一般工場内設備

照明や空調機器、扇風機・換気扇、冷蔵庫・冷凍庫など、一般工場内設備の省エネ対策例を紹介します。省エネ対策を実施するうえで重要なチェックポイントと、エネルギー消費を抑える基本的な方法を解説します。

照明機器

照明の省エネ対策で思い浮かぶのがLED照明です。LED照明は、明るくて長寿命ですが、交換の際には現在使用しているランプの種類、作業に必要な照度、エネルギー使用量、コストなどを考慮する必要があります。こちらでは、照明機器に関する一般的な省エネ対策例を紹介します。

照明機器

照明機器の省エネ対策例

照明設備の省エネ対策例は、以下のような方法が挙げられます。

  • こまめに照明をオン・オフする
  • 休憩時間や就業後は照明を消す
  • 使っていない場所の照明を消す
  • 作業に問題ない範囲で照明の数を減らす(間引く)
  • こまめに清掃して照明の明るさを保つ
  • LEDや無電極ランプなどの効率の良い照明に交換する
  • 長寿命な照明に変更してランニングコスト・交換の手間を減らす など

もっとも簡単な省エネの方法は、照明の使用時間・数を減らすことです。しかし、作業時間や作業内容により、使用時間・数を減らすことには限界があります。また、水銀灯は、一度消してしまうと再び明るくなるまでに時間がかかるので、こまめに消灯することも難しいものです。そこで、より高効率で消費電力の少ないLED・無電極ランプへの交換が効果的です。

一般的な工場で使用されてる照明

以下は、一般的に工場で使用されている照明の種類です。

ランプの種類 特長
蛍光灯 ガラス管の内側に蛍光塗料を塗り、水銀の放電で生じる紫外線を目に見えるように変換した照明です。工場はもちろん一般家庭でもよく使われますが、水銀灯に比べると暗い傾向にあります。
水銀灯(H/HF/HRG型など) 一般的な水銀灯で、「H/HF/HRG型」と呼ばれます。消費電力が大きく、電気代のかかる代表的なランプですが、明るいことが特長です。
バラストレス水銀灯(BHF/BHRF型など) 水銀灯の一種です。一般的なHF型水銀灯は安定器が必要ですが、バラストレス水銀灯は安定器不要で設置コストが抑えられます。
メタルハライドランプ(M/MF/MT型など) 水銀灯の発光効率や演色性を改善した照明です。水銀灯に比べて高効率で省エネ効果が見込めます。さらに高効率化した「セラミックメタルハライドランプ(CDM型等)」もあります。
低圧ナトリウムランプ(SOX/NX型など) ナトリウムの放電を利用した高効率な照明です。オレンジ色の光が特徴で、視認性に優れることからトンネルや港湾、道路の照明に使用されています。そのほかに似たものとして、高効率で温かみのある色味が特長の「高圧ナトリウムランプ」というものもあります。

以下は、省エネ対策として用いられる照明の種類です。

ランプの種類 特長
LED 消費電力が少なく、長寿命なことから一般家庭や工場で取り入れられている省エネ照明の代表です。水銀灯から変更すると光の感じ方、物の見え方が変わるので選定には注意が必要です。
無電極ランプ 電極を用いずに点灯する無電極放電現象を利用したランプです。フィラメントや電極がないので長寿命で、ランプ効率も高いので工場の天井照明、そのほか街路灯などにも使用されています。光の広がりも水銀灯に近く、省エネ効果も高い照明です。

工場における照明選定のポイント

水銀灯からLEDランプや無電極ランプに交換すれば、消費電力が抑えられて高い省エネ効果が得られます。しかし、交換コストや寿命、光り方、照度などを考えて交換することが大切です。水銀灯から置き換える場合、口金が合えば安定器の変更のみで使えるメタルハライドランプも低コストで導入でき、省エネ対策として有効です。以下に工場で一般的に用いられる「水銀灯」「メタルハライドランプ」「無電極ランプ」「LED」の特長をまとめました。

水銀灯 メタルハライドランプ 無電極ランプ LED
サイズ 光源が大きい 光源が大きい 光源が大きい 光源が小さい
省エネ効果 ×
一般的な工場で使用するものは400W程度

