CHAPTER 1測定機の基礎知識
公差とは?
測定値と真実の値(真値)との間にはどうしても一定の誤差が生じます。ここで重要なことは、許容される誤差の範囲を明らかにすることです。測定の分野では、許容誤差の最大寸法と最小寸法の差を「公差」もしくは「許し代(ゆるししろ)」と呼んでいます。また、工業規格などの法律が認める誤差の範囲についても公差と呼ぶことがあります。
実際の図面において、「60(+0.045 -0.000)」と記載されている場合、基準寸法は60であり、「+0.045 -0.000」は上限および下限の公差を意味します。この場合、上限値は60.045、下限値は60.000となります。
JISにて規定されている許容公差は「普通公差」といいます。加工の精度によって、精級(f)、中級(m)、粗級(c)、極粗級(v)と許容差が定められています。企業によっては普通公差を独自に規定しているところがあります。
実務において公差を設ける理由の一つは、加工コストの兼ね合いです。精度を高めるということは、その分、加工コストがかかるということになります。肝心なことは必要とする機能、品質を実現することであり、それに合わせて公差を設定する必要があります。
公差等級 | 基準寸法の区分 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
記号 |
0.5 |
3 |
6 |
30 |
120 |
400 |
1000 |
2000 |
|
f | 精級 | ±0.05 | ±0.05 | ±0.1 | ±0.15 | ±0.2 | ±0.3 | ±0.5 | - |
m | 中級 | ±0.1 | ±0.1 | ±0.2 | ±0.3 | ±0.5 | ±0.8 | ±1.2 | ±2 |
c | 粗級 | ±0.2 | ±0.3 | ±0.5 | ±0.8 | ±1.2 | ±2 | ±3 | ±4 |
v | 極粗級 | - | ±0.5 | ±1 | ±1.5 | ±2.5 | ±4 | ±6 | ±6 |