ISO/IEC 15415およびISO/IEC TR 29158(2次元コード印字検証)

『2次元コード印字検証』とは、「DataMatrixシンボル」や「QRコードシンボル」といった2次元コードの印字品質をチェックすることです。2次元コードが様々な分野で普及してきた昨今、同じ2次元コードが複数の現場で読み取られるケースが多くなっています(自動車部品サプライヤーと自動車車体メーカー間、医薬メーカーと調剤薬局間、スマホモジュールメーカーとアッセンブリーメーカー間など)。

部品・モジュールメーカーで、キーパーツに2次元コードを印字し、ASSYメーカーでその2次元コードを読み取って、製品特性やシリアルナンバーなどの情報を取得し、生産や品質維持に活用しています。

ISO/IEC TR 29158(AIM DPM-1-2006)検証とは

ISO/IEC TR 29158(AIM DPM-1-2006)は、ダイレクトパーツマーキング(通称DPM)と呼ばれる技術を使用して、製品に直接印字された「QRコードシンボル」や「DataMatrixシンボル」の印字品質を検証することを目的とした2次元コード印字品質検証規格です。

ダイレクトパーツマーキングは、製品のトレーサビリティを実現するため、航空機・自動車・電子機器・医療器材などの業界で注目され、金属部品・金型・プリント基板・プラスチック・ガラスなどへ直接自動認識コードがマーキングされるようになりました。自動認識コードの中でも、限られたスペースへ大量の情報を付加することを目的として、2次元コードを利用することが主流となっています。2次元コードを利用することで情報量を多くできるため、製造履歴管理だけではなく生産管理にも利用されています。

このように、DPM 2次元コードが普及したことで、様々な場所で2次元コードを読み取り、利用することが増えました。
そのため、読み取りができないと生産に支障を与えることになり、自動車車体メーカーなどでは受け入れる部品に印字されるDPM 2次元コードに対して、印字品質を管理する動きが出てきています。
管理するときに使用されるのが、ISO/IEC TR 29158(AIM DPM-1-2006)というDPM 2次元コード用の印字品質検証規格です。この規格を採用することで、個別に仕様を取り交わす手間を省くとともに、印字仕様に対しての管理項目を包括的に取り交わすことが可能です。

ISO/IEC TR 29158(AIM DPM-1-2006)検証とISO/IEC 15415検証の主な違い

ISO/IEC TR 29158(AIM DPM-1-2006)検証とISO/IEC 15415検証の主な違いについて説明します。
総じて、ISO/IEC 15415に対し、ISO/IEC TR 29158はよりDPMに適した計算方法と判定基準を採用しています。

2値化しきい値の定め方

あるセルが白か黒かを判定するしきい値の求め方が異なります。具体的には以下のような違いがあります。

ISO/IEC 15415

2次元コードの明暗判定基準(しきい値)を決定するプロセス図。コードの輝度値をヒストグラム化し、最大輝度値と最小輝度値をプロットしている。

ISO/IEC 15415は、シンボル内の最大輝度値、最小輝度値の中間値をしきい値とします。

ISO/IEC TR 29158(AIM DPM-1-2006)

2次元コードの明暗判定基準(しきい値)を決定するプロセス図。コードの輝度値をヒストグラム化し、シンボル内の黒セル、白セルの輝度値平均をプロットしている。

ISO/IEC TR 29158(AIM DPM-1-2006)は、シンボル内の黒セル、白セルの輝度値分散の合計が最小となる輝度値をしきい値とします。上のグラフの黒セル輝度値平均と白セル輝度値平均は、しきい値が定まったあとに求められる値でセルコントラストなどの評価に用います。

なお、2値化しきい値の定め方の差分は2024年の規格改訂でなくなり、ISO/IEC 15415の2値化しきい値の求め方は、ISO/IEC TR 29158と同じになりました。

シンボルコントラスト/セルコントラスト

ISO/IEC 15415

シンボル内の最大輝度値と最小輝度値の差を評価します。
項目名はSC(Symbol Contrast)になります。グレードは下記の表に従います。

ISO/IEC TR 29158(AIM DPM-1-2006)

