流量計別のトラブルと対策

流量計・流量センサ別の特徴を理解し、トラブルに対処する

選定のポイントで各種流量計・流量センサの特徴や構造、流量管理における課題や選定方法をご紹介しましたが、こちらでは流量計別のトラブルとその対策方法についてまとめました。

電磁式流量計

電磁式流量計

電磁誘導を利用して流量を計測する「電磁式流量計」で発生しやすいトラブルとその対策方法は以下となります。詳しい原理や使用方法は電磁式流量計を確認ください。

電極付着やライニング付着

電磁式流量計で起こりやすいトラブルとして挙げられるのが、電極付着やライニング付着による誤動作です。電極付着によるトラブルは方形波励磁の開発によってほぼ解消されましたが、一般的な液設置型電極では管内全体にわたるライニング付着によって測定不能となるケースがあります。このような場合は、測定管の外側に電極のある容量検出型が有効でが、管内の付着物が激しい場合は定期的な洗浄が必要です。

流体ノイズ

以前の電磁式流量計は、磁性体を含む流体の測定で誤差が出ることもありましたが、2周波励磁方式の開発によって流量ノイズの問題もほぼ解消されています。また、タングステンカーバイトなど耐ノイズ性に優れた電極材質の活用も、スラリーなどの流量管理では有効な手段です。

気泡混入

スラリーに比べて誤差は少ないですが、気泡混入によって指示変化が発生する場合もあります。気泡混入による誤差は、検出方法に関わらず発生するので、配管上流部にセパレータ(気液分離器)を設置し、物理的に気泡を除去することで解消できます。

伝導率不均一

電磁式流量計は、管内の流体の伝導率が一様であることを前提にしています。そのため薬液などがしっかりと混合されていないと、伝導率分布にばらつきが発生して誤差が生じます。薬剤の混合をしっかりと行うことで解消できますが、製造ラインによっては難しいケースもあります。そのような場合は、流体ノイズと同様で2周波励磁にすることで問題を解消できます。

カルマン渦式流量計

カルマン渦式構造図
カルマン渦式流量計

渦流量計に分類される「カルマン渦式流量計」で発生しやすいトラブルとその対策方法は以下となります。詳しい原理や使用方法はカルマン渦式流量計を確認ください。

振動や音響ノイズ

カルマン渦式流量計は、渦周波数をカウントする振動センサのため、外部振動に弱い特性があります。さまざまな技術開発が進んでいますが振動ノイズの除去には限界があり、振動ノイズに強い超音波を使ったセンサも開発されていますが気泡に弱く、カルマン渦式流量計で振動と気泡の両方に対応することは困難です。流体が流れるときに発生する振動、接続されているポンプなどの振動をゼロにすることも難しいため、高精度な検出が必要であれば電磁式やコリオリ式などを選定しましょう。詳しくは選定の流れをご確認ください。

気体・蒸気の下限流速

カルマン渦流量計は、通常は前後配管と同じ口径のものを選択しますが、気体・蒸気計測時に下限流量を下回ることもあり、その場合は口径を絞るためにレジューサタイプを利用します。しかし、レジューサタイプを使用すると圧力損失が生じ、部品点数が増えることでコスト上昇にもつながります。この場合はコストバランスを考え、別方式の流量計を選定する方が良いケースもあります。

羽根車式流量計

羽根車式構造図
羽根車式流量計

水車のような羽根車を回転させる「羽根車式流量計(タービン流量計)」で発生しやすいトラブルとその対策方法は以下となります。詳しい原理や使用方法は羽根車式流量計を確認ください。

可動部の詰まりや破損

羽根車式流量計は、構造上「スケール」「スラッジ」などが詰まりやすく、可動部があるので磨耗や破損のリスクがあります。このようなトラブルを防ぐには、定期的な清掃やメンテナンスが必要不可欠です。

圧力損失

管内に可動部があるので、小流量の場合は圧力損失が発生します。圧力損失は計算から求めることもできますが、ポンプに負担をかける心配もあります。電磁式のような貫通構造の流量計を用いることで圧力損失をなくすことができます。

