工業製品を対象とした「校正(Calibration)」は、実機の値と基準値との差異を把握する一連の作業を意味します。
測定器で得られた値が期待する値でなくなると、サポート窓口などに連絡して校正を依頼します。
校正の結果、測定器の調整が必要であると判断された場合には、メーカーにて最適な状態への調整がおこなわれます。これにより、製造工程や検査工程において、安定した品質を維持することができるようになります。
測定器は一定期間の使用を続けると、測定値に変化が生じることは一般的に起こり得ることであり、定期的な校正と調整は必須であると言えるでしょう。
ここでは、校正証明書とトレーサビリティ体系図についてご説明します。
測定器の校正結果を示すものに「校正証明書」があります。測定器の定期メンテナンスと合わせて校正を依頼した際、返却時に添付される書類です。校正を担当したメーカーや事業者が、明確に「校正」を行ったことを証明する判断基準にもなります。
これに類するものとして「試験証明書」「検査報告書」などがあります。
メーカーによって呼称が異なることもありますが、用語は以下のように定義されています。
校正 (Calibration) |
計器又は測定系の示す値、若しくは実量器又は標準物質の表す値と、標準によって実現される値との間の関係を確定する一連の作業。 備考:校正には、計器を調整して誤差を修正することは含まない。 (JIS Z 8103) |
---|---|
試験 (testing) |
手順に従った、適合性評価の対象の一つ以上の特性の確定。 備考:試験の代表的な適用対象は、材料、製品又はプロセスである。 (JIS Q 17000) |
検査 (inspection) |
製品設計、製品、プロセス又は据付けの調査、及びその特性要求事項に対する適合性の確定、又は一般要求事項に対する適合性の専門的判断に基づく確定。 備考:プロセスの検査は、人、施設、技術的手法及び方法の検査を含むことがある。 (JIS Q 17000) |