省エネ設備に関する補助金

エネルギー基本計画や省エネ法により、事業者には省エネ対策の実施と報告が義務付けられています。同時に政府は、省エネを推進するために、省エネルギー投資に向けた支援助成金などの各種支援制度を用意しています。こちらでは、省エネ設備に関する補助金について紹介します。

省エネルギー投資促進に向けた支援補助金(エネルギー使用合理化等事業者支援事業)

平成31年度「省エネルギー投資促進に向けた支援補助金(エネルギー使用合理化等事業者支援事業/以下「省エネ補助金」という)」の概要について説明します。省エネ補助金の対象事業は、エネルギー管理を一体で行っている工場または事業所、その他事業場(以下「工場」という)において実施する次に掲げる事業(投資回収年数※が5年以上の事業に限る)となります。また、「工場・事業場単位」「設備単位」に分けられ、それぞれ基準が設けられています。

※投資回収年数=補助対象経費÷(計画省エネ量×燃料単価)

工場・事業場単位での省エネルギー設備導入事業

①一般事業
省エネルギー設備への更新・改修・計測・見える化・制御などの機能を備えたエネルギーマネジメントシステムの新設により、原油換算量ベースで省エネルギー率5%またはエネルギー消費原単位改善率5%以上※のいずれかを達成する事業。
※エネルギー消費原単位改善率での申請は、設備更新後に生産量が増加し、かつエネルギー消費量が増加する事業に限る。
②大規模事業
省エネルギー設備への更新・改修・エネルギーマネジメントシステムの新設により、原油換算量ベースで省エネルギー量500k以上を達成する事業。
③複数事業者連携省エネルギー事業
複数の事業者間において、生産設備の統合やユーティリティの共有によるエネルギーや生産品などの相互融通等で、一体となって省エネ可を図り、①または②の要件のいずれかを満たす事業。
④エネマネ事業
SIIに登録したエネマネ事業者と「エネルギー管理支援サービス」を契約し、SIIに登録したエネルギーマネージメントシステムを用いて効果的に省エネルギー化を図り、制御効果と省エネルギー診断等による運用改善効果により、原油換算量ベースで省エネルギー率2%以上を達成する事業。

設備単位での省エネルギー設備導入事業

次に掲げる設備区分に該当し、SIIが定める基準値を満たす省エネルギー性能を有する設備に更新する事業(大企業※を除く。)

※大企業とは、中小企業者等以外の法人。
中小企業者等とは、中小企業者(中小企業基本法第2条に規定する中小企業者であって、みなし大企業を除く。)、個人事業主及び会社法上の会社(株式会社・合名会社・合資会社・合同会社・有限会社)以外の法人。

(ア)
高効率空調
(イ)
産業ヒートポンプ
(ウ)
業務用給湯器
(エ)
高性能ボイラ
(オ)
高効率コージェネレーション
(カ)
低炭素工業炉
(キ)
冷凍冷蔵設備
(ク)
産業用モータ
平成31年度省エネルギー投資促進に向けた支援補助金
(エネルギー使用合理化等事業者支援事業)
平成31年度予算額 約383.4億円
Ⅰ. 工場・事業場単位 Ⅱ. 設備単位
省エネ設備導入事業 (d)エネマネ事業
(a)一般事業 (b)大規模事業 (c)連携事業
申請要件 原油換算量ベースで、以下の要件のいずれかを満たす事業
①省エネ率:5%以上
②エネルギー消費原単位改善率5%以上
原油換算量ベースで、500kl以上の省エネ量を満たす事業 複数事業者の連携により、(a)又は(b)の要件のいずれかを満たす事業 エネマネ事業者と契約し、事業所単位等で、「EMSの制御効果と省エネ診断等の運用改善効果」により、原油換算量ベースで、省エネ率2%以上を満たす事業 既設設備を一定以上の省エネ性能の高い設備に更新する事業
①高効率空調
②産業ヒートポンプ
③業務用給湯器
④高性能ボイラ
⑤高効率コージェネレーション
⑥低炭素工業炉
⑦冷凍冷蔵設備
⑧産業用モータ
補助対象
経費
設計費、設備費、工事費 設備費のみ
補助率 中小企業等 1/3以内
(d)と同時申請で1/2以内
1/2以内
※投資回収年数7年未満の事業は1/3以内
1/2以内 1/2以内 1/3以内
大企業 1/4以内
(d)と同時申請で1/3以内
1/3以内
※投資回収年数7年未満の事業は1/4以内
1/3以内 対象外
補助金
限度額
【上限額】15億円/年度
【下限額】100万円/年度
※複数年度事業の1事業当たりの上限額は50億円
【上限額】20億円/年度
※複数年度事業の1事業当たりの補助金上限額は60億円
【上限額】30億円/年度
※複数年度事業の1事業当たりの補助金上限額は90億円
【上限額】15億円/年度
【下限額】100万円/年度
※複数年度事業の1事業当たりの上限額は50億円
【上限額】
1事業当たり3,000万円
【下限額】
1事業当たり30万円