250W

150W

120W
寿命 ×
12000時間程度
×
12000時間程度

6×10万時間

4×6万時間
演色性 ×
自然光とは異なる

自然光に近い

自然光に近い

自然光に近い
眩しさ ×
※カバーなどを使用すれば軽減可能
誘虫指数 ×
虫が集まりやすい

比較的少ない

比較的少ない

比較的少ない
瞬時始動 ×
明るくなるまで時間がかかる
×
明るくなるまで時間がかかる

すぐに明るくなる

すぐに明るくなる
最瞬時始動 × ×
水銀の含有 水銀を使用 水銀を使用 水銀を使用 水銀を不使用

工場における照度基準について

工場の照明については、JIS Z 9110にて照度基準が設けられています。照明を変更する場合は、以下を確認して照度基準を満たすように選定します。

JIS照度基準 工場
領域、作業、又は活動の種類 維持照度 Em (lx) 照度均斉度 Uo 屋内統一グレア制限値 UGRL 平均演色評価数 Ra 注記
作業 精密機械、電子部品の製造、印刷工場での極めて細かい視作業
例えば、組立a、検査a、試験a、選別a
1500 0.7 16 80 色が重要な場合は Ra≧90、超精密な視作業の場合には2000lxとする。
維工場での選別、検査、印刷工場での植字、校正、化学工場での分析などの細かい視作業
例えば、組立b、検査b、試験b、選別b
750 0.7 19 80 色が重要な場合は Ra≧90、精密な視作業の場合には1000lxとする。
一般の製造工場などでの普通の視作業
例えば、組立c、検査c、試験c、選別c、包装a
500 0.7 60 色が重要な場合は Ra≧90とする。
粗な視作業で限定された作業
例えば、包装b、荷造a
200 60
ごく粗な視作業で限定された作業
例えば、包装b、荷造b・c
100 60
設計、 製図 750 0.7 16 80
制御室などの計器盤及び制御盤などの監視 500 0.7 16 80 1) 制御盤は多くの場合鉛直
2) 調光が望ましい
倉庫内の事務 300 19 80
荷積み、荷降ろし、荷の移動など 150 40
領域、作業、又は活動の種類 維持照度 Em (lx) 照度均斉度 Uo 屋内統一グレア制限値 UGRL 平均演色評価数 Ra 注記
執務空間 設計室、 製図室 750 16 80
制御室 200 22 60
共有空間 作業を伴う倉庫 200 60
倉庫 100 60 常時使用する場合は200lx
電気室、空調機械室 200 60
便所、洗面所 200 80
階段 150 40 出入口には移行部を設け、明るさの急激な変化を避ける。
屋内非常階段 50 40
廊下、通路 100 40
出入口 100 60

注記 : 同種作業名について見る対象物及び作業の性質に応じて、 次の三つに分ける。

a)
表中のaは、細かいもの、暗色のもの、対比の弱いもの、特に高価なもの、衛生に関係ある場合、精度の高いことを要求される場合、作業時間の長い場合などを表す。
b)
表中のbは、 a)とc)との中間のものを表す。
c)
表中のcは、 粗いもの、 明色のもの、 頑丈なもの及びさほど高価でないものを表す。

JIS Z 9110:2010 より抜粋

空調機器(エアコンなど)

工場内の空調機器(エアコンなど)は、温度設定や稼働時間を見直すだけで省エネ効果が得られます。こちらでは、空調機器の省エネ方法について紹介します。

空調機器(エアコンなど)

空調機器(エアコン)の省エネ対策例

空調設備の省エネ対策例は、以下のような方法が挙げられます。

  • 温度設定・風量を見直す
  • 稼働時間を見直す
  • 利用していない部屋の空調をとめる
  • 定期的にフィルターを掃除する
  • ブラインドで日差しを遮る
  • サーキュレータや扇風機と併用する
  • 換気ファンの運用方法を見直す
  • 室内機・室外機周辺の温度を改善する
  • 消費電力の少ない機器に交換する
  • 排熱を利用する など

もっとも簡単な省エネの方法は、空調機器(エアコンなど)の使用時間や温度設定の見直しです。しかし、極端な設定は快適性を損ない人間に負担がかかり、作業効率低下を招きます。そこでブラインドを使って日差しを遮る、サーキュレータを併用して効率化を図るなどの対策も有効です。フィルターが汚れていると冷却効率が悪くなるので、フィルターメンテナンスも定期的に実施します。根本的な対策としては、効率の良い製品に交換することですが、費用対効果を検討したうえでの入れ替えが重要です。

扇風機・換気扇

空頭機器(エアコンなど)と併せて実施したい省エネ対策が扇風機・換気扇の見直しです。こちらでは、扇風機・換気扇の省エネ方法について紹介します。

扇風機・換気扇

扇風機・換気扇の省エネ対策例

扇風機・換気扇の省エネ対策例は、以下のような方法が挙げられます。

  • 風量を見直す
  • 稼働時間を見直す
  • 利用していない部屋の扇風機・換気扇をとめる
  • 定期的にフィルターを掃除する
  • 消費電力の少ない機器に交換する など

基本的には、空調機器と同様に使用時間・風量の見直しなどが省エネ対策として有効です。また、フィルターが目詰まりしていたり、扇風機・換気扇にホコリが溜まったりしていると効率悪化を招くので定期的な清掃も有効です。さらなる省エネを考える場合は、消費電力の少ない機器への交換となります。空気を循環させたり、冷却したり、換気を行う扇風機・換気扇は、空調機器とセットで見直すことが大切です。

冷蔵庫・冷凍庫

食品や医薬品を扱う工場、また製造業でも各種薬品や精密機器を保管するために冷蔵庫・冷凍庫を使用します。こちらでは、冷蔵庫・冷凍庫の省エネ方法について紹介します。

冷蔵庫・冷凍庫

冷蔵庫・冷凍庫の省エネ対策例

冷蔵庫・冷凍庫の省エネ対策例は、以下のような方法が挙げられます。

  • 設定温度を見直す
  • 室外機に散水をする、日差しが当たらないように移設する
  • 冷蔵庫・冷凍庫の開け閉めする頻度を減らす
  • 不用物を撤去して冷蔵庫・冷凍庫内の詰め込みを予防する
  • 冷蔵・冷凍するものを選定して稼働台数を減らす
  • 非製造時や休日の稼働台数を減らす、運転を停止する
  • 冷却水ポンプにインバータを設置して冷却水流量を制御する
  • 高効率な機器に交換する

冷蔵庫・冷凍庫の省エネで手軽な方法としては、温度設定や運用方法の見直しです。また、冷蔵庫・冷凍庫の詰め込みは効率の低下を招くので、不必要なものを入れないということも大切です。簡単なところでは、室外機に散水したり、日差しが当たらないようにしたりすることで冷却効率を高めることや、冷凍庫・冷蔵庫内の物をまとめて取り出すようにして開け閉めの頻度を減らすことです。また、冷却水ポンプにインバータを設置し、冷却水流量を調整することで過冷却を防ぎ、ポンプの電力消費量を抑えるといった方法も有効です。

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