シンボル内の黒セルと白セルのそれぞれの平均輝度値の差を評価します。
項目名はCC(Cell Contrast)になります。グレードは下記の表に従います。

条件
(ISO/IEC 15415)
条件
(ISO/IEC TR 29158)
グレード(等級)
≧70% ≧30% 4.0
≧55% ≧25% 3.0
≧40% ≧20% 2.0
≧20% ≧15% 1.0
20%> 15%> 0.0

モジュレーション/セルモジュレーション

ISO/IEC 15415

最大輝度値と最小輝度値に対するシンボル内の輝度値のばらつきを評価します。
項目名はMOD(Modulation)になります。グレードは下記の表に従います。

ISO/IEC TR 29158(AIM DPM-1-2006)

黒セル、白セルのそれぞれの平均輝度値に対するシンボル内の輝度値のばらつきを評価します。
項目名はCM(Cell Modulation)になります。グレードは下記の表に従います。

条件
(ISO/IEC 15415)
条件
(ISO/IEC TR 29158)
グレード(等級)
≧0.50 ≧0.50 4.0
≧0.40 ≧0.40 3.0
≧0.30 ≧0.30 2.0
≧0.20 ≧0.20 1.0
0.20> 0.20> 0.0
ISO/IEC 15415:ラベル印字された2次元コード検証用規格
ISO/IEC TR 29158:ダイレクトパーツマーキングされた2次元コード検証用規格

ISO/IEC 15415検証およびISO/IEC TR 29158検証の項目と意味

ISO/IEC 15415検証とISO/IEC TR 29158検証は、前章の説明のような違いがあります。
しかし検証項目の内容は類似しており、基本的な解釈の仕方はどちらの規格も同じです。
それぞれの検証項目の意味とグレードが低い時の解釈について説明します。

DEC(Decode):デコード成否

印字検証規格で定められた2値化の方法を用いてデコードをしたとき、読み取りできるかどうかを判定します。この項目のグレードが低い場合、2次元コードとして認識できていないということとなります。
たとえば、「2次元コードの一部が消えかかっている」「別の違う2次元コードを重ねて印字している」ということが考えられます。

SC(Symbol Contrast):シンボルコントラスト/ CC(Cell Contrast):セルコントラスト

ISO/IEC 15415 SC(Symbol Contrast):シンボルコントラスト
ISO/IEC TR 29158(AIM DPM-1-2006) CC(Cell Contrast):セルコントラスト

コード内の黒と白の明るさの差を判定します。この項目のグレードが低い場合、コントラストが取れていないことになります。
たとえば、「コードの発色状態が悪い」「照明の当て方が悪い」「照明色の選定が悪い」ということが考えられます。

MOD(Modulation):モジュレーション/CM(Cell Modulation):セルモジュレーション

ISO/IEC 15415 MOD(Modulation):モジュレーション
ISO/IEC TR 29158(AIM DPM-1-2006) CM(Cell Modulation):セルモジュレーション

2次元コード内のデータを構成するブロック(下図の黄色部)の輝度値のばらつきを評価します。
この項目のグレードが低い場合、コード内部に傷や汚れがある可能性があります。
または、セルの印字ズレが考えられます。

2次元コード内のデータ領域を示す図。データを含まない補助的なマーク(機能パターン)を除いたエリア。

RM(Reflectance Margin):反射率余裕度

MODおよびCMの評価方法に白黒の正確性を加えた評価です。

FPD(Fixed Pattern Damage):固定パターン損傷

2次元コードを検出するためのファインダパターンとマージンが正しく印字されているかを評価する項目です。DataMatrixとQRコードのそれぞれの固定パターンの輝度値のばらつきを評価します。
この項目は他の項目より判定基準が厳しく、傷や汚れによりグレード低下しやすい項目となっています。
たとえばQRコードのすぐ横に文字を印字すると、Fグレードとなることが多くなります。

DataMatrixシンボル FPD評価5項目

評価場所:黄色いセルが対象

DataMatrixコードの左辺を示す図

左アライメントパターン (LAP)

DataMatrixコードの下辺を示す図

下アライメントパターン (BAP)

DataMatrixコードの左辺の空白(マージン)を示す図

左クワイエットゾーン (LQZ)

DataMatrixコードの下辺の空白(マージン)を示す図

下クワイエットゾーン (BQZ)