※Ⅰにおいては、投資回収年数5年以上の事業に限る

出典:経済産業省 資源エネルギー庁 https://www.enecho.meti.go.jp/

電力需要の低減に資する設備投資支援事業費補助金

平成31年度「電力需要の低減に資する設備投資支援事業費補助金(以下「省電力補助金」という)」の概要について説明します。省電力補助金の補助対象は、エネルギー管理を一体で行っている工場などにおいて実施する次に掲げる事業(投資回収年数が5年以上の事業に限る。)となっています。

工場・事業場単位での省電力設備導入事業

①省電力設備導入事業
省電力設備への更新・改修・エネルギーマネジメントシステムの新設により、電力使用量を10%以上削減する事業。
②エネマネ活用事業
①の事業に加えて、SIIに登録されたエネマネ事業者と「エネルギー管理支援サービス」を契約し、SIIに登録されたエネルギーマネジメントシステムを用いて効果的に省電力化を図り、制御効果と省電力診断等による運用改善効果により、電力使用量を2%以上削減する事業。

設備単位での省電力設備導入事業

次に掲げる設備区分に該当し、SIIが定める基準値を満たす省電力性能を有する設備に更新することにより、電力使用量を10%以上削減する事業。

(ア)
高効率照明
(イ)
高効率空調
(ウ)
産業ヒートポンプ
(エ)
業務用給湯器
(オ)
高性能ボイラ
(カ)
低炭素工業炉
(キ)
変圧器
(ク)
冷凍冷蔵設備
(ケ)
産業用モータ
平成31年度電力需要の低減に資する設備投資支援事業費補助金
平成31年度予算額 約100.4億円
Ⅰ. 工場・事業場単位 Ⅱ. 設備単位
(a) 省電力設備導入事業 (b) エネマネ活用事業
申請要件 省電力設備への更新等により、電力使用量を10%以上削減する事業 (a)の事業に加え、エネマネ事業者と契約し、事業所単位等で、「EMSの制御効果と省エネ診断等の運用改善効果」により、電力使用量を2%以上削減する事業 既設設備を一定以上の省電力性能の高い設備に更新することで、電力使用量を10%以上削減する事業

①高効率照明
②高効率空調
③産業ヒートポンプ
④業務用給湯器
⑤高性能ボイラ
⑥低炭素工業炉
⑦変圧器
⑧冷凍冷蔵設備
⑨産業用モータ
補助対象
経費
設計費、設備費、工事費 設備費のみ
補助率 中小企業等 1/3以内 1/2以内 1/3以内
大企業 1/4以内 1/3以内
補助金
限度額
【上限額】1事業当たり15億円
【下限額】1事業当たり100万円
【上限額】
1事業当たり3,000万円
【下限額】
1事業当たり30万円

※Ⅰにおいては、投資回収年数5年以上の事業に限る

出典:経済産業省 資源エネルギー庁 https://www.enecho.meti.go.jp/

そのほかの省エネ関連助成金について

そのほかの省エネ関連助成金について

「省エネルギー投資促進に向けた支援補助金(エネルギー使用合理化等事業者支援事業)」「電力需要の低減に資する設備投資支援事業費補助金」のほかに、中小企業等の省エネを推進する「中小企業等に対する省エネルギー診断事業費補助金」、省エネルギー設備の新規導入や増設などの省エネに対する取り組みのモデルケースとなり得る事業等に対して支援を行う「省エネルギー設備投資に係る利子補給金助成事業費補助金」に加え、「貨物輸送事業者と荷主の連携等による運輸部門省エネルギー化推進事業費補助金」「革新的な省エネルギー技術の開発促進事業」など、多くの補助金制度があります。そのほか、まだ31年度予算が決まっていませんが30年度から引き続き「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」の補助金も継続予定です。

こちらで紹介した補助金制度以外にも地方自治体で独自に支援を行っているケースがありますので、省エネ対策を実施する際には一度ご確認ください。省エネ対策による設備投資はコストがかかりますが、国や地方自治体が促進のためにたくさんの支援を行っています。また、省エネ対策によってランニングコストの削減にもつながるので、長期的な視点で補助金・融資なども含めて検討することが重要です。

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