バーコードプリンタとバーコードラベルISO/IEC 15416(バーコード印字検証)

『バーコード印字検証』とは、「CODE39」、「CODE128」、「EAN」といったバーコードの印字品質をチェックすることです。バーコードは、FA、流通、食品、卸、医療品など様々な分野で使用されています。

ISO/IEC 15416 検証の方法

バーコードの高さ全体に対し、上下端の各10パーセントを除外した、中央80パーセントの領域をスキャン対象とする様子

バーコードでは、上下10%を除く、中80%の領域において、8%おきに10スキャン分の検証データを取得します。

10回のスキャン検証プロセスを示す図。バーコードの中央領域を10回走査し、各スキャン結果が評価される様子

各スキャンのグレード判定をします。グレード範囲は、A、B、C、D、Fです。

各スキャンのグレードは下表に従い、数値化されます。

グレード 数値
A
4.0
B
3.0
C
2.0
D
1.0
E
0.0
10回スキャンの各回におけるグレード判定(A〜F)と、それらを数値換算した値、および最終的な平均値(2.9)を示した評価表。

10回のスキャンデータのグレードの平均値を算出し、その平均値をさらに総合判定グレード表に従ってグレード分けします。
左表の例では、平均値が 2.9 になります。

計算された平均値をもとに、下表に従って総合グレードを決めます。
例では平均値が 2.9 のため、 グレードは「B」になります。

平均値 ISO/IEC 15416 総合グレード
4.0 ~ 3.5
A
3.4 ~ 2.5
B
2.4 ~ 1.5
C
1.4 ~ 0.5
D
0.4 ~ 0.0
F

ISO/IEC 15416 検証の項目と意味

DEC(Decode):デコード成否

デコードをしたとき、読み取りできるかどうかを判定します。この項目のグレードが低い場合、バーコードとして認識できていないこととなります。

EDGE(EdgeDetermination):Edge数

読み取ったバーコードのエッジ数(白黒の切り換わりポイント)が、想定されるエッジ数と等しいかを判定します。
擦れなどにより白線が入るとグレードが低くなります。

正常なバーコードと、擦れによって白線が入ったバーコードの比較図

A:正しい B:擦れ

SC(Symbol Contrast):シンボルコントラスト

コード領域の最大輝度値(Rmax)と最小輝度値(Rmin)の差を評価します。
全体的にコントラストが取れていないと、グレードが低くなります。

印字が薄い、または周囲が暗い影響でバーとスペースのコントラスト比が低く、読み取りが困難なバーコード

MINR(Minimum Reflectance):最小反射率

スキャン波形中の最小反射率。最小輝度値(Rmin)が最大輝度値(Rmax)の50%以下かどうかを評価します。
全体的にバーの印字が薄いと、グレードが低くなります。

MINE(Minimum Edge Contrast):最小エッジコントラスト

スペース(クワイエットゾーンを含む)と隣り合ったバーの反射率の差の最小値が15%以下かどうかを評価します。
一部のバーが細かったり、背景の一部が汚れているとグレードが低くなります。

MOD(Modulation):モジュレーション

最小エッジコントラストとシンボルコントラストの比を評価します。一部のバーが細かったり、背景の一部が汚れているとグレードが低くなります。

一部のバーが細いバーコードと、汚れにより印字が乱れたバーコード

A:一部のバーが細い B:汚れあり

QZ(Quiet Zone):最小クワイエットゾーン

クワイエットゾーン幅が規格を満たしているか評価します。

バーコードの左右に必要な余白(クワイエットゾーン)の位置を示す図

A:クワイエットゾーン

DCD(Decodability):復号容易度

コード種ごとに決まったデコード余裕度。理想的な線幅パターンと、実際の線幅パターンの誤差の大きさを評価します。
バーやスペースに太り、細りがあるとグレードが低くなります。

正しいバーコードと、バーの太さが不揃いなバーコードの比較図

A:正しい B:バーが不揃い

DEF(Defects):欠陥

エレメント内の色ムラを評価します。
バーやスペースに欠けや汚れがあると、グレードが低くなります。

バーやスペースの内部に、白い欠けや黒い汚れ(色ムラ)が発生しているバーコードの図

KEYENCE 商品におけるバーコード印字検証機能の出力について

1. 総合判定のみ…読み取りデータ/ 総合判定
〈例〉123456789:B
2. 総合判定 + 詳細判定
〈例〉ABC12345:B/A/A/B/A/A/A/A/A/A

検証結果の付加順序

各検証の評価項目の結果は以下の順序で並びます。

規格名 評価項目名(英) 評価項目名(日) 略称
ISO/IEC 15416
Overall
総合判定
ALL
Decode
デコード成否
DEC
EdgeDetermination
エッジ数
EDGE
Symbol Contrast
シンボルコントラスト
SC
Minimum Reflectance
最小反射率
MINR
Minimum Edge Contras
最小エッジコントラスト
MINE
Modulation
モジュレーション
MOD
Quiet Zone
最小クワイエットゾーン
QZ
Decodability
復号容易度
DCD
Defects
欠陥
DEF