DataMatrixコードの上辺・右辺の空白(マージン)を示す図

タイミングパターンと隣接するクワイエットゾーン (TP&TQZ)

QRコードシンボル FPD評価6項目

評価場所:黄色いセルが対象

QRコードの3コーナーに配置されるファインダパターンのうち左上を示す図

左上ファインダパターン (ULP)

QRコードの3コーナーに配置されるファインダパターンのうち右上を示す図

右上ファインダパターン (URP)

QRコードの3コーナーに配置されるファインダパターンのうち左下を示す図

左下ファインダパターン (LLP)

QRコード内の白セルと黒セルが交互に配置された水平のラインを示す図

水平タイミングパターン (HCT)

QRコード内の白セルと黒セルが交互に配置された垂直のラインを示す図

垂直タイミングパターン (VCT)

QRコード内の小さな正方形のマークを示す図

アライメントパターン (ALP)

FID(Format Information Damage):形式情報損傷

QRコードのみの評価項目です。QRコードの誤り訂正レベルやマスクパターンに関する情報を持つ箇所の損傷度合いを評価します。

QRコード内のフォーマット情報を示す図

QR コードシンボル

VID(Version Information Damage)

QRコードモデル2バージョン7以降のみの評価項目です。QRコードのバージョンに関する情報を持っている個所の損傷度合いを評価します。

QRコード内の型番情報を示す図(右上隅のファインダーパターンの左および左下隅のファインダーパターンのすぐ上のエリア)

QR コードシンボル バージョン 7

AN(Axial Nonuniformity):軸非均一性

セルが正しく正方形に印字されているかを、水平方向、および垂直方向のセル配置位置から評価します。
プリンタの印字速度と紙送り速度がずれているときなどにグレードが低下します。

評価方法

2次元コード内の各セルの中心を基準として、水平方向および垂直方向にセルとセルの間隔がどの程度空いているか計測する図

A:X(水平方向のセルとセルの間隔) B:Y(垂直方向のセルとセルの間隔 C:セルの中心

GN(Grid Nonuniformity):グリッド非均一性

セルの中心位置が理想の位置から離れていないかどうかを評価します。
装置の振動等により、印字時にセルの位置がずれると、グレードが低下します。

2次元コード内の各セルの中心を基準として、セルの中心位置が理想の位置からどの程度ずれているか計測する図

A:実セルの中心 B:理想セルの中心 C:実セルと理想セルのずれ

UEC(Unused Error Correction):未使用誤り訂正

2次元コードが持っている誤り訂正能力の使用率を評価します。グレードが下がる場合、多くの誤り訂正能力を使用していることを意味します。
2次元コード上の汚れやかすれなどによりグレードが低下します。

PGH(Print Growth Horizontal):プリント伸縮(水平)

水平方向の黒セル、白セルの伸縮を評価する項目です。
印字時のにじみなどによりグレードが低下します。

水平方向のセルの幅

PGV(Print Growth Vartical):プリント伸縮(垂直)

垂直方向の黒セル、白セルの伸縮を評価する項目です。
印字時のにじみなどによりグレードが低下します。

垂直方向のセルの幅

ISO/IEC 15415:2024での主な変更点

2024年にISO/IEC 15415が改訂されました。主に以下の点が変更になっています。

連続グレードの導入

2011版は整数値のグレードでしたが、2024版では小数第1位まで表現するグレードになります。これにより、各詳細項目の検証結果をより細かく管理できるようになりました。

数字グレード(2011版) 数字グレード(2024版) 英字グレード
4 3.5 ~ 4.0 A
3 2.5 ~ 3.4 B
2 1.5 ~ 2.4 C
1 0.5 ~ 1.4 D
0 0.4以下 F
グレードの違いを具体的な例で表したグラフ。例としてシンボルコントラストが50%の場合、旧版では2.0(C)、2025年版では2.6(B)と判定される。

