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接触式変位センサ / LVDT

高耐久性と耐油性を実現し、水や油が飛散する環境でも安心して使用できる接触式変位センサ。検出方法にはLVDT(差動トランス)方式と独自で開発したスケールショットシステムIIがあり、豊富なヘッドバリエーションで、多様なアプリケーションへの対応を可能にしています。

接触式変位センサ / LVDT

商品ラインナップ

生産終了品

  • 高精度接触式デジタルセンサ「GT2シリーズ」は、接触式の変位センサは壊れやすいという問題を解決するため、本体の構造を根本的に見直しました。まず、中継コネクタ、ケーブル部も含めて水・油が飛散している環境でも安定した測定を実現できます。また、スピンドル部を軽量化することで、摩擦による消耗を極限まで削減し、耐久性が飛躍的に向上しています。 ヘッドバリエーションは、ペンシルタイプやエアタイプ、低速低圧タイプなど幅広くご用意。検出方式にはLVDT(差動トランス)方式とスケールショットシステムIIがあり、多様なアプリケーションへの対応を可能にしています。さらに、各社PLCやPCとの通信を可能にする通信ユニットを豊富にラインナップしています。

    IP67G取得の耐油性能だから、油の多い環境で使用可能

    中継コネクタ、ケーブル部も含めてIP67G、NEMA Type13をクリア。水・油が飛散している環境でも安定した測定を実現できます。
    接触式の変位センサは壊れやすいという問題を解決するため、本体の構造を1から見直しました。スピンドル部を軽量化することで、摩擦による消耗を極限まで削減し、耐久性が飛躍的に向上しています。
    保全担当者の交換する工数や設備の停止時間の削減に寄与する1台です。

    詳しくは、カタログ(PDF)をダウンロードしてご覧ください。
    切削装置のフィードバック制御
    高剛性ボールベアリングで長寿命を実現

    29種類の豊富なヘッドバリエーションから選べる

    GT2シリーズは、ペンシルタイプやエアタイプ、低測定圧タイプに至るまで幅広いヘッドのバリエーションをご用意しています。
    ご要望の測定ポイントに合わせて最適なヘッドをご提案可能です。

    詳しくは、カタログ(PDF)をダウンロードしてご覧ください。
    GT2 シリーズ - 高精度接触式デジタルセンサ
  • 汎用接触式デジタルセンサ「GTシリーズ」は、既存設備への簡単な取り付けと、設置後の素早いラインの立ち上げを可能にする簡単な設定。そして、スピンドルの引っ掛かりやケーブルの断線などを自己診断する機能とわかりやすい表示といった安心性を突き詰めた接触式センサです。アンプの取付治具は、レールに取り付けるDINタイプとパネルに取り付けるパネルタイプを用意。設置状況に応じたタイプが選べるので省配線に貢献します。設定は、少ない操作で済ませることができるさまざまな機能を搭載。設置後すぐに使うことができます。そして、測定の判定状況やエラーは、見やすい表示灯で一目瞭然です。

    GT シリーズ - 汎用接触式デジタルセンサ
  • 高精度接触式変位センサ「AT2シリーズ」は、接触式の課題である測定圧の問題を解決するために、さまざまなバリエーションを揃えた接触式変位センサです。スピンドルには、柔らかなワークも変形させない超微圧タイプとエアリフタによる逃げ機構付きタイプをラインナップ。センサの動作状態を一目で確認できるレベルモニタLEDを装備しています。現場で使いやすい機能と豊富なヘッドバリエーションを備えたセンサです。

    AT2 シリーズ - 高精度接触式変位センサ

生産終了品

LVDT(差動トランス)とは、機械的な直線運動を変位量として電気信号に変換する原理です。この方式の接触式変位センサは、対象物の形状変化を電気信号に変換することで読み取ります。
LVDT(差動トランス)方式の接触式変位センサの内部には、中心にコアがありコアを包むようにコイルがあります。コアの先端には接触子が取り付けられており、コアと接触子で構成されたスピンドルをバネでワークに押し付けます。このバネの力で、スピンドルはワークの形状変化に合わせて上下にスライドすることができます。LVDT(差動トランス)方式の接触式変位センサのコイルに電流を流すと磁界が発生します。その中のコアが動くと、動いた量に応じてコイルのインピーダンスが変化し、出力信号レベルが変化します。コアが動いた量はワークの形状変化を示すため、出力信号レベルの変化を検出することで、変位量を測定することができます。

