給排水・衛生設備

製造業では、材料の一部として使用したり、製品の冷却や洗浄に使用したり、温度や湿度を調整するために水を使用します。工業製品の製造では、大量の水を使い、排水には科学薬品などが含まれることも多いので、限りある水資源の有効活用と環境保護の観点から水のリサイクルが一般的になっています。こちらでは、給排水・衛生施設における省エネ対策例を紹介します。

上中水道(給水・循環水)・下水道(排水)

上水道とは、一般的な水道水を指し、下水道とは生活排水・産業排水・雨水などの汚水を排水・処理する施設全般を指します。また、トイレや工場などに使われる雑用・工業用の水道を「中水道」と呼びます。製造業で使用する水は、生産に使うものであり、一般家庭で使用する上水道ではなく中水道が使われることが一般的です。上中下水道の省エネ対策としては、まずは限りある水を大切に使う「節水」、危険物を含んだ排水の流出を防ぐこと、そして電気やガスなどのエネルギー消費を抑えることの3つがポイントになります。

上中水道(給水・循環水)・下水道(排水)

日本における上中下水道と工業用水

日本では、上水道・中水道・下水道を以下のように区別しています。

上水道

一般的な水道水など飲用に適した水を供給する水道

中水道

飲用には適さない雑用・工業用の水を供給する水道

下水道

生活排水や産業排水、雨水などの汚水を終末処理場に処理する施設全般

一般的に製造業で使用する水は、中水道が該当します。また、日本の「工業用水道事業法(昭和33年、法律第84号)」では、水力発電用・飲用を除く工業用(製造業、電気供給業、ガス供給業及び熱供給業)の水を「工業用水」と定義し、明確に区別しています。加えて導管により工業用水を供給する施設を「工業用水道」、工業用水道により工業用水を供給する事業を「工業用水事業」と呼びます。

産業別に工業用水の使用量を見ると、使用水量では化学工業、鉄鋼業、ついでパルプ・紙・紙加工品製造業の順、補給水量ではパルプ・紙・紙加工品製造業、化学工業、鉄鋼業の順に多くなっています。また、「平成28年経済センサスー活動調査 用地・用水編 経済産業省」の調べでは、鉄鋼業(90.4%)、輸送用機械製造業(89.1%)で約9割の水を循環して使用しています。

上中水道(給水・循環水)・下水道(排水)の省エネ対策例

上中下水道の省エネ対策例は、以下のような方法が挙げられます。

  • 節水を心がける
  • 節水機器を取り付ける
  • 流量を調整する
  • 水漏れを補修する
  • 凍結防止用ヒータの温度を調整する
  • インバータを導入する など

上中下水道(給水・循環水・排水)の節水方法は、人が節水を心がけて使うほか、節水機器を取り付けて水量を制限するなどが挙げられます。また省エネでは、凍結防止用ヒータの温度・運転時間を調整したり、流量を監視・記録してインバータで制御するなどが有効です。ポンプのインバータ化は、流量センサ・圧力センサ・レベルセンサなどで測定を行い、流量や圧力を制御することで節水と電力消費量の削減に効果的です。

消臭・殺菌・洗浄機

給排水設備とセットで考えなければいけないのが衛生設備です。一般的なところではトイレの廃水処理、製造業であれば工業排水の浄化槽などが該当します。清潔な環境で作業することはもちろん、近隣住民に健康被害がでないように消臭・殺菌などを行うことも製造業を営む事業者の義務です。

消臭・殺菌・洗浄機

消臭・殺菌・洗浄機の省エネ対策例

消臭・殺菌・洗浄機の省エネ対策例は、以下のような方法が挙げられます。

  • 水や薬品などが漏れないように対策する
  • 水や薬品などの流量を適正に保つ
  • 曝気ブロアの運転を調整する
  • インバータを導入する など

消臭・殺菌・洗浄機などの省エネ対策として有効な方法は、水道や薬品の流量を管理し、適切に制御することです。そのためには流量センサ・圧力センサ・レベルセンサで計測し、インバータ化して適切に流量をコントロールすることが有効です。また、浄化槽に酸素を送る曝気ブロアの運転を休日や休憩時間に減らすなどの調整も電力消費を抑える効果があります。

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