Symbol Contrast Grading

2値化しきい値計算方法の変更

セルが白か黒かを判定するしきい値の求め方が変更になります。
本変更により、このしきい値を計算に用いているMOD,FPD,FID,VIDの検証結果が変わります。

2011版

シンボル内の最大輝度値、最小輝度値の中間輝度値をしきい値とします。

バーコードの輝度ヒストグラム。最大輝度値、最小輝度値の中間輝度値をしきい値としている

A:最小輝度値
B:しきい値
C:最大輝度値

2024版

シンボル内の黒セル、白セルの輝度値分散の合計が最小となる輝度値をしきい値とします。

バーコードの輝度ヒストグラム。黒セル、白セルの輝度値分散の合計が最小となる輝度値をしきい値としている

A:黒セル(暗セル)輝度値平均
B:しきい値
C:白セル(明セル)輝度値平均

SC(シンボルコントラスト)の計算方法の変更

SCを計算する際の、Rmax、Rminの定義が変更になります。
変更後はSCの値は小さくなりますが、ノイズの影響を受けにくくなります。

2011版

SC = Rmax -Rmin

Rmax:コード領域の最大輝度値
Rmin:コード領域の最小輝度値

輝度ヒストグラムにおけるシンボルコントラスト(SC)の算出範囲を示す図。コード領域の最大輝度値から最小輝度値までの範囲

A:最小輝度値 B:最大輝度値

2024版

SC = Rmax -Rmin

Rmax:コード領域の最大輝度値の上位1% 平均
Rmin:コード領域の最小輝度値の下位1% 平均

輝度ヒストグラムにおけるシンボルコントラスト(SC)の算出範囲を示す図。コード領域の最大輝度値の上位1%平均から最小輝度値下位1%平均までの範囲

A:最小輝度値 B:最大輝度値

PGH,PGVの総合グレード判定への追加

従来はPGH、PGVは総合グレードの算出に含まれておらず、ISO/IEC 16022で定義されたグレードを参考値として表示していました。
2024版からは新たにPGH、PGVの計算式とグレードのつけ方が定義され、総合グレードの判定項目に含まれるようになります。

2011版

PG=(D-0.5)/0.15

2024版

PG=(D-Dnom)/Module

PG : プリント伸縮
D : 黒セルの実測ピクセル数
Dnom : 黒セルの公証ピクセル数
Module : 1 辺のピクセル数をセル数で割った平均 ppc

水平方向のセルの幅

PGH(Print Growth Horizontal)

垂直方向のセルの幅

PGV(Print Growth Vertical)

PGH,PGVとグレードの関係を示したグラフ。旧版と2024年版を比較し、2024年版はグレードがより連続的な値で算出されるようになっている。また、2024年版は旧版に比べてより低い評価が下される。2024年版ではPGが約0.6を超えると最低評価のFになる(旧版では1.0まで許容されていた)

Print Growth Grading

RMの削除

従来はRMが総合グレードの算出に含まれていましたが、2024版からはRMが削除されます。RMとMODはもともとほとんど同じ内容の検証項目であったため、MODに統合される形になります。

2024版では、代わりにCU(Contrast Uniformity):コントラスト均一性が追加されます。
この項目は各セルのMODの最小値を表します。グレードには含まれず、評価値が参考項目として表示されます。

ISO/IEC 15415:2024でグレードの算出方法が変わった評価項目一覧

SC(Symbol Contrast)

Grade 2011版 2024版
A 0.70 ~ 0.625 ~
B 0.55 ~ 0.70 0.475 ~ 0.625
C 0.40 ~ 0.55 0.300 ~ 0.475
D 0.20 ~ 0.40 0.175 ~ 0.300
F ~ 0.20 ~ 0.175
SC(Symbol Contrast)とグレードの関係を示したグラフ。2011年版と2024年版を比較し、2024年版はグレードがより連続的な値で算出されるようになっている。詳細は画像左の表参照。

MOD(Modulation)

Grade 2011版 2024版
A 0.50 ~ 0.45 ~
B 0.40 ~ 0.50 0.35 ~ 0.45
C 0.30 ~ 0.40 0.25 ~ 0.35
D 0.20 ~ 0.30 0.1875 ~ 0.25
F ~ 0.20 ~ 0.1875
MOD(Modulation)とグレードの関係を示したグラフ。2011年版と2024年版を比較し、2024年版はグレードがより連続的な値で算出されるようになっている。詳細は画像左の表参照。

AN(Axial Nonuniformity)

