画像センサでよく使われる用途のひとつに『位置・角度測定』があります。
ガラス基板であればより精度の高い位置情報が必要となり、IC
の検査であれば高速ラインに対応できる処理能力が要求されます。また、過去2
回にわたり紹介してきた「傷」「エッジ」といった計測項目の検査実行前にワークの位置ズレを修正する「位置補正機能」としても汎用的に使用されています。今回は最も汎用的な『パターンサーチ』モードを中心として、その原理から安定した検出を行なう手法を詳しく説明します。
基準となる画像(パターン)に類似しているものを、画像内から1つまたは複数個所見つけ出し、その位置・角度および相関値(一致度)を出力する手法です。
当社CV
シリーズに搭載されている「パターンサーチ」モードのアルゴリズムに関して説明します。
ガラス基板の位置決め
ガラス基板貼り合わせ前に、基板対角にあるマークの位置を計測しアライメントを行ないます。
ビンのラベルズレ検査
ビンに貼られているラベルの位置ズレを検査します。高速ラインにおいても全数検査が可能なため不良流出防止につながります。
ICの方向判別
インデックス上でICの印字をサーチして角度検出を行ない、方向判別をします。高速ラインにも対応できる処理能力が必要とされます。
アルゴリズムで説明したように、1stサーチでは処理の高速化のために基準パターンを圧縮した画像で大体の位置を検出します。
サーチをミスする主な要因は圧縮された画像による1st サーチで本来検出したくないパターン(下図候補2)を誤って候補として検知してしまっていることです。
弊社CVシリーズでは、専門知識が必要だったサーチの各種パラメータ(圧縮率など)設定が、あらかじめ目的別に用意されている組み合わせを選択することで完了します。圧縮率は「サーチ感度」という設定項目にあたり、「低い」~「高い」までの7段階設定が可能です。
端子を例にとって、サーチ感度(圧縮率)を変更すると右のようになります。より基準パターンに近い画像で1stサーチを行なうことで、類似したものを誤検出しないようにします。
「サーチをミスしないポイント」の内容で、ほとんどのサーチミスは防げるようになります。サーチにはもうひとつ、精度が求められる(数値のばらつきを抑える必要がある)ことがあります。前頁のアルゴリズムで考えると、最終プロセスにおいてどれだけ細かく見ることができるかということになります。ここでは、最終結果の精度を向上させるための手法について説明します。
結果精度を向上させるために有効な手法とは?
「サーチをミスしてしまう要因」のなかで、1stサーチにおける圧縮率を変更する「サーチ感度」を説明しましたが、同様に「サーチ精度」というパラメータを用意しています。こちらはサーチにおけるサーチステップ数の回数を決定するもので、「粗い」~「細かい」の5段階設定が可能です。
計測結果をより高精度にしたい場合は、「サーチ精度」を細かくすることで2ndサーチ~最終サーチの繰り返し回数を増やします。これにより最終結果の精度を向上させることができます。
連写機能とは、1 回のトリガ入力で複数回撮像、画像処理を繰り返し、その平均値や最大値、最小値を計測値とする機能です。1 回のみの撮像と比較して、計測値のバラつきを抑えることができます。
正規化相関法を使用するパターンサーチのほかに、対象の輪郭情報を用いてサーチを行なう「幾何形状サーチ」があります。弊社CVシリーズでは「ShapeTraxⅡ」がこれにあたります。
「ShapeTraxⅡ」は輪郭情報を使用するため、対象が欠損していても残された形状情報をもとに正確なサーチが可能です。また、対象のサイズ変動や、白黒反転などが発生しても対応できるため、表面処理の状態が変化しても安定した検出が可能になります。
フレームに重なってマークの形状が変わる状況でも安定した検出ができます。
[パターン欠損(重なり)]
[サイズ・ピント変動]
[白黒反転(ネガ)]
[パターン欠損(重なり)]
[サイズ・ピント変動]
[白黒反転(ネガ)]
抽出したエッジ形状を
使用してサーチ
入力画像のエッジの中から
似ているエッジ形状をサーチ
位置測定/サーチモード まとめ
画像センサで安定したサーチを行なうため、以下のポイントを覚えてください。
次のテーマは位置補正を理解して移動体を正しく検査する方法です。
ライン上で稼動するワークの検査には位置補正機能が必要です。
位置補正を理解するには補正元検査、補正先検査、座標軸、回転角度がポイントとなります。
これらを詳しく説明いたします。