A:コイル B:バネ C:コア D:リニアボールベアリング E:ダストブーツ F:接触子
A:コイル B:バネ C:コア D:リニアボールベアリング E:ダストブーツ F:接触子

LVDTのしくみ

LVDTとは、Linear Variable Differential Transformerの略称で、日本語では線形可変差動変圧器と言われ、電気機械トランスデューサの一種です。電気機械トランスデューサとは、あるエネルギーを別の信号に変換させる電子機器・電子素子のことで、LVDTでは本体に機械的に接続した物体の直線運動を対応する電気信号に変換します。
LVDTの内部構造は、2つで一対の2次巻線と2次巻線の中央に置いた1次巻線、1次巻線と2次巻線でできた円筒中に設けたコアでできています。これらは湿気を防ぐため、耐熱性が高い素材を円筒形に巻いて封止し、透磁率の高い磁気シールドで全体が覆われています。
このうち1次巻線を「芯線」といいます。芯線(L3)に交流電源を通電すると磁束が発生し、2次巻線に誘導電圧が発生します。1次巻線と2次巻線でできた円筒中のコアが2次巻線のL1とL2の中間にある場合、それぞれに誘導される電圧(V1とV2)の電圧は等しくなるため、差動電圧出力はゼロになります。コアが2次巻線のL1またはL2に近い場合は近い方の磁束が増加し、差動電圧出力が発生します。
このように、LVDTはコアの位置で変化する差動電圧を出力する電気機械トランスデューサの機能を活かし、機械的な基準(ゼロ)からの直線的な変位(位置)を、位相情報(方向)と振幅情報(距離)を含む電気信号に変換することができます。

A:コア
A:コア

LVDTの利用例

LVDTの可動部品とトランスの間は非接触であり、電子回路を内蔵せずに動作することができます。このため、LVDTは変位センサー以外にも、環境が厳しい製造現場や航空・宇宙用のアプリケーションなど、過酷な環境で長寿命と高信頼性が要求される用途で幅広く用いられています。

無人自立走行車(UAV):
UAVは、左右回転や前後移動、上下移動などをアクチュエータで制御します。高精度・高信頼性・軽量という特長を持つLVDTは、そのアクチュエータに使われており、災害現場や宇宙空間など、人が立ち入れないような場所で使われるUAVに多く使用されています。

航空機・宇宙船:
LVDTは、フライトコントロールやエンジン、前輪操向およびパイロットコントロールなど、ポジションモニタリングに使われています。無限分解能リニアポジションを可能であり、かつ厳しい環境下での使用に耐えるように設計されているため、次世代航空機での使用には、最適と期待されています。

サーボバルブ:
LVDTで制御するサーボバルブは、スプールを中開度から全開までさまざまな開度に対応できる応答性や、長時間使っても流体の滑らかな動きを実現する安定性、高い分解能で機械設計者や油圧・空気圧系統の設計者によりその信頼性と精度で高く評価されています。

接触式変位センサ / LVDTのメリット1:「値飛び」「原点忘れ」に強い

接触式変位センサ/LVDTは、コンパクトなセンサヘッドで「値飛び」「原点忘れ」に強いという特長があります。かつては温度変化やアンプとヘッドの組み合わせによる誤差などがありましたが、近年ではこれらの課題は解決されています。

高密度コイルの採用によりヘッドの小型化が可能です。さらに、キーパーツとなるコイル、コア、発信・受信回路を最適に制御する回路を中継アンプに搭載することができます。これにより各パーツの状態に応じて1対1でチューニングを行い、さらに温度変化に対しても補正します。これらの機能と差動トランス原理のために「値飛び」や「原点忘れ」がない測定が可能です。従来のトランス方式では、アンプとヘッドのマッチングによるバラつきや温度変化によるアナログ波形の位相ズレにより、精度に影響を及ぼすことがありました。しかし、近年ではこのように、それらの欠点を克服した接触式変位センサ/LVDTが使用されています。

接触式変位センサ / LVDTのメリット2:耐水の保護構造規格をクリアした高い堅牢性

厳しい環境に強い保護構造になっています。各部が完全にシーリングされているため水・粉塵の中でも使えます。これにより、製造装置周辺のタフな環境の中でも正確な測定が可能です。