Grade 2011版 2024版
A ~ 0.06 ~ 0.07
B 0.06 ~ 0.08 0.07 ~ 0.09
C 0.08 ~ 0.10 0.09 ~ 0.11
D 0.10 ~ 0.12 0.11 ~ 0.13
F 0.12 ~ 0.13 ~
AN(Axial Nonuniformity)とグレードの関係を示したグラフ。2011年版と2024年版を比較し、2024年版はグレードがより連続的な値で算出されるようになっている。詳細は画像左の表参照。

GN(Grid Nonuniformity)

Grade 2011版 2024版
A ~ 0.38 ~ 0.44
B 0.38 ~ 0.50 0.44 ~ 0.565
C 0.50 ~ 0.63 0.565 ~ 0.69
D 0.63 ~ 0.75 0.69 ~ 0.75
F 0.75 ~ 0.75 ~
GN(Grid Nonuniformity)とグレードの関係を示したグラフ。2011年版と2024年版を比較し、2024年版はグレードがより連続的な値で算出されるようになっている。詳細は画像左の表参照。

UEC(Unused Error Correction)

Grade 2011版 2024版
A 0.62 ~ 0.56 ~
B 0.50 ~ 0.62 0.435 ~ 0.56
C 0.37 ~ 0.50 0.31 ~ 0.435
D 0.25 ~ 0.37 0.225 ~ 0.31
F ~ 0.25 ~ 0.225
UEC(Unused Error Correction)とグレードの関係を示したグラフ。2011年版と2024年版を比較し、2024年版はグレードがより連続的な値で算出されるようになっている。詳細は画像左の表参照。

PGH/PGV(Print Growth Horizontal/Vertical)

Grade 2011版 2024版
A ~ 0.5 ~ 0.19
B 0.5 ~ 0.7 0.19 ~ 0.31
C 0.7 ~ 0.85 0.31 ~ 0.37
D 0.85 ~ 1.0 0.37 ~ 0.5
F 1.0 ~ 0.5 ~
PGH/PGV(Print Growth Horizontal/Vertical)とグレードの関係を示したグラフ。2011年版と2024年版を比較し、2024年版はグレードがより連続的な値で算出されるようになっている。詳細は画像左の表参照。

ISO/IEC 29158:2020,2025 での主な変更点

2020年、2025年にISO/IEC 29158が改訂されました。主に以下の点が変更になっています。

連続グレードの導入(2020)

2011版は整数値のグレードでしたが、2020版からは小数第1位まで表現するグレードになります。これにより、各詳細項目の検証結果をより細かく管理できるようになります。

数字グレード(2011版) 数字グレード(2020版以降) 英字グレード
4 3.5 ~ 4.0 A
3 2.5 ~ 3.4 B
2 1.5 ~ 2.4 C
1 0.5 ~ 1.4 D
0 0.4未満 F

MR(Minimum Reflectance)のグレードの拡張(2020)

従来は4.0(A)と0.0(F)の2段階のグレードのみでしたが、2020版からは新たに拡張されたグレードが定義されます。

MR(2011版) MR(2020版以降) 数字グレード
≧5% ≧20% 4
- 15% 3.5
- 10% 2.5
- 5% 1.5
<5% 0% 0

グレードの算出方法の変更(2025)

2020版では、検証値の小数点第2位以下を四捨五入してグレードを算出していましたが、2025版では切り捨てになります。
これにより、同じ検証値でも2025版の方がグレードが低くなることがありますが、元々が過剰にグレードを高く算出する方法だったため、より妥当性の高い検証となります。

グレードの算出方法の違いを具体的な例で表したグラフ。例としてセルコントラストが22.3%の場合、2020年版では2.5(B)、2025年版では2.4(C)と判定される。

(例)Cell Contrast Grading

RMとPGH,PGVの削除(2025)

ISO/IEC 15415と同様、RMが削除されます。また、PGH,PGVも削除されます。

ISO/IEC 29158:2020,2025でグレードの算出方法が変わった評価項目一覧

CC(Cell Contrast)

CC(Cell Contrast)とグレードの関係を示したグラフ。2011、2020年版と2025年版を比較し、2025年版はグレードがより連続的な値で算出されるようになっている。

CM(Cell Modulation)

CM(Cell Modulation)とグレードの関係を示したグラフ。2011、2020年版と2025年版を比較し、2025年版はグレードがより連続的な値で算出されるようになっている。

AN(Axial Nonuniformity)

