精度保証検出範囲

流量計・流量センサの選定で重要な「精度保証検出範囲」

流量計・流量センサの選定では、「何を測るのか?」という測定対象と、「何のために測るのか?」という測定目的を明確にしたうえで、製品仕様書から必要なスペックを検討します。その際に重要な項目「精度保証検出範囲」についてご説明します。(選定のポイント選定の流れについては、別ページでご説明しています。)

流量計・流量センサの計測範囲

流量計・流量センサは、計測できる流量範囲が製品ごとに細かく設定されています。例えば、キーエンスの電極非接触型 電磁式流量センサFD-Mシリーズであれば以下のように分けられています。あくまで一例ですが、製品ごとに精度保証検出範囲(定格流量範囲)が異なるので、測定対象の流量によって流量計・流量センサを選定する必要があることを覚えておきましょう。

FD-Mシリーズの定格流量範囲・表示可能範囲・設定可能範囲・ゼロカット流量
型式 定格流量範囲 表示可能範囲 設定可能範囲 ゼロカット流量
FD-M5ATP
0.25~5 L/min
0.15~10 L/min
0~10 L/min
0.15 L/min
FD-M5AYP
0.25~5 L/min
0.15~10 L/min
0~10 L/min
0.15 L/min
FD-M10ATP
0.5~10 L/min
0.5~30 L/min
0~30 L/min
0.5 L/min
FD-M10AYP
0.5~10 L/min
0.5~30 L/min
0~30 L/min
0.5 L/min
FD-M50ATP
2.5~50 L/min
2.5~100 L/min
0~100 L/min
2.5 L/min
FD-M50AYP
2.5~50 L/min
2.5~100 L/min
0~100 L/min
2.5 L/min
FD-M100ATP
5~100 L/min
5~200 L/min
0~200 L/min
5 L/min
FD-M100AYP
5~100 L/min
5~200 L/min
0~200 L/min
5 L/min

精度保証検出範囲について

製品仕様書では、性能が保証できる「精度保証検出範囲」を「定格流量範囲」のように記載しています。

定格流量範囲は、「精度」や「不確かさ」などの性能が保証される流量で、一般的な使用を想定した流量範囲です。一方で製品によっては「表示可能流量範囲」「設定可能範囲」が併記されている場合もあります。基本的に定格流量範囲と同様に使用できますが、流量によっては精度・不確かさを保証できないケースもありますので、定格流量範囲を基準に流量計・流量センサを選定しましょう。

そのほか、流量範囲に関する語句として「ゼロカット流量」というものもあります。ゼロカット流量は、それ以下の流量を0 L/minと表示します。このゼロカット流量は任意で変更できる製品もあります。微少流量を計測する必要がある、流量変化が大きいなどの場合は、ゼロカット流量も必ず確認しましょう。

フルスケール(F.S)精度とリードスケール(RD)精度

一般的に流量精度は、「フルスケール(F.S.)精度」と「リードスケール(RDまたはRdg)精度」のいずれかが使用されます。

フルスケール(F.S.)精度は、測定最大値を決め、その最大値に対して何%の誤差が発生するのかを「±1%F.S.」「±2%F.S」と表記します。例えば、100 m3/hまで測定可能な流量計で精度が「±1%F.S.」ならば、以下のように計算され、流量が小さくなるほど相対的に誤差が大きくなリます。

実際の瞬間流量が100 m3/h(フルスケールの100%)
100 m3/h × 0.01 = 1.0 m3/h (誤差率1%)
50 m3/h × 0.01 = 1.0 m3/h (誤差率2%)

一方、リードスケール(RDまたはRdg)精度は、どの流量域でも指示(表示)値に対して何%の誤差率という精度(不確かさ)で、「±1%RD」「±1%Rdg」のように表記されます。精度が保証されている流量範囲であれば常に同じ誤差率なので、微少流量や流量変化の大きい計測でも安定検出が可能です。

流量計測の精度や不確かさについて詳しくは、用語集でも説明しています。

実用流量を踏まえてカタログを比較

流量計・流量センサを選定する際には、実際に利用する流量を明確にしたうえで、精度保証検出範囲および必要な精度(不確かさ)を考慮して製品仕様書から必要なスペックを判断しましょう。

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