JIS規格・ISO規格・IEC規格の基礎知識

筐体設計者は、設計を行う際にJIS規格に基づいて寸法・品質・形状・材料などを決定します。機械を構成する大半の機械要素は、日本産業規格(JIS)によって規格化されているからです。そしてJIS規格は、ISO/IECという国際規格と整合化が図られています。製造業に携わる人間なら誰しもJIS・ISO・IECという言葉を耳にしたことがあるはずです。こちらでは、おさえておきたい基礎知識として日本産業規格のJIS規格と、国際標準化機構によって定められたISO規格、国際電気標準会議によって定められたIEC規格について解説します。

規格とは

JIS規格・ISO規格・IEC規格は、すべて規格です。そこで最初に「規格」について説明します。

規格とは、工業製品の寸法や形状、材質などの標準を決め、「取り決め」を文章化したものです。「取り決め≒規格≒標準」と言えます。また、この取り決めを定義することを「標準化(Standardization)」と呼びます。

工業製品の設計・生産で、それぞれが自由にものづくりをすれば、多様化・複雑化・無秩序化し、効率悪化やコストアップにつながります。そこで規格化し、工業製品の統一や単純化を図ります。標準化するメリットとしては、以下が挙げられます。

標準化のメリット
  • 利便性や相互性の確保
  • 生産のコストダウン
  • 開発のスピードアップ
  • 安全の確保
  • 環境保全への配慮

例えば、ネジの寸法やコネクタのサイズがバラバラだと、その都度設計する必要があるので効率が悪く、時間とコストがかかります。使用する消費者にとっても手間になります。標準化することで機械要素の共通化が図れ、このような問題を防止できます。

JIS規格・ISO規格・IEC規格の関係性

JIS(日本産業規格*)とは、産業標準化の促進を目的に産業標準化法*(昭和24年)に基づき制定される日本の国家規格です。そしてJISは、国際規格であるISO規格やIEC規格を翻訳し、作成されています。日本国内の国家規格ですが、国際規格と整合性が図られています。その理由は、物・サービスの国際取引が増大し、世界経済のボーダレス化が進んでいるからです。製品や技術は国を越えて世界共通で利用されるので、国際的な貿易の円滑化を目的として国際規格との整合化が進められています。

*令和元年7月1日の法改正により「工業標準化法」から「産業標準化法」、「日本工業規格(JIS)」から「日本産業規格(JIS)」に名称が変更されています。

例えば、多くの製造事業者が取得している「JIS Q 9000:2015 品質マネジメントシステム-基本及び用語」を見ると、括弧書きで(ISO 9000:2015)と明記されてます。また、序文には、以下のように記されています。

日本工業規格

JIS Q9000:2015
(ISO 9000:2015)

品質マネジメントシステム−基本及び用語
Quality management systems-Fundamentals and vocabulary

序文
 この規格は,2015年に第4版として発行されたISO 9000を基に、技術的内容及び構成を変更することなく作成した日本工業規格である。
 なお、この規格で点線の下線を施してある参考事項は、対応国際規格にはない事項である。

 この規格は、この規格の発効時点における、ISO/TC 176(品質管理及び品質保証)によって作成された全ての品質マネジメント規格及び QMS 規格、並びにそれらの規格に基づくセクター別 QMS 規格に適用される用語及び定義を含んでいる。用語及び定義は、概念の順に配列し、巻末には五十音順及びアルファベット順の索引を記載した。附属書 A には、概念の順序を形成する一連の概念の体系図を示した。注記 ISO/TC 176 によって作成された QMS 規格に頻繁に用いられ、かつ、特定の辞書的な意味をもつ幾つかの追加的な言葉の手引は、次の URL に示された用語集にある。

http://www.iso.org/iso/03_terminology_used_in_iso_9000_family.pdf

日本工業規格 JIS Q9000:2015(ISO 9000:2015)「品質マネジメントシステム−基本及び用語
Quality management systems-Fundamentals and vocabulary」より引用

JIS規格とは

JISは、「Japanese Industrial Standards」の頭文字を取った言葉で、日本語で「日本産業規格」となります。合理的な産業標準の制定と普及を目的として昭和24年に施行された「産業標準化法」に基づいて制定された日本の国家規格です。JISは、その性格によって「基本規格」「方法規格」「製品規格」の3つに分類することができ、その中でも基本規格が一番多くなっています。

