CHAPTER 3測定機の種類と特徴

レーザートラッカー

レーザートラッカーとは

レーザートラッカーは測定対象物に接触させたターゲット(リフレクターなどが用いられる)にレーザ光を照射し、ターゲットから反射したレーザ光が発光源に戻ることで、ターゲットの三次元位置を決定する光学式測定機です。レーザの発光源はターゲットからの反射光を追いながら発光部・受光部が動くことから、「トラッカー」(追従するもの)という名前がついています。読み取られた三次元座標は一般的に演算ソフトに転送され、寸法値・角度・幾何公差などが算出されます。

レーザートラッカーの特徴

レーザートラッカーは一般的なCMMと比較し、大きな測定対象物を測定することができるのが特徴です。一般的な門型やアーム型のCMMが大きくても数mの測定範囲なのに対し、レーザートラッカーは10mを超える測定範囲を持つのが一般的です。
また、基準を測定しながら本体を移動させることによって、遮光する物体がある場合や、より大きな測定をした場合でも測定が可能です。
測定される場面は飛行機のような大きな測定対象物や大型設備の部品、大型の加工設備で加工された切削品など、巨大な対象物を測定したい場面で活躍します。

レーザートラッカーの構成

A
制御用PC
B
投影部・受光部
C
三脚
D
リフレクタ

レーザートラッカーを構成する部品は一般的に、4つに大別されます。
投光部・受光部が一体になっているカメラ本体部、それを支える三脚、測定対象物に接触させるリフレクタ、そして演算ソフトの入っている制御用PCです。

レーザートラッカーの原理

レーザートラッカーの測定原理は、三角測距法などによる発光部からリフレクタまでの距離情報と、エンコーダーなどを用いて測定されるレーザの発光角度情報の組み合わせにより、リフレクター(球形状)の中心座標を求める原理が一般的です。角度方向は水平方向及び垂直方向の2方向を測定します。
カメラ本体はレーザ光に対して追従し、水平方向及び垂直方向に回転することで常にレーザ光が受光部に当たるように動作します。

リフレクタの構造は中が鏡面になっており、どの角度でレーザ光を受けても、常に中心から光を反射する仕組みになっています。リフレクタ自体が真球の形をしており、常に中心からレーザ光を反射することで、リフレクタ自身の球中心座標が求められるようになっています。

レーザートラッカーの利点

レーザートラッカーの利点は大きな対象物を高精度に三次元測定できる点にあります。門型やアーム型の三次元測定機では測定範囲に限界があり、ノギスなどのハンドツールや巻き尺を使う場合には正確な測定が難しく、三次元的な測定をすることが困難です。
また、製品の3DCADデータを読み込ませ、実際の部品との差分を測定できることもレーザートラッカーの利点と言えます。

キーエンスが考えた”レーザートラッカー”

キーエンスは光学技術を活かし、大型の対象物を簡単に測定できる「ワイドエリア三次元測定機」を開発しました。プローブの手元にタッチパネルを実装したことにより、測定箇所とパソコンの間を行き来することなく、測定が完了します。
また、レーザートラッカーは通常、接触して「寸法」を測定するものですが、キーエンスはレーザスキャンで「形状」まで測定できるプローブも実装しました。これによって、大型対象物の「寸法」も「形状」も1人で測れる、独自の測定機を実現しました。

ワイドエリア三次元測定機
WM-6000

レーザートラッカーの寸法測定事例

座標

穴のXYZ座標

キーエンスWMシリーズで測定

寸法の測定

2つの直線間の距離・2つの穴間の距離

キーエンスWMシリーズで測定

仮想線/仮想点

交線から穴までの距離・交点から穴までの距離

キーエンスWMシリーズで測定

幾何公差

平面の平面度・穴の真円度・2本の直線の平行度・2本の直線の直角度

キーエンスWMシリーズで測定

キーエンスのWMシリーズとは

キーエンスのWMシリーズは使い勝手・コスト・可搬性において一般的なレーザートラッカーの弱点を克服した完全に新しい測定機器です。
手元で操作できるタッチパネルを備えた、扱いやすいハンディプローブを用いて測定します。また、どこにでも簡単に持ち運びができ、2分で測定が開始できます。測定に慣れていない方でもすぐに扱うことのできる測定機です。

測定器ナビ トップへ戻る