一般に接触式変位センサ/LVDTは、中継コネクタ部、ケーブル部を含めて耐水の保護構造規格をクリアしています。したがって、水が飛散するような環境でも設置場所を選びません。筐体は一体成型によるシームレスで完全密閉構造にし、高い堅牢性を備えています。また、長期間にわたり厳しい環境の中でも使用できるよう、センサヘッドの封止材には接着剤ではなく経年劣化に強いパッキンを、さらにコネクタ部には高耐水性のケーブルが採用しています。これらの構造により、長期間にわたり水や粉塵の中でも正確に測定することができます。

接触式変位センサ / LVDTのメリット3:主要ネットワークに対応し各社のPLC・PCと通信可能

接触式変位センサ/LVDTは、主要フィールドネットワークに対応しており、パソコンやPLCに接続できます。多くのセンサを1度に設定したり、多くのセンサが測定した結果を収集することができます。

接触式変位センサ/LVDTは、EtherNet/IP®、DeviceNet®をはじめ、CC-Link・EtherCATなど主要ネットワークに接続できるため、各社のPLCやPCとの通信が可能です。トレーサビリティやIoT化による数値記録のニーズにも対応できます。また、親機と子機で連結された最大15台のデータを一括通信。タッチパネルやPC・PLCから設定値の書き換えができ、大幅に工数を削減できます。配線も、親機の電源ケーブルと通信ケーブルのみの省配線を実現。アンプからの配線も省配線化が可能なため、配線工数も大幅に削減可能です。

接触式変位センサ / LVDTの業界別導入事例

ギアの組み付け精度確認・クリアランス測定

ギヤには大きな力がかかったり、高速で回転するため高い組み付け精度が必要です。また、ギヤと周辺部品のクリアランス(隙間)も厳重に管理しなければならず、組み付け後の検査は欠かせません。しかし、ギヤ周辺は部品密度が高く、そのすべてを同時に測定するにはセンサを高密度で配置する必要があります。また、組み付け工程ではオイルや薬剤が多く使用されているため、設置するセンサはその飛散による付着に耐える保護性能が求められます。
接触式変位センサ/LVDTは、ギヤの組み付け精度やクリアランをミクロン単位の高精度で測定可能。スリムなペンシルタイプの筐体で狭いスペースに複数台の設置を行えるだけでなく、コネクタやケーブル部も含めて優れた保護性能で水・油が飛散するような環境でも腐食や故障の心配はありません。また、摺動部には高剛性部品を採用することで、メンテナンス費用と交換工数を大幅に削減できます。

基板の反り・実装部品の高さ測定

実装基板上の部品は、基板の反りなどで部品が浮き上がったり、部品自体が反ったりすることがあります。基板や部品の反りは、実装時の不良以外に、経年劣化によっても発生します。このような状態は接触不良の原因になるため、基板の反りとともに実装部品の高さも測定する必要があります。
接触式変位センサ/LVDTは、チップの実装高さ測定やコンデンサの実装姿勢確認、基板の平坦度測定を行うことができます。低測定力タイプなら、負荷をかけずに測定可能。0.1Nの測定力で、製品への負荷を軽減します。これにより、表面状態の影響を受けずに、ローコストで高精度測定ができます。

狭小部の測定

小さな部品や対象物が密集している場合、他のセンサでは設置スペースがなく測定を複数工程に分けるなど設備の工夫が必要です。それでも測定できないような場合は、検査工程を見直すことになります。
接触式変位センサ/LVDTは、コンパクトな設計なので、複数のセンサを密集して設置することができます。また、円筒形の部品の内径はセンサを内側に設置するなど、自由な位置からの測定が可能です。多くのポイントを1度に測定することで、データを1度に収集できるため、高い精度で測定データを解析することができます。