AN(Axial Nonuniformity)とグレードの関係を示したグラフ。2011、2020年版と2025年版を比較し、2025年版はグレードがより連続的な値で算出されるようになっている。

GN(Grid Nonuniformity)

GN(Grid Nonuniformity)とグレードの関係を示したグラフ。2011、2020年版と2025年版を比較し、2025年版はグレードがより連続的な値で算出されるようになっている。

UEC(Unused Error Correction)

UEC(Unused Error Correction)とグレードの関係を示したグラフ。2011、2020年版と2025年版を比較し、2025年版はグレードがより連続的な値で算出されるようになっている。

MR(Minimum Reflectance)

MR(Minimum Reflectance)とグレードの関係を示したグラフ。2011、2020年版と2025年版を比較し、2025年版はグレードがより連続的な値で算出されるようになっている。

KEYENCE商品における2次元コード印字検証機能の出力について

総合判定のみ…読み取りデータ/総合判定
〈例〉123456789:B
総合判定+詳細判定
〈例〉ABC12345:B/A/A/B/B/A/-/-/A/A/A/A/A

詳細判定の中で一番低い評価が総合判定となります。

DataMatrixの場合、FIDとVIDの項目に関して対象外であるため、「---」で表記されます。その他、改訂により削除された項目などについても、改定後は「―」で表記されます。

検証結果の付加順序

各検証の評価項目の結果は以下の順序で並びます。

規格名 評価項目名(英) 評価項目名(日) 略称
ISO/IEC 15415
Overall
総合判定
ALL
Decode
デコード成否
DEC
Symbol Contrast
シンボルコントラスト
SC
Modulation
モジュレーション
MOD
Reflectance Margin
反射率余裕度
RM ※3
Fixed Pattern Damage
固定パターン損傷
FPD
Format Information Damage
形式情報損傷
FID ※1
Version Information Damage
型番情報損傷
VID ※2
Axial Nonuniformity
軸非均一性
AN
Grid Nonuniformity
グリッド非均一性
GN
Unused Error Correction
未使用誤り訂正
UEC
Print Growth Horizontal
プリント伸縮(水平)
PGH
Print Growth Vertical
プリント伸縮(垂直)
PGV
ISO/IEC TR 29158 (AIM DPM-1-2006)
Overall
総合判定
ALL
Decode
デコード成否
DEC
Cell Contrast
セルコントラスト
CC
Cell Modulation
セルモジュレーション
CM
Reflectance Margin
反射率余裕度
RM ※4
Fixed Pattern Damage
固定パターン損傷
FPD
Format Information Damage
形式情報損傷
FID ※1
Version Information Damage
型番情報損傷
VID ※2
Axial Nonuniformity
軸非均一性
AN
Grid Nonuniformity
グリッド非均一性
GN
Unused Error Correction
未使用誤り訂正
UEC
Print Growth Horizontal
プリント伸縮(水平)
PGH ※4
Print Growth Vertical
プリント伸縮(垂直)
PGV ※4

1 QR、マイクロQRコードのみ有効です。DataMatrixの場合は、“-”が表示されます。

2 QRコードモデル2バージョン7以降のみ有効です。これ以外の場合は、“-”が表示されます。

3 2024版ではCU(Contrast Uniformity)の項目に変更され、総合判定に含まれません。

4 2025版以降は削除されます。

よくある質問(FAQ)

Q. ISO/IEC TR 29158とISO/IEC 15415の主な違いは何ですか?

A. 15415はラベル向け、TR29158はDPM向けの二次元コード印字検証規格で、二値化や評価指標の算出方法が異なります。

Q. 規格採用の利点は何ですか?

A. 規格を採用すると個別仕様の取り交わしが不要になり、印字品質管理を包括的に統一できます。

Q. ISO/IEC 15415:2024の主な改訂点は?

A. 連続グレード導入、二値化しきい値とSC算出法の変更、PGH/PGV取り扱いの見直し等です。

Q. ISO/IEC 29158:2020/2025の主な改訂点は?

A. 2020で連続グレード導入、MRのグレード拡張、2025で算出方法や項目削除の見直しが行われました。

Q. 連続グレード導入の利点は?

A. 小数第1位まで評価でき、検証結果の管理がより精細に行えます。

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