一般的にライン上で移動する個体を検査するには、位置補正機能が必要です。
位置補正機能では、補正元ウィンドウ(基準画像と入力画像を比較して位置ズレ量を算出する検査枠)と補正先ウィンドウ(補正元ウィンドウからの補正量を受け取る検査枠)を組み合わせる設定をします。複数のウィンドウが連携して画像処理(演算)をするため、動作原理を理解して目的に合った設定をする事が求められます。今回は、位置補正を「座標軸」「回転角度」といった原理から説明します。
例)三端子の放熱板部(青枠)の基準画像からのズレ量を、リード部(ピンク枠)のピッチ検査をするウィンドウ(ピンク枠)の位置補正データとする場合
ポイント
位置補正機能とは内部処理では補正元ウィンドウの基準画像と入力画像との差を補正値として、補正先ウィンドウの座標軸を変化させることです。
そのため、補正元ウィンドウと補正先ウィンドウではモニタ上では同じに見える箇所でも、計測値として出力される座標点データの基準が違います。座標軸の異なるウィンドウ間で演算などをする場合は、CCDの左上を常に原点とするデータ「絶対計測値(CV/XGではAB)」を使用します。
位置補正とは補正元ウィンドウの計測結果が登録画像から入力画像に対して、どれだけ変化したかを計測し、その結果を補正先ウィンドウの座標軸の変化に反映させることです。
そして、角度データの場合はどの点を中心として角度を変化させるのかが非常に重要です。
この点を回転中心点といい、パターンサーチからX/Y/角度全てを補正した場合は、パターンの中心点が回転中心点となります。
もし回転中心点を指定せず、角度のみ補正設定をした場合、回転中心点は常に原点(左角(0,0))となり、座標軸及び位置補正先ウィンドウは赤点線のようにずれて補正されてしまいます。
ポイント
角度を位置補正する際には、回転中心点を意識する必要があります。
角度補正はどの点を回転中心点とするかで、位置補正先ウィンドウの結果が大きく変わります。
角度を計測するパターンサーチの検出した座標を使用している場合は、正しく補正されます。
また、演算を使って角度補正をする際も角度だけではなく、どこを回転中心点として補正するかを把握していれば、正しい角度補正ができます。
このように複数検出時には、位置補正先それぞれで座標軸が変わります。位置補正方法として、補正元パターンは1つでも、補正先ウィンドウ(今回ならエッジピッチ枠)はそれぞれのワークの位置を検出するパターンサーチで作成する必要があります。
位置補正を理解して移動体を正しく検査する方法 まとめ
位置補正に関しては以下の点を基本として覚えてください。
【参考】正確な位置補正にはまず補正元の正確な検査が必要です。パターンサーチ/エッジ位置などを正確に設定する方法は寸法検査の基礎、位置検出の基礎で確認してください。
次のテーマは前処理フィルタについてです。
膨張フィルタ/平均化フィルタなど様々な前処理フィルタは、計測処理を安定させるために役立ちます。
これらを正しく使うには、原理の基礎知識が必要です。原理と活用方法を詳しく説明します。