省エネとは?

限りあるエネルギーを効率的に使うことを「省エネ」といい、一般家庭はもちろん製造業でも「省エネ」が求められています。こちらでは、省エネを推進するうえで絶対に覚えておきたいエネルギーや省エネの定義、一般家庭と製造業での省エネの違いをわかりやすく解説します。

エネルギーの定義

エネルギー(Energy)は、物理学で「物質や系が持っている仕事をすることのできる能力」と定義されています。日本語的な意味では、前述の意味から「人の気力や活力など、活動の源として保持している力」もエネルギーと呼びます。

エネルギーとは
  1. 物質や系が持っている仕事をすることのできる能力
  2. 人の気力や活力など、活動の源として保持している能力
  3. 上述の1と2の源になるエネルギー資源の総称

このコンテンツでは、製造業における省エネを題材にしているので、「物質や系が持っている仕事をすることのできる能力」をエネルギーの定義として話を進めていきます。高い位置から手を離すとボールが落下する、水の入ったカップを火にかざすと温度が上昇する、そのほかにも光や音を出すなど、いろいろな仕事をする力の源が「エネルギー」です。物理的には、力学的エネルギーや熱エネルギー、電磁気エネルギー、科学エネルギーなどに分類されます。

エネルギーと仕事の関係性

エネルギーは、「物質や系を持っている仕事をすることのできる能力」と定義されます。では、“仕事”とは具体的に何を指すのでしょうか? 仕事は、物理学では「物体に加わる力と、物体の変位の内積によって定義される物理量」と表現されます。少しわかりやすく言い換えると、「物体に力を加えて、その物体が力を加えた方向に移動した場合に、その力と移動距離を掛け算した量」となります。

例えば、「高い位置から手を離すとボールが落下する」という現象は、ボールが“位置エネルギー”を使って落下という“仕事”をしたわけです。つまり“仕事”は、エネルギーを使って何かしらの動作を起こすということを指します。何も動作をしなければ仕事は発生せず、エネルギーはそのままです。

仕事は動作を含む物理量、エネルギーは動作を含まない物理量という考え方が大切です。エネルギーの概念で重要なのは、仕事とは違い、保存できる量であり、方向性を持たないということです。

エネルギーは保存できるもの!
エネルギーは保存できるもの!
仕事はエネルギーを使った動作!
仕事はエネルギーを使った動作!

エネルギー保存の法則

エネルギーを理解するうえで重要なことは、エネルギーは突然発生したり、消滅したりしないということです。その大原則が物理学の基本的な概念「エネルギー保存の法則」です。エネルギー保存の法則では、「エネルギーは、ある形態から他の形態へ変換する前後で、エネルギーの総量は常に一定不変である」と定義しています。

エネルギー保存の法則では、エネルギーの形態が変化すること、変化してもエネルギーの量が変わらないと定義しています。例えば、バッテリーの電気エネルギーで電球を光らせたとします。この場合、同じ系(空間内)のエネルギーの総量は一定です。バッテリーの電気を消費するというより、厳密にいうと電気というエネルギーが電球に移動したという表現が正しいといえます。

エネルギーの種類

エネルギーには、以下のような種類があります。これらのエネルギーを変換しながら人間は利用しています。また、石油や石炭などの自然界にあるエネルギーを「一次エネルギー」、石油や石炭を燃やして得た電気など加工したエネルギーを「二次エネルギー」と呼びます。

  • 科学エネルギー(結合、燃焼)
  • 電磁波エネルギー(光、放射線)
  • 電磁気エネルギー(電気、磁気)
  • 核エネルギー(核分裂、核融合)
  • 熱エネルギー
  • 力学的(機械)エネルギー(運動エネルギー、位置エネルギー)

省エネとは

私達の社会生活は、電気やガスなどの「エネルギー」によって成り立っています。普段なにげなく使用している電気やガスですが、その大部分は石油や石炭、天然ガス、核燃料などの限られた資源を加工することで生み出されます。これは石油や石炭、天然ガス、核燃料などの資源がなくなれば、私達の社会生活が成り立たなくなることを示しています。そこで求められるのが「省エネ」です。省エネとは、「省エネルギー」の略で、石油や石炭、天然ガスなどの限りある資源がなくならないように、エネルギーを効率良く使うことを指します。

省エネの必要性について

省エネは、エネルギー安定供給確保のほか、地球温暖化防止の対策としても推進されています。地球温暖化の原因になる温室効果ガスの大部分を占めるのは、電気やガス、ガソリンなどのエネルギーを使う過程で生まれる二酸化炭素です。省エネでは、エネルギー利用の効率化を図り、温室効果ガスの排出削減も重要なテーマです。エネルギー安定供給確保と地球温暖化防止を実現し、さらに市場機能を活用した経済効率化を目指すことが省エネの最終的な目標です。

省エネで大切な3つの「E」
省エネで大切な3つの「E」

再生可能エネルギーについて

近年では、石油や石炭、天然ガスといった有限な資源とは異なる、再生可能エネルギーの活用も省エネ対策として推進されています。再生可能エネルギーとは、「枯渇しない」「どこにでも存在する」「 CO2を排出しない(増加させない)」という3つの特長を持つ、太陽光・風力・水力・地熱・太陽熱、バイオマスなどのエネルギーを指します。

一般的な省エネと企業の省エネの違い

省エネは、一般家庭はもちろん企業にも課せられた使命です。特に製造業は、膨大なエネルギーを消費するので効率化を図り、使用量を減らすために対策を行う必要があります。

企業における省エネの目的は、「コスト削減」「エネルギー資源の有効利用」「地球温暖化防止」「法令遵守」の4つです。最近では、地球温暖化防止観点から世界的にCO2削減が要請されるようになり、企業にも対策が迫られています。省エネ対策は手間がかかりますが、実践することで燃料費が抑えられ、原価低減により利益増加が見込めるという大きなメリットもあります。

日本国内での省エネについて

日本では、1973年の第一次オイルショックから約40年にたわり、省エネ活動が行われています。エネルギーの合理的かつ適切な使用を推進するために「エネルギーの使用の合理化に関する法律」(省エネ法)(昭和54年制定)であり、工場に係る措置として次の事項が定められています。

日本国内での省エネについて
燃料の燃焼の合理化
加熱及び冷却並びに伝熱の合理化
放射,伝導等による熱の損失の防止
廃熱の回収利用
熱の動力等への変換の合理化
抵抗等による電気の損失の防止
電気の動力,熱等への変換の合理化

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