サーマルプリンタ
プリンタの精度
サーマルプリンタは「サーマルヘッド」と呼ばれる印字ブロックに組み込まれた発熱素子(ヒートエレメント)を加熱することで印字する方式をとっています。この発熱素子の密度がプリンタの精度を決定します。
この密度は、「dpi」というドット密度を表す単位で表現します。 dpi は”dot per Inch”の略で、1インチ(25.4mm)当たりの印字可能なドット数を表しています。 この数が大きければ大きいほど精度が高い印字ができます。
「dpi」は図のように、25.4mm内にいくつドットが並ぶかを示す単位です。
プリンタのドット密度と印字可能なセルサイズ
以下にプリンタのドット密度による印字可能なセルサイズを表にまとめています。
200dpi 8ドット/mm |
300dpi 12ドット/mm |
400dpi 16ドット/mm |
600dpi 24ドット/mm |
|
---|---|---|---|---|
1ドット |
0.127mm |
0.084mm |
0.063mm |
0.042mm |
2ドット |
0.254mm |
0.169mm |
0.127mm |
0.084mm |
3ドット |
0.381mm |
0.254mm |
0.190mm |
0.127mm |
4ドット |
0.508mm |
0.338mm |
0.254mm |
0.169mm |
5ドット |
0.635mm |
0.423mm |
0.317mm |
0.211mm |
6ドット |
0.762mm |
0.508mm |
0.381mm |
0.254mm |
7ドット |
0.889mm |
0.592mm |
0.444mm |
0.296mm |
8ドット |
1.016mm |
0.677mm |
0.508mm |
0.338mm |
9ドット |
1.143mm |
0.762mm |
0.571mm |
0.381mm |
2次元コードを印字する場合は必ずセルを3ドット以上で印字にしてください。
1,2ドット印字では印字状態が非常に悪くなります。(上記の表では1,2ドットの部分は灰色となっています。)
熱転写プリンタでのラベル、 インクリボン、 粘着剤の選定
熱転写プリンタを使用する上で、ラベルの使用環境により、貼り付けるラベルの種類、インクリボンの種類、粘着剤の種類を選定する必要があります。
その選定のポイントを解説します。
ラベルの種類と選定
熱転写プリンタ用のラベル基材としては、以下の種類のものが使用されます。
コート紙
紙基材のラベルで、印字特性に優れています。耐環境性が要求されない場合に多く使用されます。
フィルム基材のラベルに比べ安価です。
合成紙
合成紙はプラスチック・フィルム基材に印刷特性の良いコート層を設け、紙のように印刷しやすくしたもの。 最近使用が増えたものとしてユポ紙があります。耐候性(雨や太陽光にも耐えうる)に優れたラベルです。
塩化ビニル・フィルム
耐候性に優れたラベル。耐熱ラベルとしては使用できません。
ポリエステル・フィルム(PET)
フィルム基材のラベルで、耐環境性に優れています。特に耐熱性が高く、最大約150℃に耐えます。
通常は、白色顔料を練り込んだもの(白色のラベル)が使用されますが、アルミ蒸着により銀色に加工したラベルも使用されています。このラベルは銀色であるため、2次元コードリーダにとってあまり読み取りやすいといえません。使用する上では十分な読み取り確認が必要です。
ポリイミド・フィルム
ポリエステル・フィルムに比べ、さらに耐熱性に優れたラベルです。最大約300℃の環境で使用できます。耐薬品性にも優れています。
セラミックラベル
熱を加えることで、ラベルの成分が被着体と焼結し、強固に接着します。焼結されたラベルは、耐熱性、耐薬品性、耐候性に優れたラベルになります。一度熱処理が入る工程、例えば、ブラウン管製造、特殊ガラス製品製造、金属部品熱処理工程、セラミック製品製造において使用されます。
ラベルの種類 | 耐熱性 | クリーンルームでの使用 | 耐候性 | 耐薬品性 | コスト |
---|---|---|---|---|---|
コート紙 |
× |
× |
× |
× |
安高 |
ユポ紙 |
× |
○ |
○ |
× |
|
塩化ビニル・フィルム |
× |
○ |
○ |
× |
|
ポリエステル・フィルム |
○(150℃) |
○ |
○ |
○ |
|
ポリイミド・フィルム |
○(300℃) |
○ |
○ |
○ |
|
セラミック・ラベル |
○(450~1000℃) |
- |
○ |
○ |
コスト
安
高
- フィルム系のラベルは、破れた時にダストが出ない為、クリーンルームでも使用できます。
ただし、クリーンルームで使用する際は、ラベルの台紙についても無塵紙を使用する必要があります。 - 耐候性とは、雨や太陽光に対する耐性を示します。
- コストについての詳細はラベルの販売元にお問い合せください。
インクリボンの種類と選定
インクリボンには材料から大きく分類すると、「ワックス系」と「樹脂系」の2種類があります。
「ワックス系」は、わずかな温度変化で融解するため、インクリボンの材質として非常に適しています。
「樹脂系」は、耐擦傷性(こすれに強い)に強く、融解する温度が高いため、耐熱性に優れています。
ただし、サーマルヘッド及び印字するラベルの種類に相性の善し悪しがあるので、インクリボンメーカーに事前確認が必要です。
ワックス系 | 樹脂系 | |
---|---|---|
転写性 |
○ |
△ |
耐擦傷性 |
× |
○ |
耐熱性 |
× |
○ |
耐水性 |
○ |
○ |
耐候性 |
○ |
○ |
コスト |
低 |
高 |
インクリボンの種類と選定
粘着剤の選定に際しては、以下のポイントがあります。
- ラベルが商品に恒久的に貼り付けされるのか(強粘着タイプ)、後ではがす必要があるか(弱粘着タイプ)
- どのような環境で使用するか(耐水用、耐熱用、冷凍食品用など)
- 何に貼り付けするか(プラスチックに貼るか、柔らかい容器に貼るかなど)
- 貼り付け方法はどうするのか(ラベリングマシンで自動貼り付け、手貼りする)
これらの条件を確認後、各ラベルメーカーに問い合わせることになります。