電磁式流量計のトラブルと対策
電磁誘導を利用して流量を計測する「電磁式流量計」で発生しやすいトラブルとその対策方法は以下となります。詳しい原理や使用方法は電磁式流量計を確認ください。
電極付着やライニング付着
電磁式流量計で起こりやすいトラブルとして挙げられるのが、電極付着やライニング付着による誤動作です。電極付着によるトラブルは方形波励磁の開発によってほぼ解消されましたが、一般的な液設置型電極では管内全体にわたるライニング付着によって測定不能となるケースがあります。このような場合は、測定管の外側に電極のある容量検出型が有効ですが、管内が付着物で汚れた場合は定期的な洗浄が必要です。
解決事例:絶縁物の付着に強い(FD-Mシリーズ)
従来の電極式は、電極が絶縁性付着物に覆われると流量が検出できませんでした。しかし「完全貫通構造」のFD-Mシリーズは元々電気を通さない通水部の外から検出しているので、絶縁物が付着しても検出可能です。
- 従来の電極タイプ
- 電極が絶縁物で覆われるとエラー
- 完全貫通構造 FD-M
- 測定部付近に絶縁物が付着しても検出可能
- 耐絶縁物比較試験
- 電極部(測定部)に絶縁物を付着させた状態で通水試験を行ないました。
※当社従来品との比較
[従来の電極タイプ] 10μmの厚みの絶縁膜でエラー
[完全貫通構造FD-Mシリーズ] 500μmの厚みの絶縁膜でも検出可能
スラリノイズ
水中に浮遊する異物(スラッジなど)が、検出電極に衝突すると、ノイズ成分となって検出されます。この現象は、一般的に「スラリノイズ」と呼ばれ、数値のばらつきなどの原因となります。
解決事例:スラリノイズをキャンセル(FD-Mシリーズ)
FD-Mシリーズは電極レスタイプのため、電気伝導ではなく、静電容量を介して起電力をキャッチします。そのため、「絶縁皮膜」の影響を受けずに安定して流量検出が可能になっています。また、電極部に直接スラッジが衝突することがないため電極が直接ダメージを負うことがなく、「スラリノイズ」の発生を抑えることができます。
伝導率不均一
電磁式流量計は、管内の流体の伝導率が一様であることを前提にしています。そのため薬液などがしっかりと混合されていないと、伝導率分布にばらつきが発生して誤差が生じます。薬剤の混合をしっかりと行うことで解消できますが、製造ラインによっては難しいケースもあります。そのような場合は、流体ノイズと同様で2周波励磁にすることで問題を解消できます。
解決事例:超音波式なので、伝導率に関係なく測定可能(FD-Hシリーズ)
測定原理に超音波を用いたFD-Hシリーズは、伝導率の有無にかかわらず液体流量計測が可能です。さらに、取り付けはクランプオン。配管を切ることなく設置できます。
気泡混入
スラリーに比べて誤差は少ないですが、気泡混入によって指示変化が発生する場合もあります。気泡混入による誤差は、検出方法にかかわらず発生するので、配管上流部にセパレータ(気液分離器)を設置し、物理的に気泡を除去することで解消できます。