浮き子式流量計

浮き子式流量計

テーパ管の中にフロートを浮かせた「浮き子式流量計」で発生しやすいトラブルとその対策方法は以下となります。詳しい原理や使用方法は浮き子式流量計を確認ください。

固形物を含んだ流体

浮き子式流量計は、スラリーなど固形物を含んだ流体、高粘度流体には適しません。スラリーや高粘度に対応した製品もありますが、20 mPa・s程度の粘度が限度でしょう。それ以上の粘度の場合は、電磁式や超音波式などの流量計を選択することになります。同様に付着性流体にも弱い傾向にあり、耐付着性能にも限界があります。詳しくは選定の流れをご確認ください。

熱衝撃

テーパ管や外筒直管がガラス製の場合、通常は熱衝撃の許容温度差が定められています。熱衝撃に懸念がある場合は、関節指示で外筒が金属製のものを選択することで対策できます。

脈動や振動

脈動が発生するとフロートが振動してしまい誤差が生じます。対処法としては、エアチャンバやアキュームレータを設けて脈動を抑えることが有効です。詳しくは、トラブルの要因と対策をご覧ください。

熱式流量計

熱式流量計

温度変化を検出して流量を計測する「熱式流量計」で発生しやすいトラブルとその対策方法は以下となります。詳しい原理や使用方法は熱式流量計を確認ください。

測定対象と汚れ

熱流量計は、気体と一部の微小液体に測定対象が限られます。一般的に使用される気体でよくあるトラブルとして汚れに弱いことが挙げられます。熱式流量計は、クリーンな気体での使用を前提にしており、汚れに弱いという特徴があります。したがって湿ったガスやオイルミストが含まれる気体には使用できません。細かいチリやホコリにも敏感なため、フィルタを使用してもすぐに目詰まりを起こしてしまいます。そのため、少しでもホコリやチリなどが発生するプロセスでは、ほかの流量計を使用するしか対策はありません。

ダイヤフラム式流量計

ダイヤフラム式流量計

オリフィス前後の圧力差(差圧)から流量を検出する「ダイヤフラム式流量計(差圧式流量計)」で発生しやすいトラブルとその対策方法は以下となります。詳しい原理や使用方法はダイヤフラム式流量計(差圧式流量計)を確認ください。

圧力管の詰まり

ダイヤフラム式(差圧式)流量計は、オリフィスがあるため詰まりやすい傾向にあり、固形物を含む液体に適応せず、使用するのであれば詰まりが発生しないように定期的なメンテナンスが必要不可欠です。また、オリフィスによって絞りがあるため、圧力損失とその原因も大きくなります。

直管長不足

ダイヤフラム式(差圧式)流量計は、上・下流共に一定以上の直管長を必要とします。どうしても規定の直管長が取れない場合は、上流部に整流器を挿入することで対策できます。

脈動

原則として脈動には適合しません。対処法としては、エアチャンバやアキュームレータを設けて脈動を抑えることが有効です。詳しくは、トラブルの要因と対策をご覧ください。

超音波式流量計

超音波式流量計

超音波の伝搬時間から流量を換算する「超音波式流量計」で発生しやすいトラブルとその対策方法は以下となります。詳しい原理や使用方法は超音波式流量計を確認ください。

気泡

超音波式流量計でもっとも多いトラブルが気泡混入による不良です。流速が高くなるとキャビテーションが生じやすく、気泡が発生すると送受信ができずに流量計測ができません。対策は、気泡を除去する気液分離器(セパレータ)の設置、気泡が発生しやすい場所から離して設置のいずれかとなります。設置場所が見つからない場合は、ドップラー式超音波流量計または電磁流量計の導入が検討されます。

コリオリ式流量計

コリオリ式流量計

高精度な質量流量計測ができる「コリオリ式流量計」で発生しやすいトラブルとその対策方法は以下となります。詳しい原理や使用方法はコリオリ式流量計を確認ください。

振動

一般的に1本管(曲管)が採用されているコリオリ流量計は、接続されているポンプや工作機器などから発生する外部振動に弱い性質があります。対策としては、外部振動の影響を受けにくい場所に設置することです。

気泡

コリオリ式流量計は、スリラーや気泡を含んだ流体にも対応していますが、気泡の含有量が多くなると流量計測できない場合があります。対策としては、流量計の上流に気液分離器(セパレータ)を設置します。

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