ISO/IEC 15416 : 2025 での主な変更点

2025 年に ISO/IEC 15416 が改訂されました。主に以下の点が変更になっています。

連続グレードの導入

2000版は整数値のグレードでしたが、2025版では小数第1位まで表現するグレードになります。これにより、各詳細項目の検証結果をより細かく管理できるようになりました。

数字グレード(2000版) 数字グレード(2025版) 英字グレード
4
3.5 ~ 4.0
A
3
2.5 ~ 3.4
B
2
1.5 ~ 2.4
C
1
0.5 ~ 1.4
D
0
0.4以下
F
グレードの違いを具体的な例で表したグラフ。例としてシンボルコントラストが50%の場合、2000年版では2.0(C)、2025年版では2.6(B)と判定される。

Symbol Contrast Grading

2値化しきい値計算方法の変更

セルが白か黒かを判定するしきい値の求め方が変更になります。本変更により、このしきい値を計算に用いているDCDの検証結果が変わります。

2000版

シンボル内の最大輝度値、最小輝度値の中間輝度値をしきい値とします。

バーコードの輝度ヒストグラム。最大輝度値、最小輝度値の中間輝度値をしきい値としている

A:最小輝度値
B:しきい値
C:最大輝度値

2025版

シンボル内の黒セル、白セルの輝度値分散の合計が最小となる輝度値をしきい値とします。

バーコードの輝度ヒストグラム。黒セル、白セルの輝度値分散の合計が最小となる輝度値をしきい値としている

A: 黒セル(暗セル) 輝度値平均
B: しきい値
C: 白セル(明セル) 輝度値平均

SC(Symbol Contrast)の計算方法の変更

SCを計算する際の、Rmax、Rminの定義が変更になります。変更後はSCの値は小さくなりますが、ノイズの影響を受けにくくなります。

2000版

SC = Rmax -Rmin

Rmax:コード領域の最大輝度値
Rmin:コード領域の最小輝度値

輝度ヒストグラムにおけるシンボルコントラスト(SC)の算出範囲を示す図。コード領域の最大輝度値から最小輝度値までの範囲

A:最小輝度値 B:最大輝度値

2025版

SC = Rmax -Rmin

Rmax:コード領域の最大輝度値の上位3%平均
Rmin:コード領域の最小輝度値の下位3%平均

輝度ヒストグラムにおけるシンボルコントラスト(SC)の算出範囲を示す図。コード領域の最大輝度値の上位3%平均から最小輝度値下位3%平均までの範囲

A:最小輝度値 B:最大輝度値

ISO/IEC 15416 : 2025 でグレードの算出方法が変わった評価項目一覧

SC(Symbol Contrast)

Grade 2000版 2025版
A
0.70 ~
0.625 ~
B
0.55 ~ 0.70
0.475 ~ 0.625
C
0.40 ~ 0.55
0.300 ~ 0.475
D
0.20 ~ 0.40
0.175 ~ 0.300
F
~ 0.20
~ 0.175
SC(Symbol Contrast)とグレードの関係を示したグラフ。2000年版と2025年版を比較し、2025年版はグレードがより連続的な値で算出されるようになっている。詳細は画像左の表参照。

Symbol Contrast Grading

MOD(Modulation)

Grade 2000版 2025版
A
0.70 ~
0.65 ~
B
0.60 ~ 0.70
0.55 ~ 0.65
C
0.50 ~ 0.60
0.45 ~ 0.55
D
0.40 ~ 0.50
0.35 ~ 0.45
F
~ 0.40
~ 0.35
MOD(Modulation)とグレードの関係を示したグラフ。2000年版と2025年版を比較し、2025年版はグレードがより連続的な値で算出されるようになっている。詳細は画像左の表参照。

Modulation Grading

DEF(Defects)

Grade 2000版 2025版
A
~ 0.15
~ 0.175
B
0.15 ~ 0.20
0.175~0.225
C
0.20 ~ 0.25
0.225~0.275
D
0.25 ~ 0.30
0.275 ~ 0.30
F
0.30 ~
0.30 ~
DEF(Defects)とグレードの関係を示したグラフ。2000年版と2025年版を比較し、2025年版はグレードがより連続的な値で算出されるようになっている。詳細は画像左の表参照。

Defects Grading

よくある質問(FAQ)

Q. ISO/IEC 15416とは何ですか? 検証項目と意味を教えてください。

A. 一次元バーコードの印字検証規格です。DEC、EDGE、SC、MINR、MINE、MOD、QZ、DCD、DEFで印字品質を評価します。

Q. 印字品質のグレード(A〜F/4〜0)は何を意味しますか?

A. 各スキャンをA〜F(4〜0)で採点し数値化、平均から総合評価を決めます。Aは良好、Fは不合格です。

Q. 検証はどのように実施しますか?

A. 上下10%を除く中80%を8%刻みで10回スキャンし、各回をA~Fで採点し平均値から総合グレードを決めます。

Q. ISO/IEC 15416:2025の主な変更点は何ですか?

A. 連続グレード導入、二値化しきい値とSC算出の見直し、SC・MOD・DEFのグレード算出方法の変更です。

Q. バーコードの印字検証はなぜ必要ですか?

A. 読み取りエラーを抑え、流通・製造・医療などでのトレーサビリティ確保と工程品質の維持に役立つためです。

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