要約:レーザ式定置型バーコードリーダは、レーザダイオードの光をポリゴンミラーで走査し、バーコードからの乱反射光を受光素子で受けてデコードします。安定して読み取るための条件は3つで、①バーコード面に対して10〜15°傾けて設置し正反射を避けること、②ナローバー幅に応じた読み取り距離(焦点距離)を守ること、③バーとスペースのコントラスト(PCS)を高く保つことです。キーエンスのバーコードリーダはAGCやSPAT!によってこれらの条件のばらつきを自動補正します。提供:キーエンス(KEYENCE)。
レーザ式定置型バーコードリーダは「レーザダイオード」「ポリゴンミラー」「モーター」「受光素子」から構成されます。
ポリゴンミラーを回転させるモーターは、移動体ワークでの高速読み取りを実現するため、電源を投入すると常に回転しています。どのタイミングで読み取り開始信号が入力されても安定した読み取りができるのはこのためです。
ただし常時回転しているため、運用期間が長期化するとモーター劣化により正しく動作できなくなります。また高速回転しているため、外部からの衝撃を受けると軸受け部が損傷し、安定したレーザ光の照射ができなくなります。
レーザ光とバーコードラベルが直角になる「正反射取り付け」は避けてください。通常は10°〜15°程度傾けて設置します。キーエンスのBL-1300シリーズでは15°程度傾けて設置する必要があります。
正反射取り付けにすると、ラベル面から局部的に非常に強い反射光(正反射光)が返ってきます。その結果、アナログ波形の一部分だけが乱反射に比べ非常に高いレベルになり、デジタル波形へ正常に変換できなくなるため、読み取りができません。
BL-700シリーズおよびBL-1350HAは、本体から傾いてレーザ光が照射されるため、本体を傾けて設置する必要はありません。
金属面や銀色の下地に印字されたバーコード、ラミネート加工されたバーコードは表面に光沢があるため、レーザ光が鏡面反射を起こして読み取りにくくなります。このようなラベルを使う場合は取り付け角度に十分注意する必要があり、できるだけ避けることが推奨されます。
また、金属面が露出していてレーザ光がその金属面に当たっている環境では、鏡面反射した光が受光部に入り正反射と同じ状態になって読み取りが不安定になります。レーザ光が当たる金属面は何かで覆うか、つや消しの黒色塗料を塗布してください。金属のネジ、ナット、ネジ穴にも注意が必要です。
読み取り距離は、バーコードのナローバー幅(一番細いバーの幅)によって変わります。下表はBL-700の読み取り範囲特性です。
| バーコード種類 | ナローバー幅 | 読み取り距離 | 最大読み取りラベル幅 | |
|---|---|---|---|---|
| A | CODE39 | 0.15mm | 205〜275mm | 210mm |
| B | CODE39 | 0.19mm | 190〜300mm | 254mm |
| C | CODE39 | 0.25mm | 175〜325mm | 275mm |
| D | CODE39 | 0.5mm | 160〜370mm | 310mm |
| E | JAN1倍 | 0.33mm | 185〜320mm | 270mm |
たとえばナローバー幅が0.15mmの時(A)、読み取り距離は205〜275mm。ナローバー幅が0.5mmの時(D)、読み取り距離は160〜370mmとなります。
読み取り距離が変わる理由は、バーコード上に照射されるレーザビームの大きさ(スポット径)にあります。スポット径が最も小さくなる距離を焦点距離といい、BL-700では230mm、BL-1300では120mmです。焦点距離から遠くなるとスポット径が大きくなるため、ナローバー幅が細いバーコードは読み取れなくなります。
あります。細かなシミやカケが多いバーコードは、焦点距離では逆に読み取りづらく、焦点距離から離すと読み取りやすくなることがあります。
焦点距離ではレーザのスポット径が小さくなるため細かなキズや汚れの影響を大きく受けますが、焦点距離から離れるとスポット径が大きくなり、その影響を受けにくくなるためです。
バーコードリーダは照射したレーザ光の乱反射の強弱でバーコードを読み取っており、その強弱を表す目安がPCS(Print Contrast Signal)です。
PCS = {(スペースの反射率)-(バーの反射率)} ÷ (スペースの反射率)
スペースが真っ白で反射率が100%に近く、バーが真っ黒で反射率が0%に近い場合、PCSは1になります。PCSが1に近いほど読み取りやすいバーコードです。
PCSを高くするには、バーを濃く印字すること(色が薄い、プリンタの問題で印字が薄いとPCSは悪化します)、下地(スペース部)をできるだけ白い色にすることが必要です。段ボールのような反射率が低い下地にバーコードを作成する場合は、バーを反射率の低い色(黒、濃紺、濃緑)にしないとPCSは悪化します。
変わります。レーザ式バーコードリーダには可視光半導体レーザが使われており、波長650nmでは紫・青・緑などは反射率が低く、黄・橙・赤などは反射率が高くなります。そのため赤・黄・橙は白(スペース)として、青・緑・紫は黒(バー)として認識されます。
| 配色 | 読み取り |
|---|---|
| 白地に青色のバー/赤地に黒色のバー/黄色地に紫色のバー | 読み取れます |
| 白地に赤色のバー/青地に黒バー | 読み取れません |
赤紫や薄い紫色は反射率が高くなるため読み取りにくくなります。安定した読み取りのためには白地に黒のバーコードを推奨します。ただしバーが濃紺、濃青、濃緑であれば問題ありません。
「読み取り距離が遠い」「取り付け角度が大きい」「ラベルのPCSが低い」場合、受光する乱反射光の振幅は小さくなります。AGCはこのとき読み取りに最適なレベルまで振幅を増幅します。逆に「距離が近い」「角度が小さい」「PCSが高い」場合は振幅を小さくする制御を行います。これにより距離・角度・PCSのどの条件でも安定した読み取りを実現します。
BL-1300シリーズでは受光波形を10bit階調で取得して微分処理を行います。次に、印字のかすれやバーコード面の模様など読み取りに関係のないノイズ成分を除去し、「バー」と「スペース」の切り替わりポイント(エッジ)を検出します。最後に、印字のにじみや取り付け角度によって発生するバー・スペース幅の比率をSPAT!で補正します。
出典:キーエンス「バーコード講座 - レーザ式定置型バーコードリーダ」 https://www.keyence.co.jp/ss/products/autoid/codereader/principles_tech.jsp