世界のエネルギー消費量の推移

世界的にエネルギー消費量(一次エネルギー)が増加しており、その中心は今も石油や石炭などの化石燃料です。化石燃料は限られた量しかなく、石油や天然ガスは約50年、ウランや石炭は約100年で枯渇すると予測されています。そこで大切な資源の使用量を抑え、新たなエネルギー源の開発に取り組む省エネが急務になっています。また、石油や石炭は、発電のために燃やすと地球温暖化の原因になるCO2を排出します。省エネと同時にCO2排出を抑える試みも世界で広がっています。こちらでは、実情を知って省エネ対策に望むために、世界のエネルギー消費量の推移について詳しく解説します。

先進国から新興国に移り変わるエネルギー需要

世界のエネルギー消費量(一次エネルギー)は、石油換算で1965年の37億トンから年平均2.5%で増加し続けており、2016年には133億トンに達しました。このエネルギー消費を牽引しているのが中国やインドなどの新興国です。一方で先進国(OECD諸国)での伸びは鈍化しています。エネルギー消費量のシェアを見ると、1965年はOECD諸国の割合が70.8%でしたが、2016年には41.6%まで低下しています。

世界のエネルギー消費量の推移(地域別、一次エネルギー)
世界のエネルギー消費量の推移(地域別、一次エネルギー)
出典:「平成29年度エネルギーに関する年次報告」(エネルギー白書2018) 経済産業省 資源エネルギー庁

化石燃料の埋蔵量について

化石燃料を「あと何年間採掘できるのか」を示したものがエネルギー資源確認埋蔵量です。エネルギー資源確認埋蔵量とは、現時点で確認されている経済的、合理的な範囲で採掘可能なそれぞれの資源の埋蔵量を年間の生産量で割ったものです。以下のとおり、化石燃料はそう遠くないうちに枯渇すると予測されています。そのため世界的に再生可能エネルギーや次世代エネルギーの活用が求められています。

化石燃料の埋蔵量について

出典:原子力・エネルギー図面集

■可採年数=確認可採埋蔵量/年間生産量、ウランの確認可採埋蔵量は費用130ドル/kgU未満。
※1 BP統計2018 ※2 OECD・IAEA「Uranium 2018」

MEMO OECD諸国とは

OECDは「Organisation for Economic Co-operation and Development:経済協力開発機構」の略で、先進国間の自由な意見交換・情報交換を通じて「①経済成長」「②貿易自由化」「③途上国支援」に貢献することを目的に活動しています。加盟国は、現在以下の35ヵ国となっています。

EU加盟国(22ヵ国)

イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、フィンランド、スウェーデン、オーストリア、デンマーク、スペイン、ポルトガル、ギリシャ、アイルランド、チェコ、ハンガリー、ポーランド、スロヴァキア、エストニア、スロベニア、ラトビア

その他(13ヵ国)

日本、アメリカ合衆国、カナダ、メキシコ、オーストラリア、ニュージーランド、スイス、ノルウェー、アイスランド、トルコ、韓国、チリ、イスラエル

エネルギー源は今も石油が主役

世界のエネルギー消費量(一次エネルギー)の動向を見ると、変わらず石油がエネルギー源で一番多いことがわかります。2016年時点でエネルギー消費の33.3%を占め、特に経済成長著しい中国などのアジア地域で多く消費されています。しかし、近年は中国の需要が鈍化し、アメリカでは天然ガスへ代替えが進むなど、石油の需要の伸びが緩やかになっています。

また、石炭に次いで天然ガスの消費が増えています。緩やかではありますが、2000年以降は風力や太陽光などの「他再生エネルギー」も増えており、技術革新で発電コストが下がり、今後も伸びていくことが予想されます。

世界のエネルギー消費量の推移(エネルギー源別、一次エネルギー)
世界のエネルギー消費量の推移(エネルギー源別、一次エネルギー)
出典:「平成29年度エネルギーに関する年次報告」(エネルギー白書2018) 経済産業省 資源エネルギー庁

最終エネルギー消費量は輸送用の伸びが顕著

世界の最終エネルギー消費の推移を見ると、1971年から2015年までの44年間で2.2倍に増加しています。部門別に見ると、鉄鋼・機械・化学等の産業用エネルギー消費、家庭や業務等の民生用エネルギー消費が1.9倍、輸送用エネルギー消費は2.8倍に増えました。要因としてはモータリゼーションによる自動車の普及、それに伴う自動車用燃料の需要急増が挙げられます。

世界のエネルギー需要の推移(部門別、最終エネルギー)
世界のエネルギー需要の推移(部門別、最終エネルギー)
出典:「平成29年度エネルギーに関する年次報告」(エネルギー白書2018) 経済産業省 資源エネルギー庁

今後のエネルギー消費予測

今後の世界のエネルギー消費量について、国際エネルギー機関(IEA)、BP、米国エネルギー省情報局(EIA)、日本エネルギー経済研究所(IEEJ)の予測を見ていきます。一次エネルギー消費量は、2016年から2030年まで年平均1.2~1.8%増加し、2016年と比較して2030年に1.2~1.3倍になると各機関が予測しています。石油換算で約157~172億トンという予測です。

エネルギー別では、風力や太陽光などの再生可能エネルギーが最も増加し、続いて原子力と予測しています。一方で石炭も緩やかに増加するというのが各機関の予測です。

そして石油は、2030年も変わらず、最大のエネルギー源であり続けるというのが統一見解です。しかし、石油の消費量予測は、各機関でばらつきがあり、IEAは5%程度の増加と予測していますが、米国EIAのレファレンスケースは27%の増加と予測しています。これは、先進国では再生可能エネルギーの需要が増加しますが、それ以上に新興国で石油の需要が増加するという予測からです。

あくまでも予測ではありますが、今後も石油がエネルギー源の中心だということは変わらないでしょう。しかし、新たな油田が見つからない限り、石油は50年ほどで枯渇するというデータがあります。限りある資源を無駄にしないためには、企業はもちろん、家庭や個人も節電に取り組み、省エネ対策に迫られます。そして大量のエネルギーを消費する製造業は、さらに厳しい省エネ対策が求められます。

世界のエネルギー需要展望 (エネルギー源別、一次エネルギー)
世界のエネルギー需要展望 (エネルギー源別、一次エネルギー)
出典:「平成29年度エネルギーに関する年次報告」(エネルギー白書2018) 経済産業省 資源エネルギー庁

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