主なデータム形状の種類

データム形体には平面・直線・点などの種類があり、規制する公差や形体によって使い分けます。

平面のデータム

平面のデータムは、対象物の面をデータムに設定します。対象物の外形面(データム平面)や中心面(データム中心平面)などに設定することができます。
ISOASMEでは以下の通り定義されています。

ISO 5459:2011
理論上正確な平面であるデータム。
ASME Y14.5-2009
データム形体から確立されるデータム形体シミュレータの平面。

データム平面

データム平面は、対象物の外形の面に設定するデータムです。平らな表面をデータムに指定する場合、指示記号は以下のように記述します。

指示記号

指示記号

データムの設定

データムの設定
a
実用データム形体=定盤の表面
b
データム=定盤によって設定される平面

データムに指定する対象物(データム形体)の表面は、実際には凸凹していたりうねっていたりします。データムに指定した面を定盤など精度の高い平面に支持することで、データム平面Aが設定されます。このとき、支持する平面が「実用データム形体」です。

データム中心平面

対象物の中心面などに設定する、理論上の平面がデータム中心平面です。平行に相対する2つの表面の中心面をデータムに指定する場合、指示記号は以下のように記述します。

指示記号

指示記号

データムの設定

データムの設定
a
実用データム形体=2つの平らな接触面
b
データム=2つの平らな接触面によって設定される平面

データム平面同様、データムに指定する対象物(データム形体)の表面は、実際には凸凹していたりうねっていたりします。これを精度の高い平面で、データムに指定した面を両側から支持することで、データム中心平面が設定されます。このとき、支持する2つの平面が実用データム形体であり、これによって生成される理論上の平面が「データム中心平面」です。

データム直線

対象物の角などの稜線、円筒穴や円筒軸の中心に設定する理論上の直線です。「データム軸」や「データム軸直線」があります。多くは対象物の円筒穴や円筒軸の中心に設定し、稜線に設定することは稀です。ここでは、データム軸を円筒穴に設定する場合と、円筒軸に設定する場合について説明します。ISOASMEでは以下の通り定義されています。

ISO 5459:2011
理論上正確な直線であるデータム。
ASME Y14.5-2009
データム形体から確立されるデータム形体シミュレータの軸。

データム直線(円筒穴に設定する場合)

円筒穴の中心に設定するデータムで、指示記号は以下のように記述します。

指示記号

指示記号

データムの設定

データムの設定
a
データム(データム軸直線)=最大内接円筒の軸直線
b
実用データム形体=最大内接円筒

データムに指定する対象物(データム形体)の円筒穴表面は、実際には凸凹していたりうねっていたりします。これに密着する精度の高い軸を挿入することで、挿入された穴にデータムが設定されます。このとき、挿入された軸が実用データム形体で、その軸直線がデータム軸直線になります。

データム直線(円筒軸に設定する場合)

円筒軸の中心に設定するデータムで、指示記号は以下のように記述します。

指示記号

指示記号

データムの設定

データムの設定
a
データム(データム軸直線)=最小外接円筒の軸直線
b
実用データム形体=最小外接円筒

データムに指定する対象物(データム形体)の円筒軸表面は、実際には凸凹していたりうねっていたりします。これに密着する精度の高い穴を挿入することで、挿入された穴にデータムが設定されます。このとき、挿入された穴が実用データム形体で、その軸直線がデータム軸直線になります。

データム点は、球形の対象物の中心に設定し、指示記号は以下のように記述します。

指示記号

指示記号

データムの設定

データムの設定
a
データム=最小外接球の中心
b
実用データム形体=Vブロック状の4つの接触点(最小外接球によって表される)

データムに指定する対象物の球体表面は、実際には凸凹していたりうねっていたりします。データム形体である球体を2つのVブロックで挟んだ4つの接触点を作り、この球体の表面が実用データム形体、その中心がデータム点になります。

ゼロからわかる幾何公差 トップへ戻る