温度・圧力の物理量との違い

流量・温度・圧力の関係性と違い

流量管理では、流量のほかに温度や圧力などの物理量も密接に関連しており、流量と同時に温度や圧力の計測も同時に行うケースがよくあります。そこで流量計を使用するうえで覚えておきたい、流量とほかの物理量(温度・圧力)との違い、それぞれの特徴についてまとめてみました。

示量性変数と示強性変数

流量管理では、物理的状態量を表す状態変数「流量」「温度」「圧力」が非常に重要です。これらは、一見同じような状態変数に見えますが、物理化学や熱力学で明確に「示量性変数」と「示強性変数」に区別されます。流量は示量性変数、温度・圧力は示強性変数となり、流量は温度・圧力の計測とは異なる条件が要求されることを覚えておきましょう。

示量性変数とは

示量性変数(extensive variable)とは、「熱平衡関係ならば系を分割すると、それに比例して少なくなる状態量」と定義されています。例えば、100 kgを2つに分割すれば50 kgと50 kgに、100 m3を分割すれは50 m3と50 m3になるようなものが示量変数です。流量は、パイプ内の一部の流速成分を計測するのではなく、パイプ断面全体の流速成分を測定して、体積や質量と積分操作することで求められるので示量性変数となります。

系の一部を測定しても意味が無い
系の一部を測定しても意味が無い

示強性変数とは

示強性変数とは、「熱平衡関係ならば系をどのように分割しても変化しない状態量」と定義されています。例えば、50°Cのお湯を2つの容器にわけても両方50°Cで、25°Cになることはありません。また50°Cのお湯が入った容器であれば、容器内のどこを測定しても50°Cを示します。液体や気体などの温度や圧力は、小さく分割(微分)しても測定値が変わらず、一部を測定することで全体の状態を知ることができるので示強性変数となります。

系の一部でも測定できる
系の一部でも測定できる

測定における相違点

示強性変数となる温度・圧力は、例えばタンク内の液体を測定する場合、どの場所を測定しても基本的には同じ結果を得ることができます。そのため、複数のセンサをタンク内に設置(測定系を増やす)すれば信頼性を高めることができます。またセンサ不良によるトラブルも測定系を増やすことで未然に防ぐことができます。

しかし、示量性変数となる流量は、パイプの断面のように一定範囲の状態変化を測定する必要があるので、複数のセンサを使って信頼性やメンテナンス性を高めるということが難しい傾向にあります。そのため流量計を選定する際は信頼性や耐久性が非常に重要な要素となります。

温度や圧力も重要な要素

少し話が変わりますが、体積流量を計測する場合は、圧力や温度によって比体積が異なるため基準状態に換算して流量で示す必要があります。質量流量の場合は問題ないようにも感じますが、体積流量計で測定した表示単位を質量流量に変換する場合には注意が必要です。このように正確な流量管理には温度や圧力の知識も必要不可欠です。体積流量と質量流量については別ページで詳しくご説明します。

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