また、ISOやIECなどの国際規格に準じており、日本国内で国際標準と整合化を行うために技術的内容および規格表の様式を日本語に翻訳し、JISとして発行しています。JISの発行は、経済産業省に設置されている審議会の一つ「日本産業標準調査会(JISC)」が行っています。JIS規格は、区分を表すアルファベット1文字と4~5桁の数字の組み合わせで構成されます。区分を表すアルファベットは以下のとおりです。「JIS Q 9000」の“Q”は、「管理システム」を表しています。

筐体設計者は、規格を熟知したうえでの設計が求められます。JISの詳細については、JISCのWebサイトで閲覧が可能です。
JISC(日本産業標準調査会) https://www.jisc.go.jp/

性質による3分類

基本規格

用語・記号・単位・標準数など、共通事項の規定です。

方法規格

試験・分析・検査および測定の方法・作業標準などの規定です。

製品規格

製品の形状・寸法・材質・品質・性能・機能などの規定です。

区分による19分類

アルファベット 区分 詳細
土木及び建築 一般・構造/試験・検査・測量/設計・計画/設備・建具/材料・部品/施工/施工機械器具
一般機械 機械基本/機械部品類/FA共通/工具・ジグ類/工作用機械/光学機械・精密機械
電子機器及び電気機械 測定・試験用機器用具/材料/電線・ケーブル・電路用品/電気機械器具/通信機器・電子機器・部品/電球・照明器具・配線器具・電池/家電製品
自動車 試験・検査方法/共通部品/エンジン/シャシ・車体/電気装置・計器/建設車両・産業車両/修理・調整・試験・検査器具/自転車
鉄道 線路一般/電車線路/信号・保安機器/鉄道車両一般/動力車/客貨車/綱索鉄道・索道
船舶 船体/機関/電気機器/航海用機器・計器/機関用諸計測器
鉄鋼 分析/原材料/鋼材/鋳鉄・銑鉄
非鉄金属 分析方法/原材料/伸銅品/その他伸展材/鋳物/機能性材料/加工方法・器具
化学 化学分析・環境分析/工業薬品/石油・コークス・タール製品/脂肪酸・油脂製品・バイオ/染料原料・中間物・染料・火薬/顔料・塗料/ゴム/皮革/プラスチック/写真材料・薬品・測定方法/試薬
繊維 試験・検査/糸/織物/繊維製品/繊維加工機器
鉱山 採鉱/選鉱・選炭/運搬/保安/鉱産物
パルプ及び紙 パルプ/紙/紙工品/試験・測定
管理システム 標準物質/管理システム等
窯業 陶磁器/耐火物・断熱材/ガラス・ガラス繊維/ほうろう/セメント/研磨材・特殊窯業製品/炭素製品/窯業用特殊機器
日用品 家具・室内装飾品/ガス石油燃焼機器・食卓用品・台所用品/身の回り品/はきもの/文房具・事務用品/運動用具/娯楽用品・音楽用品
医療安全用具 医療用電気機器類/一般医療機器/歯科機器・歯科材料/医療用設備・機器/労働安全/福祉関連機器/衛生用品
航空 専用材料/標準部品/機体/エンジン/計器/電気装備/地上設備
情報処理 プログラム言語/図形・文書処理・文書交換/OSI・LAN・データ通信/出力機器・記録媒体
その他 物流機器/包装材料・容器・包装方法/共通的試験方法/溶接/放射線/マイクログラフィックス/基本/環境・資源循環/工場管理・品質管理

ISO規格とは

ISOは、「International Organization for Standardization」の頭文字を取った言葉で、日本語で「国際標準化機構」と訳されます。ISOは、電気を除く工業規格を策定する民間の非政府組織で、世界最大の国際標準化組織です。1947年に18カ国で発足し、「国家間の製品やサービスの交換を助けるために、標準化活動の発展を促進すること」「知的、科学的、技術的、そして経済的活動における国家間協力を発展させること」を目的に活動しています。

日本のJISCのほか、アメリカのANSI(American National Standards Institute:米国国家規格協会)、ドイツのDIN(Deutsches Institut fur Normung:ドイツ規格協会)などが会員として、工業製品の標準化を行っています。現在は、162カ国(平成30年12月現在)が参加し、22,000以上の規格を管理しています。

IEC規格とは

IECは、「International Electrotechnical Commission」の頭文字を取った言葉で、日本語で「国際電気標準会議」と訳されます。ISOで取り扱っていない、電気・電子技術分野の国際規格の策定を行っている国際標準化機関です。IECは、1906年に13カ国で発足し、「電気および電子の技術分野における標準化のすべての問題および規格適合性評価のような関連事項に関する国際協力を促進し、これによって国際理解を促進すること」を目的にしています。平成30年1月現在は、正会員と準会員を併せて84カ国が参加し、7,500以上の規格を管理しています。

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