保、セルとスペースの1:1比率、セル形状の乱れ防止が重要です。
Q. ドット印字時の注意点は何ですか?
A. 印字圧不足でセルが小さくなると規格から逸脱し、位置検出ができず読み取り不能になるためです。
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