電磁式流量計

電磁式流量計の原理と特徴

流量計・流量センサには、さまざまな種類があります。ここでは、電磁式流量計の原理や特徴についてまとめました。

原理

電磁式流量計は、その名も示す通りファラデーの電磁誘導を利用して流量を検出します。

電磁式流量計の内部には、磁界を発生する電磁コイルと、起電力を捉える電極があります。
このため、電磁式流量計の通水管内部には何も無いように見えますが、流量を測定できるのです。

ファラデーの電磁誘導の法則では、導電性液体が磁場の中を移動すると、管内径×磁束密度×平均流速に比例した起電力(電圧)が発生します。
つまり、磁束帯の中を動く液体の『流速』を電気に変換していることになります。

電磁流量計検出器

流量が変化すると、電極で捉える起電力(電圧)は以下の様に変化します。

水の移動エネルギーが大きく異なるため発生する電圧も大きくなります

電磁式流量計の特徴

上記の原理を背景として、一般的には以下のような特徴が挙げられます。

長所
  • 液体の温度・圧力・密度・粘度の影響を受けない
  • 混入物(固体・気泡)を含む液体の検出が可能
  • 圧力損失がない
  • 可動部が無い(メンテナンス性良)
短所
  • 電極付着やライニング付着による誤動作が起こりやすい
  • スラリノイズの検出
  • 気体や導電率のない液体は検出できない
  • 直管部が必要

導電率について

電磁式流量計を使用するにあたり、重要な点が1つあります。電磁式流量計は電磁誘導の法則を応用している為、流量検出できる液体は『導電性液体』のみとなっています。『導電性液体』かどうかは『導電率』があるかどうかで 決まります。この『導電率』というものはどういうものでしょうか?

導電率とは、一般的には「電気の流れやすさ」を示す値で、電気の流れにくさを示す「抵抗率」とは反対の数値です。単位は『S/cm』(ジーメンスパーセンチ)が使用されます。1 cm2の電極間距離が1 cmの時、どれぐらい電気が流れやすいかを数値化したものです。
実際の計測導電率としては、上水道 100~200 μS/cm、 ミネラルウォーター 100~500 μS/cm以上、 純水0.1 μS/cm以下などが目安になります。

導電率の一般的な確認方法としては、導電率計(¥5,000 ~¥100,000)を利用して計測します。
導電率を求めるには、電極の面積や電極間の距離などの条件をきっちりと行なう必要があり、導電率計を利用せずに求めるのはかなり困難と言えます。

なぜ水は電気を通すのでしょうか?

超純水と呼ばれる水は、導電率がなく電磁式流量計では検出できません。これは液中にH2Oしか存在しないからです。H2Oは分子的に安定した存在で、電気を通しません。
ではなぜ水は電気を流すのでしょうか?
秘密は水の中に不純物があるかどうかで決まります。

なぜ水は電気を通すのでしょうか?

水の中にはH2O(水分子)の他に、Ca2+(カルシウムイオン)やMg2+(マグネシウムイオン)、などのイオンが存在しています。(硬水や軟水という言葉はイオン量で決まります。)
このイオンが水中で電気を通すため、水道水や地下水などのいわゆる『水』は電気を通す性質を持つのです。また、純水はH2Oだけなので電気を通すことができません。

応急テクニック

とにかく、導電率があるか、ないかを確認したいというときは、身近にあるテスタを利用する方法があります。
抵抗値を計測するモードにして、両方のプローブを液中に入れてみてください。テスタの針が少しでもゼロ側に振れれば、電気が流れていることを示します。※
逆に、針が∞から全く動かない場合は、導電率はありません。
電磁式流量計での検出は、不可能と判断できます。

念のため導電率計での確認が必要です。

応急テクニック

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