製造業が省エネを行う背景

人間社会の発展にはエネルギーが欠かせない存在です。人間は、エネルギーを活用することで豊かな生活を送ってきました。近年は人工増加や経済成長にともない、世界的にエネルギーの消費量が増加しています。エネルギー資源の大部分を占める石油や石炭などは限られた資源であり、いつかは枯渇してしまいます。そこで重要なのがエネルギー資源をどのように活用するかということです。特に製造業は、膨大なエネルギーを消費する産業なので、省エネが求められます。こちらでは、製造業が省エネを行う背景について説明します。

環境・資源の問題

省エネとは、限りある資源を有効活用する術です。「省エネとは」でも説明しましたが、エネルギー安定供給確保のほか、地球温暖化防止、経済効率化という3つを実現するために、私たちは省エネに取り組む必要があります。省エネを実施する上で、経済効率化を図りながら地球温暖化保全という環境、エネルギー安定供給という資源の問題を解決していく必要があります。

省エネで大切な3つの「E」
省エネで大切な3つの「E」

増え続けるエネルギー消費量

主要国の発電電力量の推移を見ると、主に中国・インド・韓国などで大きく増えています。また国際エネルギー機関(IEA)の調査によると、2040年の世界エネルギー消費量は、2014年の1.3倍に増加すると指摘しています。その大半を占めるのが、中国やインドなどの新興国と予測しています。

1990年を基準とした 主要国の発電電力量の推移(伸び率)
主要国の発電電力量の推移(伸び率)

出典:原子力・エネルギー図面集

A
中国
B
インド
C
韓国
D
ブラジル
E
世界平均
F
アメリカ
G
フランス
H
ドイツ
I
日本
J
ロシア
世界の一次エネルギー消費の推移と見通し
世界の一次エネルギー消費の推移と見通し
出典:IEA「WORLD ENERGY OUTLOOK 2016」

化石燃料の枯渇

上述のようにエネルギー消費量の増加が予測されていますが、そのエネルギーは石油や石炭、天然ガスといった化石燃料に頼っているのが現状です。これら化石燃料を「あと何年間採掘できるのか」を示したものがエネルギー資源確認埋蔵量です。エネルギー資源確認埋蔵量とは、現時点で確認されている経済的、合理的な範囲で採掘可能なそれぞれの資源の埋蔵量を年間の生産量で割ったものです。世界のエネルギー資源確認埋蔵量は、石油や天然ガスが約50年、ウランが約100年、石炭が約130年で枯渇すると予測しています。

世界のエネルギー資源確認埋蔵量
世界のエネルギー資源確認埋蔵量

出典:原子力・エネルギー図面集

■可採年数=確認可採埋蔵量/年間生産量、ウランの確認可採埋蔵量は費用130ドル/kgU未満。
※1 BP統計2018 ※2 OECD・IAEA「Uranium 2018」

このように、そう遠くない未来にエネルギーの枯渇という問題に直面します。そこで化石燃料の使用量を抑え、新たなエネルギー資源の開発に取り組むなど、省エネが急務になっています。

地球温暖化の原因となるCO2排出量削減

化石燃料を燃やして発電などを行えば、地球温暖化の原因になるCO2が排出されます。エネルギー消費量の増大は、地球温暖化を加速させる要因のひとつでもあります。以下は、世界の二酸化炭素排出量をまとめたグラフですが、エネルギー消費量が増えている中国やインドなどの新興国でCO2排出量も同様に増えていることがわかります。

2016年の世界の二酸化炭素排出量(国別排出割合)
2016 年の世界の二酸化炭素排出量(国別排出割合)

出典:温室効果ガスインベントリオフィス

全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(http://www.jccca.org/)を元に作成
A
中国(28.0%)
B
アメリカ(15.0%)
C
インド(6.4%)
D
ロシア(4.5%)
E
日本(3.5%)
F
ドイツ(2.3%)
G
韓国(1.8%)
H
カナダ(1.7%)
I
インドネシア(1.4%)
J
メキシコ(1.4%)
K
ブラジル(1.3%)
L
オーストラリア(1.2%)
M
イギリス(1.1%)
N
イタリア(1.0%)
O
フランス(0.9%)
P
その他(28.5%)
Q
世界の排出量合計 約323 億トン

CO2排出量の増加に連動するように世界の年平均気温も上昇しています。CO2増加により、21世紀末には世界の平均気温が20世紀末に比べて1.5°C上昇すると予想されています。

世界の年平均気温偏差
世界の年平均気温偏差

出典:気象庁

A
1981-2010年平均からの差(°C)
B
トレンド=0.73(°C/100年)

折線(黒):各年の基準値からの偏差(1981~2010年平均からの差)
折線(青):偏差の5年移動平均
直線(赤):長期的な変化傾向
(100年あたり約0.73°Cの割合で上昇)
基準値は1981~2010年の30年平均

エネルギー・燃料価格高騰

エネルギー消費量の増加とともにエネルギー・燃料価格高騰も製造業が省エネを推進する理由です。主要国のエネルギー輸入依存度を見るとカナダやロシアなどの産油国を除く、多くの国で輸入に依存しています。特に原油は、情勢が不安定な中東諸国に依存しており、供給が滞るリスクをはらんでいます。

2016年 主要国のエネルギー輸入依存度
2016年 主要国のエネルギー輸入依存度

(注)下向きのグラフは輸出していることを表す
1-1-11 出典:IEA「WORLD ENERGY BALANCES(2018 Edition)」より作成
出典:原子力・エネルギー図面集

a
輸入依存度(原子力を含む)
b
輸入依存度(原子力を除く)
A
日本
B
韓国
C
イタリア
D
ドイツ
E
フランス
F
イギリス
G
インド
H
アメリカ
I
中国
J
ブラジル
K
カナダ
L
ロシア

また原油価格は、需要と供給のバランスで価格が決まりますが、エネルギー消費量が増えれば高くなります。2000年以降は、中国やインドなどの新興国で石油需要が増大し、主要産油国である中東地域の政情不安、短期的な価格変動に着目した投機資金の流入などにより、原油価格は大幅に変動しています。原油価格をはじめとしたエネルギー資源の価格高騰は、企業経営にも影響し、収益悪化などの要因になります。

原油輸入価格の推移
原油輸入価格の推移

1-2-6 出典:石油連盟統計資料より作成
出典:原子力・エネルギー図面集

A
第一次石油危機
B
第二次石油危機
C
湾岸戦争

コスト削減・ノルマ

企業経営は、収益性を高めることとの戦いです。そのために重要なことがコスト削減です。製造業であれば、材料費を抑えたり、生産性を高めたり、日々コスト削減ノルマを達成するために努力しています。
ものづくりでは、膨大な電気やガスなどを使用するので、エネルギー消費量を抑えることがコスト削減に直結します。次のページからは、コスト削減をはじめとした省エネのメリットについて説明します。

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