CHAPTER 3測定機の種類と特徴

アーム型三次元測定機

アーム型三次元測定機とは

アーム型三次元測定機とは三次元測定機の一種で、複数の関節を持ったアームを用いて測定する測定機です。
門型の三次元測定機と比較すると一般的に精度は劣りますが設置の自由度が比較的高く、製造現場での三次元測定に用いられることが多い機器です。元々は接触させて測る接触型の三次元測定機でしたが、最近では接触・非接触どちらでも測定ができるタイプが増えています。

アーム型三次元測定機の測定原理

それぞれの関節にはロータリーエンコーダが搭載されており、このエンコーダから関節が動いた角度情報が得られます。各関節間の距離はエンコーダ間のアーム長さによって定義されます。
この角度情報と各関節間の距離(アーム長さ)情報を組み合わせることにより、先端にある測定部の座標を算出します。
関節の回転軸数は機種によって違いますが、6軸や7軸が一般的です。

A
6軸
B
5軸
C
4軸
D
3軸
E
2軸
F
1軸

アーム型三次元測定機の構成

A
関節部
B
アーム部
C
測定子(スタイラス)
D
測定トリガ
E
土台部
F
制御用PC

測定部は土台部、アーム部、関節、さらに測定トリガや測定子(スタイラス)のあるプローブ部によって構成されています。スタイラスは目的に応じて、さまざまなタイプのものに付け替えが可能です。
また、一般的に制御は専用のPCで行われることが多く、測定部と接続して使用します。

アーム型三次元測定機の利点と問題点

アーム型三次元測定機の利点

アーム型三次元測定機の利点は測定場所の自由度にあります。比較的軽量で持ち運びが可能なため、測りたい場所に設置して測定が可能です。
一般的に、下図のように土台部をマグネットなどで固定して使用されます。

また、門型と比較して比較的大きな対象物の測定に用いられます。大がかりな設備が必要な門型三次元測定機と比較してアーム型三次元測定機は大きなスペースを取ることなく測定を実現できます。

アーム型三次元測定機の問題点

一方で、アーム型三次元測定機にもいくつかのデメリットがあります。

①機械的構造による測定精度への懸念

アーム型三次元測定機の精度は、エンコーダ間の物理的な距離が定数であることを前提に担保されています。従って、構成部品であるアーム部や接合部にたわみ・ねじれが発生したり、繰り返しの使用により接合部の摩耗が発生したりすると精度が悪化することが懸念されます。そのため、定期的にメンテナンスや再校正をするのが一般的です。

②測定範囲の限界

当然ですが、アームが届く範囲はアームの長さによって決まります。一般的なアーム型三次元測定機の測定範囲は大きなものでも3m~4m程度までです。また、アームが長くなるほど上述のようにたわみによる影響が大きくなってきます。

③測定の取り回しと扱いやすさ

アーム型三次元測定機の土台部と測定対象箇所は、必ず物理的に繋がっている必要があります。奥まった箇所の測定や狭い場所の測定をする際に、物理的なアーム部があることにより測定がやりづらくなることがあります。また、大きな対象物の端と端を測ろうとする際には、その都度アームを大きく動かす必要があります。アームには一定の重量があるため、長く測定していると測定者が疲れてしまうというデメリットもあります。

大型三次元測定にはキーエンスWMシリーズがおすすめ

WMシリーズは2種類のワイヤレスプローブを対象物に使用することで寸法と形状を測定する大型製品向けの三次元測定機です。最大25mまでの範囲を光学式の原理で座標測定が可能です。

①継続して安定した精度での測定が可能

光学式のため機械部品の摩耗の心配がなく、使用を繰り返すことによって座標測定の精度に悪影響を及ぼすことはありません。自己診断機能を備えているため、測定前に正しい精度で測れているか確認ができます。また、仮に何らかの要因で精度に影響が出ていた場合、自己補正する機能を搭載しています。

②広い測定範囲

最大25mの広大な測定範囲なので、多くの測定対象物をカバーできます。測定カメラは、範囲内のどこにプローブがいても自動で追従して測定が可能です。また、大きな測定対象物でプローブが影に入ってしまうような場合でもカメラを動かして連結が可能なので、測定のネックになりません。

*最大測定範囲

③アームもない、ケーブルもない完全ワイヤレスプローブの使いやすさ

WMシリーズのプローブは片手で持てる重量で、測りたい場所に持って行って当てるだけで測定が可能です。また、主要な測定要素は手元のタッチパネルから選択できるため、測定作業がプローブ1本ですべて完結します。制御PCと測定対象物の間を往復する必要がありません。

アーム型三次元測定機よりもさらに使い勝手の良いWMシリーズの情報をぜひご確認ください。

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