Q.
耐久性の高い接触式センサはありませんか?
A.
一般に、接触式センサは摺動箇所の摩耗や破損による故障が多く、信頼性が劣るといわれています。したがって、測定頻度が高かったり摺動回数が多い測定の場合、特に求められるのは耐久性です。
GT2シリーズは、スピンドルに高剛性リニアボールベアリングを採用。これにより、摺動回数2億回を実現しました。また、スピンドル部(シャフトとベアリング)をALLステンレスにすることで軽量化を達成。スピンドル内部の摺動による摩耗を極限まで削減し、耐久性を飛躍的に向上させました。また、中継コネクタ-アンプユニット間ケーブルは連続屈曲に強いフリーカット耐屈曲ケーブルを採用。装置が駆動するような環境でも設置可能となります。
Q.
油が飛散する現場で使えるセンサはありませんか?
A.
切削や研磨の現場では、摩擦や摩擦による温度上昇を抑えるための油が飛散しています。一般のセンサにとって、油は測定の妨げになるばかりではなく故障の原因になります。
GT2シリーズは、センサヘッド部だけでなく中継コネクタ部もIP67G/NEMA Type13をクリア。センサケーブルには耐油性がきわめて高いポリウレタンを採用することで、ケーブルの腐食低減を実現しました。センサヘッドボディは一体成型によるシームレス構造を実現。完全密閉構造により水・油の浸入リスクを低減しました。
Q.
フルスケールでの精度と値とびや原点忘れしないセンサはありませんか?
A.
LVDT(差動トランス)方式の接触式センサには、「精度がスピンドルの端付近では落ちる」「コイルを利用した原理のため、中心付近では磁界が均一にかかるが、端付近ほどバランスが崩れる傾向がある」などの欠点があります。また、スケール方式(パルスカウント方式)は、「スピンドルが振動などで急激に動いた場合、光電センサの応答が間に合わず、値飛びする」という欠点があります。
GT2シリーズのスケールショットシステムIIは、この2方式の欠点を克服した検出方式です。スケールショットシステムIIは、位置によって異なる複雑なパターンのスリットを組み込んだ「絶対値ガラススケール」をCMOSセンサで高速撮影することでスピンドルの位置を特定します。これにより、絶対位置がわかると同時に位置情報を検出しているので、ゼロ点調整不要で値飛びもしません。また、スケール式のため、測定範囲全域で高精度で計測できます。

公称線形範囲

公称線形範囲とは、プラス(+)またはマイナス(-)表示されているフルスケール変位のことです。公称線形範囲は、LVDTの周波数によって異なります。特定の周波数用のコアを使用したLVDTの場合、実際の線形範囲は常に公称値と等しいか公称値を上回ります。使用上最適化された線形性が必須ではない場合は、指定された公称線形範囲を実際の動作範囲が超えることがあります。公称線形範囲は高インピーダンス負荷に対して指定されており、低負荷のインピーダンスは線形性と公称線形範囲に悪影響を与えます。

線形性(直線性)

線形性(直線性)とは、正しい距離の値と測定値の比のことです。測定値を縦軸、距離を横軸にとったグラフでこの比を表すと、正しい距離の値はゼロから右上に向かって直線を描き、測定値は正しい距離の直線上を上下する線になります。このとき、正しい距離の値である直線と測定値の最大のズレを「線形性誤差」といいます。LVDTの線形性誤差の解釈は、LVDTの用途によって異なりますが、センサーでは非線形性は最も大きい誤差とされるため、線形性誤差は精度の指標としても利用されています。

再現性

再現性とは、同じ入力を繰り返したときに、同じ出力を再現するセンサーの能力のことです。優れた測定器は優れた再現性を備えており、LVDTの場合、コアまたはコイルが取り付けられた構成部品と構造といった機械的要因の影響を受けます。再現性と分解能は、どちらも測定誤差を表しており、フルスケール出力の割り合い(%)で表示します。

シール型LVDT

シール型LVDTとは、完全に密閉されたLVDTのことです。シール型LVDTは、一般に3000lbf/in2程度の動作圧力に耐えることができ、コアも200℃を超える高温に耐えることができます。

フルスケール出力(FSO)

フルスケール出力とは、LVDT出力の最大変動幅のことです。一般に、AC-LVDTの比較には入力に対する出力の比である感度が使われます。DC駆動のLVDT(DC-LVDT)の場合、感度に相当する特性は、コア変位1インチあたりのDC V出力として表します。

分解能

LVDTにおいて分解能とは、LVDT出力の最小のコア位置の変化が分解能になります。LVDTの分解能は、磁気結合の原則に基づいた動作を基本としているため無限です。

ベント型LVDT

ベント型LVDTとは、高圧・高温・衝撃・振動の影響を同時に受けても耐えることができるLVDTです。ベント型LVDTは、温度が約-55°C~+200°C、動作圧力が約35000lbf/in2の中でも動作可能です。ただし、圧力を放出するための孔が開いている場合、筐体内部のコイルが露出するため、液体内で使用するときは、液体が電気的に非誘導型であり腐食性でないことが必要です。

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